Book Reviewに関するエントリー

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村上春樹の7年ぶりの新作長編小説「1Q84」はいよいよ明日発売です!

文芸書としては過去最高の予約数が入っているとか、アマゾンだけで予約が1万部を越えているとか、色々と賑やかになってきています。僕自身もしっかりアマゾンで予約しています。

アマゾンに新刊を予約すると、発売日当日に到着するのが通例なので、明日届くんだと思います。

今から楽しみだなー。

一気に読んでしまいたいけれど、新作をワクワクしながら1ページずつめくる時間は至上の喜びなので、ゆっくり読み進めたいような気もします。

でもこうやってワクワクしながら待っている時間が一番素敵な時間かもしれないですねえ。

 

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1Q84(1)
著者:村上春樹
出版社:新潮社
出版日:2009-05-29
価格:¥ 1,890
ランキング:1位
在庫状況:近日発売 予約可
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「夢をかなえるメモの習慣」は、『夢習慣ナビゲーター』である佐藤伝氏によるメモ術とメモ術の本。

最近ノート術、メモ術を極めようと良さそうな本を次々と手に取って読んでいるのだが、本書も今までに読んだ本とは異なる新たな切り口を持っており、なかなか勉強になった。

まず、本書ではメモを備忘録「リマインダー・メモ」、人生の夢「ビジョン・メモ」、そして思い付いたこと「アイディア・メモ」の3つに分類している。この中で「アイディア・メモ」というのがなかなか斬新で面白い。

以前読んだ樋口健夫氏の本でもアイディア・メモについて触れられていたのだが、本書ではその部分についてより深く突っ込んでおり具体的で、アイディアとして何を書けば良いのかが分かりやすい。

例えば「Bさんに○○の件連絡」と書けばただのリマインダーだが、「Bさんに、どちらもWin-Winとなるような提案をして、Bさんの感想を聞く。その際に提案は一つだけで良いか?二つあればBさんも選択できるのでは?」と書けば、これは立派なアイディア・メモであり、ビジネスをステップアップさせるのに多いに役立つだろう。

アイディアを出すのは早朝やお風呂が良いなどという点も面白い。確かに朝早く起きてまっさらなノートに、「自分がやりたいこと」のアイディアを次々と書き綴っていると、これから始まる一日がとても充実したものにできるように感じられるし、そして実際アイディア・ノートに書き込まれたアイディアを実践して行くことで、昨日よりも確実にステップアップした一日を過ごすことができるだろう。

他にも自分の周りの人達の記念日を書き込む「アニバーサリーメモ」や食事記録による体調管理、自分の周りを取り巻く人間関係を図式する「ヒューマン・ラジアル・チャート」など、是非実践したいメモ術が目白押しであった。

何事も実践あるのみで、本を読んで感心しただけでは何事も始まらない。今日から従来のノート術に本書の良い点をプラスして、さらに有効なノート術へと進化させていこう。

 

夢をかなえる メモの習慣
夢をかなえる メモの習慣
著者:佐藤 伝
出版社:中経出版
出版日:2008-12-25
価格:¥ 1,470
ランキング:48125位
おすすめ度:
在庫状況:在庫あり。
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「仕事が速くなるプロの整理術」は、僕が最も尊敬する現代の経営者の一人、吉越浩一郎さんの効率化に関するノウハウ本であり、また、マネジメント向けのビジネス管理指南書でもある。

吉越さんの本にはハズレがなく、新刊が出て読むと、必ずそのたびに目からウロコの新発見を僕のビジネス環境にもたらしてくれるのだが、今回も実に素晴らしいノウハウがぎっしり詰まった良書であった。

今回僕にとって非常に有効だと感じられた点は大きく分けて3つ。第一に紙による情報管理の有効性を確認できたこと。第二に紙によるアナログ管理とGmail、iPhoneなどによるデジタルな情報管理のバランスが重要であるという最近の僕の仮説を、吉越さんが見事なまでに立証していた点。

そして第三のポイントが僕にとって非常に有り難かった新たな導きだったのだが、図解やイラストで物事を表現する訓練をせよ、という点であった。

僕自身は子供の頃から絵が苦手で、今も図やイラストはとても苦手なのだが、「論理的思考の訓練になる」という前置きがあると、苦手でも一念発起してイラスト書きに挑戦してみようかという思いに駆られた。

あと、社長としての自分の存在が、「部下をより高いレベルに引っ張り上げること」という一文にも強い説得力があり思わず頷いてしまう。当たり前のことなのかもしれないが、実際上級マネジメントとして仕事をする立場になると、このような一言が自分の心の迷いを払拭してくれる起爆剤になる。とても有り難い。

もともとデジタルと紙ベースのアナログの融合による情報管理がベストだとは思っていたので、そこに吉越さん流のデッドライン情報管理をTTP(徹底的にパクる)させていただき、有効活用しようということで、さっそく今日から日付ごとのフォルダを作って管理を始めてみた。

部下に頼んだ仕事のデッドライン管理が大事だ、という言葉が、本書を読んでの僕にとっての一番の宝だったかもしれない。

 

仕事が速くなる プロの整理術
仕事が速くなる プロの整理術
著者:吉越 浩一郎
出版社:日経BP出版センター
出版日:2008-11-20
価格:¥ 1,575
ランキング:3501位
おすすめ度:
在庫状況:在庫あり。
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「大国日本の幻 - バブルの興亡とその教訓 -」は、ノンフィクション作家・塩田潮が、1980年代後半から90年代初頭にかけて日本で発生したバブル経済について、時系列に沿って発生原因とバブルに踊った人々の姿、その後の崩壊の過程、そしてその崩壊後の長期に渡る経済停滞と日本の国力低下の発生原因と責任の所在、さらにはバブルから学ぶべき教訓について追求している。

僕の人生と「バブル」は切っても切れない。時代と場所が同時に激しく、僕をバブルへと巻き込んで行った。1988年というバブルの暴走が本格化した年に大学に入り、住んでいた場所は六本木間近の西麻布、両親はミュージシャン、やっていたバイトは六本木のフレンチとバー、それにモデルと、まあ見事にバブル最前線でありつつも、社会人ではなくまだ未熟な学生であったために、直接バブルによって現金を目の前にして踊った訳ではなく、至近距離で踊る人達を眺めている間にバブルは崩壊し、僕が社会に出た時には平成不況まっただ中という状況であった。

そして僕とバブルとの縁はバブル発生から20年を経た今になってもまだ切れていない。僕がいま背負っている借金は祖母と母がバブル期に西麻布の自宅を改築する際にした借金が焦げ付き、麻布の実家を手放しでもまだ残ったものを、親が返済困難になったため僕が引き継いだものだ。

いつからかはハッキリ憶えていないが、僕の中で「バブルとは一体なんだったのか」、「いつ、誰が、何をしたせいでバブルは起こったのか」、「バブルは何故崩壊したのか」、「バブル後の日本はどうしてこんなにダメになってしまったのか」という疑問が強く沸き上がってくるようになった。

そしてバブルとは何だったのかを時系列順かつ中立的に解説してくれる本を探すようになった。そして本書「大国日本の幻 - バブルの興亡とその教訓 -」に出会い、貪るように読んだ。

読了してみて、感慨は猛烈にあり、それをすべて言葉にすることはとてもできない。僕の人生を振り返るのに等しいような複合的な感情や思い出が一気に押し寄せてくるからだ。さらに、本書が長大であるように、当時起こった事象一つひとつにコメントをしていくことも、やはりあまりにも労力が掛かり、現実的ではない。

だが、本書を読んで、「やっぱり」という思いを強くしたことは確かだ。バブル期の日本をハンドリングした政治家としてA級戦犯と扱われているのは中曽根康弘、竹下登、宮澤喜一であり、他にも官僚機構としての大蔵省、銀行としての住友、富士、日興、証券会社の山一、バブルに踊った企業としての桃源社、阪和興業などが続々と連座している。

ただ、一貫して言えることは、アメリカという強い交渉相手に負け続け、国内においては政治家も官僚も皆利己主義で目先のことしか考えず、目の前に積み上がった札束に目が眩み長期的かつ継続的成長や改善のことなど忘れてしまっている頃に、日本は高度経済成長から続く成長の時期を終え、少子高齢化が始まる成熟期へと突入していたという事実である。

バブル崩壊後に日銀がどんなに公定歩合を下げても景気が回復しなかったのは、バブル後の不況が単なる循環景気の結果訪れた不況ではなく、戦後日本が歩んできた成長モードに基づいた生産システムがもはや機能しなくなったためだということに、日本国民が気付くのがあまりにも遅すぎた。

本書を読むまで、僕の心の中のどこかに、「バブルよもう一度」という願望があったことは事実である。だが、本書を読み終えた今、僕の願望は明らかな間違いであったことを確信している。

僕が望んでいるのは、バブルの再来ではなく、バブルによってもたらされた過酷な現実を乗り越えた後にやってくる可能性がある、持続的かつ安定的な成長の時代である。それは間違いないし、二度とその思いは揺らがないであろう。

 

 

大国日本の幻—バブルの興亡とその教訓
大国日本の幻—バブルの興亡とその教訓
著者:塩田 潮
出版社:講談社
出版日:2002-03
価格:¥ 2,415
ランキング:623010位
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「ケンタロウと秘密の料理道具箱」は、料理研究家のケンタロウが自ら使いこなす料理道具に対するこだわりや想いなどを中心に、自分の料理や人生についても語っているエッセイ。

ケンタロウの本はほとんどが料理レシピの紹介本で、従ってサイズも大型でカラーのものが多いのだが、本書は文庫サイズで部分的にカラーだが白黒のページも多いという、従来の「ケンタロウ本」とはちょっと異質な存在感である。

基本的にケンタロウが、「包丁」、「冷蔵庫」、「まな板」、「鍋」という風に、料理に使う小道具一つひとつを一つの章として構成されていて、その道具についての想いや、そこから派生する思い出やエピソードなどを語っていくのだが、これがなかなか良いのだよ。

もちろんプロの料理研究家が使いこなす道具自体についての魅力もあるし、ペッパーミルや包丁なんかは読んでいると彼が使っているのと同じものが欲しくなってしまうのだが、そういう直接的な魅力だけではなく、ケンタロウの語り方や彼が醸し出す空気感のようなものがとても心地良いのだ。

いま人気の「男子ごはん」などでケンタロウのフリートークを聴く機会もずいぶん多くなってきているが、このエッセイでの彼の語り口も、気取らずぼつぼつと語るいつもの「ケンタロウ節」が生きていて、彼のこだわりや個性をとても良く現しているように思う。

ナイフ・フォークなどのカトラリーやコックコートなど、直接料理と関係ない道具についての語りもなかなか味があって好きだ。特にコックコートについて語る彼の言葉からは、実際に毎日他人のために料理を作り続ける現場のコックさん達に対する畏敬と尊敬の念がストレートに出ていて面白い。

料理研究家はテレビや雑誌相手の商売なので、作ってみて味が濃すぎれば「レシピを直しておきます」と言えるし、失敗すれば作り直すこともできる。だが、レストランでお客を相手に料理を作り続けるコックさん達は、その日その時に食べにきてくれたお客さんを相手に失敗することは許されない。そのことをしっかり認識して文章にも書いてしまうケンタロウという男は、意外にも素直でストイックな男なんだなあと感心させられる。

彼の料理はいつも大ざっぱで細かいことを気にせず、でも素材の良さと勢いを重視していて、作ってみるととても美味しいし簡単だ。レシピも適当で、「気が向いたらコショウをかける」とか、「強気に焼く!」なんて記述もあっておかしいのだが、彼の本音トークがちょっと垣間見られたような気がして、なかなか楽しい本であった。ケンタロウ本が好きな人にはお薦めのエッセイ。

 

ケンタロウと秘密の料理道具箱 (集英社be文庫)
ケンタロウと秘密の料理道具箱 (集英社be文庫)
著者:ケンタロウ
出版社:集英社
出版日:2006-07
価格:¥ 720
ランキング:3613位
おすすめ度:
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「パパは楽しい躁うつ病」は、芥川賞作家で歌人斎藤茂吉の次男であり、さらに精神科医でもある北杜夫氏と、その一人娘でサントリー株式会社に勤務しつつエッセイストとしても活躍している斉藤由香氏の二人が、父北杜夫が30年以上患ってきた躁うつ病について明るく楽しくあっけらかんと語る対談型エッセイ。

北杜夫といえば「どくとるマンボウ航海記」で、僕も小学生の頃にずいぶん彼の著作を読んだものだが、今回久し振りに著書を手に取って驚いたのだが、彼はもう81歳なのだそうだ。でも良く考えれば「どくとるマンボウ」が書かれたのは僕が生まれる前なのだから、作者が81歳になっていたとしても別に驚くことではないはずなのだが、なんだかビックリだ。

この親子対談は、原則時系列に沿いつつ、父北杜夫が躁うつ病を発症する前の平和な時代、そして病気の発症時期とその症状についての説明が明るくあっけらかんと進められていくのだが、「躁うつ」と言っても、圧倒的に「躁病」の時の記述が多く、「うつ」についての記載はほとんどない。

現代においては「うつ」は日本の国民病のような扱いを受けている感もあるほど広く認知され、その症状や対策などについても国民の間に一定の理解は広まりつつあるように思うが、「躁」については、「うつ」ほど広くその症状や対策は認知されていないのではないかと思うのだが、読んでいてまあ圧倒されるというか呆れるというか、「大躁病」状態の北杜夫の行状はまさに異常で、なるほどこれは病気だわいと納得させられる。

幾つか強烈な例を挙げると、大躁病状態になった北杜夫氏は「映画を作る」と叫んで突如株の信用取り引きを同時に4社の証券会社と始め、見事にすってんてんになり、ついには破産してしまう。さらには「マンボウマブゼ共和国」なる国を作り日本から独立を宣言し、独自の通貨やタバコを作成・発行し、「文華の日」には遠藤周作ら知人を呼んで「文華勲章」授与式を開催し、この授与式にはフォーカスやテレビなどのマスコミまでが押し掛けたという。

軽井沢の別荘滞在中、真夏の夜にすべての窓を全開にして家中の灯りを付け、吸い寄せられてきた大量の蛾をたたき落とし「昆虫採集」を強行したり、短波放送で株式市況を、ラジオで英会話と中国語会話を、さらにステレオでベートーベンを、同時に大音響で響かせるなど、まあ読んでいるだけでこちらが疲れてしまうような凄まじさだ。

救いは全篇を通じて娘の斉藤由香がとにかく明るく楽しく父の病気と触れ合ってきた様子がリアルに伝わってくる点だろう。彼女の「天然」とも思える明るさによって、父の病気とその症状に振り回される家族はどんなにか救われたであろうことが想像できるし、父も娘に感謝している様子が文章からも伺える。

そして北杜夫自身が自負している通り、彼が文筆家兼精神科医として、自らの躁うつ病を積極的に開示して生きてきたことは、日本における躁うつ病認知において大きな貢献であったのだろう。彼が躁うつ病を発症して間もない頃は、「うつなので原稿が書けない」と編集者に告げても、編集者は「うつ」の意味を理解しなかったそうだが、今や「うつ」を知らない日本人はいないぐらいに広く認知されてきた。

というわけで楽しく読みつつも圧倒されたり呆れたり同情したりとなかなか忙しい本なのだが、全篇を通じて娘斉藤由香の父北杜夫に対する愛情が、一見無神経そうな発言の合間合間に垣間見えてちょっとだけ切ない。父北杜夫はもう旅行に行く気力も外を散歩する体力もないほどに老いているそうで、このままではもう本を出すこともできないと感じ取った娘が父との対談という形で、彼のライフワークともいえる「躁うつ病」に関する本を、二人の連名で出版したというのは、娘から父への最高の贈り物なのではないだろうか。

なかなか感慨深い本であった。久し振りに「どくとるマンボウ」でも読んでみるかな。

 

パパは楽しい躁うつ病
パパは楽しい躁うつ病
著者:北 杜夫 斎藤 由香
出版社:朝日新聞出版
出版日:2009-01-09
価格:¥ 1,365
ランキング:37888位
おすすめ度:
在庫状況:在庫あり。
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「30代で差をつける「人生戦略」ノート」は、米国公認会計士でもあり、不動産投資で一年で3億円の資産を形成した著者午堂登紀雄氏が自らの体験に基づいてまとめた人生戦略の立て方と、人生における成功への道筋構築方法をまとめた書。

本書を手に取ったのは、著者の午堂登紀雄氏が、僕が先日読了してひどく感銘を受けた「脳を「見える化」する思考ノート」の著者であり、本書「30代で差をつける「人生戦略」ノート」からも、彼のノート術についての更に優れたノウハウなどを見つけられるのではないかという期待からだったのだが、そういう意味では本書はちょっと見当違いな本となってしまった。

理由は単純。本書はいわゆる「ノート術」の本ではないからだ。本書は人生設計や社会的地位について戦略を立てて生きましょうというノウハウ本であって、ノート術とはまったく関係がない。そういう意味では、本書のタイトルは「人生戦略ガイド」などの方が適切だったのではないだろうか。ノート術に関する本を出している人が「ノート」というタイトルをつけて、でもノート術とは異なる切り口で人生を語るというのは、あまりにも紛らわしい。

で、肝心の内容についてだが、僕自身が途中までは本書がノート術の本だと思って読み進めてしまったせいもあったせいもあるのかもしれないが、やや期待値を下回ったように思う。

もちろん内容には勉強になる点も多く、彼から教わったノート術で読書メモを取りながら読んで、自分の生き方にも取り入れるべきだと感じたノウハウも少なくはなかった。たとえば「コピーライティング能力を鍛えよう」やネガティブな考えに陥った時に「だからいいんです!」というフレーズを付けて物事をポジティブに考えるというアイディアなどはすぐに実践してみようというものだった。

だが、全体的に本書の切り口は、既に他の本で語られてしまっている点が多いのも事実で、あまり目新しさがなかったのが残念だった。あと、もう一つ残念だったのが、同じような本を書いている勝間和代氏と比較した際に、本書は一般論から具体的な施策への徹底的な落とし込みが弱く、描写や表現がいまいちビビッドではなかった点だ。

具体例への落とし込みが少ない分、全体的にリズムが単調になり、ワクワクしながら読む、というところまでいかなかったように思う。

ただ、いずれにしても著者は非常に高いレベルで向上心を持って生きていることに間違いはなく、そういった一つ一つの彼の指南は非常に有効かつ実践的であることは言うまでもない。

恐らくこの手の本の内容はある程度似通ってしまうもので、どの本を先に読んで最初に感銘を受けたかによって、その後に読んだ本の評価が変わってしまうのは仕方がないことなのかもしれない。

「売上計画が未達。だからいいんです!計画にはまだまだ改善の余地があることが判明したんだから」

このように「だからいいんです!」をモットーに、さらに自分自身を高めていこう。

 

30代で差をつける「人生戦略」ノート—最短・最速で結果を出す「頭と時間」の使い方
30代で差をつける「人生戦略」ノート—最短・最速で結果を出す「頭と時間」の使い方
著者:午堂 登紀雄
出版社:三笠書房
出版日:2007-09-05
価格:¥ 1,365
ランキング:56524位
おすすめ度:
在庫状況:在庫あり。
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ご存知ワタミ社長の渡邉美樹氏の手帳術解説書。 この本のベースには、同じく渡邉美樹氏が書いた「夢に日付を!」という本があり、この「図解版」は「夢に日付を!」の補綴版という位置づけのようだ。

「夢に日付を!」を読んでいない人は、そちらを先に読んだ方がより分かり易いだろう(僕自身も読んだとばかり思っていて読んでいなかったことが判明した)。

「手帳術」や「ノート術」、「勉強術」や「記憶術」などを記した本は、どれも非常に良い部分と自分にはあまり参考にならない部分が混在するものだが、渡邉氏の手帳術はなかなかスッキリと頭に入ってきて良い感じだった。

「手帳術」と言っても単に手帳を一冊持って歩けということではなく、自分の夢を実現するためのノウハウが詰まっていて、読んでいてワクワクさせられる。 この本では夢を実現するためのツールを3つ用意するよう説いている。夢や自分の行動基準などを書き込み何度も見返すための「カード」、その夢を実現するための日程をスケジュールに落とし込む「手帳」、そしてそのスケジュールをこなした後に一日の終わりに自らを振り返る「日記」である。

人生を「仕事」「家庭」「財産」「健康」「趣味」「教養」の6つの柱に分けたうえでそれぞれの夢をカードに書き込むのだが、この時に非常に重要なのは、「いつまでに」夢を達成するかという日付をカードに入れることだという。そしてこのスケジュール通りに夢を実現するために、5カ年計画、1カ年計画、1ヶ月計画、1週間計画と落とし込んでいき、それをデイリーの手帳にTo Doとして落とし込み、予定通り達成できた項目を赤ペンまたは赤鉛筆でガシガシと消し込んでいく。

コツとしては、「緊急ではないけれど大切なことを最も重要視する」ことや、「計画は修正しても最終の達成予定日は変更しない」などが挙げられており、なかなか厳しい面もあるが、達成に向けての道のりが明確になりそうだ。 シンプルだが非常に有効そうな方法で、以前読んで感慨を受け現在実践中の午堂登紀雄氏のノート術と良いとこ取りで組み合わせることで、非常に有効な目標管理が出来そうだ。

本家の「夢に日付を!」も読んでみるべきだろうな。

 

図解版 夢に日付を!〜夢実現の手帳術〜
図解版 夢に日付を!〜夢実現の手帳術〜
著者:渡邉 美樹
出版社:あさ出版
出版日:2006-10-17
価格:¥ 1,050
ランキング:11698位
おすすめ度:
在庫状況:在庫あり。
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村上春樹の待望の新作長編小説「1Q84」の発売が5月29日に決定し、 Amazonでの予約がスタートしたようだ。先ほどAmazonからメールが届いたので、早速予約をしておいた。

 

村上春樹の長編は「海辺のカフカ」以来だろう。情報によると、過去最長となる長大な物語になっているようだ。

アマゾンに予約すると発売日当日に手許に届くのも嬉しい。

この数年の間に村上春樹ワールドがいったいどのように進化し、熟成されているか、今からとても楽しみだ。

 

 

 

1Q84(1)
1Q84(1)
著者:村上春樹
出版社:新潮社
出版日:2009-05-29
価格:¥ 1,890
ランキング:13位
在庫状況:近日発売 予約可
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田中康夫のデビュー作、「なんとなく、クリスタル」。以前読んだ時はあまり感慨がなかったのだが、今回は色々と感じることがあり、面白く読めた。

 

本作が発表されたのは1981年で、執筆は前年の80年である。当時僕は小学校5年生か6年生で、この小説が話題になっているのはテレビで見て知ってはいたように思うが、この本を読むには幼すぎたし、マスコミが何を騒いでいるのかも理解していなかった。

だが、2009年に、39歳になってこの本を読むと、当時の自分を取り巻く環境や時代の雰囲気がまざまざと甦り懐かしい気持ちになった。当時の僕は港区西麻布在住であり、本書の主人公である由利と淳一が「共棲」する「コーポラス」がある神宮前からも近い、いわゆる「都心」に住んでいたことも要因の一つだろう。

今思えば、80年代前半は、その後訪れるバブルへと向かう、緩やかな繁栄の時期だったのではないかと思う。60年代の高度経済成長で貧困から一気に脱出し、その後70年代に襲いかかった石油ショックを乗り越えた東京人達は、次の好景気へと向かって生活水準を切り上げつつ、生活を謳歌していたように思う。

主人公の由利と恋人の淳一は二人とも大学生ではあるが、由利はファッションモデル、淳一はフュージョンバンドのキーボーディストとしての収入があり、親に依存せずに自活しているが、生活には余裕があり、都心に暮らしながらも生活を楽しみ、謳歌する余裕がある。彼らの生活は僕が大学生時代だった頃の大学生像とそれほど大きな違いはなく、いかにも「今どきの若者」という感じがする。

だが、この小説が書かれた1980年と2009年では、日本の若者を取り巻く環境は大きく変化してしまっている。その中でも最も大きな変化は、日本という国が持つポテンシャルの著しい低下と、将来に対する希望の消滅だろう。

物語の中で由利が自分の将来について想いを馳せる部分があるのだが、その姿は、自分の将来はきっと今より良くなる、という根拠のない期待と自信に溢れている。それは由利だけに限ったことではなく、80年代当時の東京には、そのような根拠のないふわふわとした期待や自信が、まるで春の宵みたいな優しい何かが、そこら中に漂っていたように思う。

そういった根拠のない自信や期待は、今の若者の顔からは見ることができない。それは、多くの国民が今感じている閉塞感を、社会的弱者である若年層世代が代表して受け入れているからに他ならない。今の大学生達は、由利達や僕達のように、「なんとなく気持ちいい」、「なんとなく楽しい」という風に生きているだろうか。いや、今の若者はもっと真剣に生きているように思う。

この「なんとなく、クリスタル」にはストーリーらしいストーリーもないし、始まりもなければ終わりもない。由利が一人称で語る切り取られた日々が淡々と綴られているだけである。そこには夥しい固有名詞が挿入されていて、その多くはファッションブランドの名前であり、当時流行していたミュージシャンやバンド名であり、また彼らが演奏する曲名であったりする。その固有名詞一つひとつに田中康夫は註を付けた。当時は「そんな解り切った物事にいちいち註を付けて奇をてらっている」という批判もあったようだが、時代を経て読むと、ブランドやミュージシャンの中には時間の洗礼を受けて消滅したものも多く、この膨大な注釈は正しく機能し始めているようにも感じられる。

80年に大学生だった由利が実在の人物ならば、2009年には50歳前後ということになる。50歳になった由利は、「なんとなく」生きているだろうか。「クリスタル」という言葉はあまりにも陳腐化してしまったが、この小説は1980年という時代を見事にパッケージ化し、瑞々しいままに保存してくれている。良い時代だった。そんな言葉が出てくるのは、僕が歳を取ったということだろうか。でも僕にはこの時代が懐かしいとともに、とても羨ましくもある。

 

なんとなく、クリスタル (新潮文庫)
なんとなく、クリスタル (新潮文庫)
著者:田中 康夫
出版社:新潮社
出版日:1985-12
価格:¥ 460
ランキング:96995位
おすすめ度:
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