Book Reviewに関するエントリー

41DA3oxuJRL.jpgブックレビュー、2010年の12冊目は、津田大介氏著、「Twitter社会論」を紹介しよう。

最初に謝っておこう。僕はこの本を読むまで津田大介氏のことを嫌っていた。それは彼の代名詞でもあるTwitter上での実況中継、別名"Tsutdaる"が鬱陶しいと感じていたからなのと、彼の容姿がどうも怪しい金髪兄ちゃんという感じだったためなのだが、今回本書を読んでその考えが間違いだったことを認識した。津田さんごめんなさい。

そもそも僕は@tsuda氏がTwitter上でTsudaっているところには遭遇したことがない。彼のことをフォローはさせてもらっているのだが、特定のリストには彼を加えていないため、光の速さで流れるTLに紛れてしまい、彼のTsudaるを認識したことはない。

僕が認識していたのは、津田氏とは全く別の人が、僕がまだTLで全てを追っていた頃に、自分に興味のないテレビ中継を延々と実況していてうんざりしたのを、「きっと津田氏が広めたせいでこういうことをする人が増えたのだろう」と思い込み、津田氏 = うざい、というひどい図式ができあがってしまっていたのだ。

だが、本書を読んでみると、津田氏のTwitterに対するアプローチがとても真摯で、しかもミッションを感じつつ活動していることに気付かせられ、自らの過ちに気付いたとい次第。

そう、本書の内容はかなり硬派である。「Twitterって楽しいね〜みんなで繋がってゆるーく楽しもうよー」というアプローチとはむしろ正反対で、何故Twitterがここまで人々の心を掴んだのか、その歴史と特徴、米国での政治に置けるTwitter活用事例、日本における政治利用と今後、Tsudaることの意義と問題点、Tiwtterの未来とその限界などが、非常に論理的かつ熱く、そしてエッジが効いた文章で書かれていて、かなりの高水準な仕上がりであった。

Twitterの持つ強力なリアルタイム性と伝播力については僕も充分認識しているつもりだったが、リアルタイム検索の強力さについては、まだあまり認識できていなかったので、非常に勉強になった。今後気になるキーワードがあった場合などには,まずはTwitterで検索してみて、人々がどのようにそのキーワードを呟いているかを確認してみたい。

巻末には勝間和代氏との対談も載っているのだが、これかまたなかなか面白い。特に面白かったのが、TweetDeckなどのクライアントでは、TL表示にその人のフォロワー数が表示できてしまうのだが、これがその人物の現在のTwitterにおける影響力を如実に表していて、シビアである、というくだりはとても興味深く、僕もTweetDeckでフォロー数表示をオンにしてしまった(そしてこれがまた実際興味深いのだ)。

Twitterは初心者にはあまりやさしいツールではない。事前知識なく始めてしまうと、「宇宙に俺独り」状態になってしまい、何が楽しいのかさっぱり分からない。だが、ある程度のネット・リテラシーがある人が何らかのきっかけを得てブレイクしてしまうと、こんなに面白く有意義なメディアは他にないと実感できる。

僕自身Twitterを始めてもうすぐ1年半だが、去年の春までは何が楽しいのか分からず放置していたため、実質の活動期間はまだ9ヶ月程度だろうが、今ではTwitterのない生活なんて考えられないほど、Twitterと深く関わり、そして楽しんでいる。

本書はノウハウ本ではないので、これを読んだからといってTwitterの操作法が分かるようになるわけではない。だが、始めてみてちょっと面白くなった人は、本書から得るものは多いのではないかと思う。

津田氏を見直した。今度彼がTsudaるところをしっかりTLで追いたいと感じた。

 

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津田 大介
洋泉社
売り上げランキング: 169
おすすめ度の平均: 4.5
4 Twitterの生い立ちから09年末までの動向がわかる
5 一気に読みきれ!
4 twitterの入門〜中級者向き
3 twitterの可能性、社会的インパクトを考察
4 人間が一番面白いってことに気づかせてくれた本
41vs0G0czrL.jpgブックレビュー、今年の11冊目として、内藤忍氏著、「60歳までに1億円つくる術」を読了。

最初に断っておくが、この本はぼろ儲けの話ではない。長期運用型投資を堅実に行って運用することで、リタイヤ後の生活資金を作っておこうという、極めて現実的かつ重要な事項について扱っている本である。

著者によると、夫婦2人が毎月必要とする生活資金は約30万円と見積もられている。年間360万円、10年で3,600万円である。

いわゆるサラリーマンが定年退職を迎えるのが60歳で、その後収入がない状態で80歳まで生きるとすると,7,200万円ないと生活ができないことになる。

従来日本人は終身雇用による多額の退職金と企業年金、それに厚生年金を組み合わせ、それに貯蓄を加えて老後の生活資金としてきたわけだが、終身雇用制が崩れて退職金に期待がもてなくなり、年金はもっとあてにならず、我々がリタイヤする頃果たして幾らもらえるかも分からないという状況で、しかも年功制が崩れたため、年齢とともに給料が上がるという図式さえも崩れ貯蓄もままならず、必死に貯蓄をしたとしても、ゼロ金利政策のため利息は限りなくゼロに近い。

ひどい話だが、僕らの現実は上記のようなことになっているわけだ。

リタイヤ後に豊かに安心して生きるために資金は、これからは自分の力で勝ち取っていかなければならないのだ。そのためには利息ゼロの銀行預金ではダメなわけで、自ら積極的に投資活動をしなければどうにもならないことは自明である。

そのような過酷な状況の中、僕たちはいかにして生き残るのか。そのヒントを与えてくれるのが本書である。本書は「収入を増やす」、「支出を減らす」、「それでも投資は必要」、「お金を増やす」という構成で、金融リテラシーを高めるための初歩的な知識を得られるように構成されている。

本書では特別なことは何も言われておらず、オーソドックスな資産運用法が紹介されているのだが、要は25歳に貯金がゼロ円でも、毎月6万円を年利7%で複利運用すると、60歳で1億円になる、ということと、1億円を作るために必要な知識を持ちましょう、ということに尽きる。

世の中では収入が多い人を「お金持ち」と呼ぶ傾向があるが、いくら収入が多くても、小室哲哉のように片っ端から使ってしまう人は本当の意味でお金持ちではない。本当のお金持ちとは、総資産額が多く、そしてその資産が放っておいてもどんどん増えていく仕組みを作っている人だ。

年利7%というのは過去の長期運用型投資における平均実績だそうで、この利回りを実現することは決して難しいことではない。だが、運用利回りの高低以前に、日本人は投資に対する悪い印象やハードルの高さを解消する必要があるだろう。

お金について話すのは悪いことだとか、下品だとか言われた時代もあったが(僕も昔親に言われた記憶がある)、今はそんな悠長なことを言っている場合ではないのだ。

もしあなたがこれから死ぬまでの資産を既に持っていたり、資産形成のための活動を実行している人は本書を読む必要はない。だが、もしあなたが現状貯金と投資額の合計よりもマンションローンの方が大幅に多かったり、将来あてにできるまとまった資産を持たないのであれば、この本は何らかのヒントを与えてくれるのではないだろうか。

60歳までに1億円つくる術―25歳ゼロ、30歳100万、40歳600万から始める (幻冬舎新書)
内藤 忍
幻冬舎
売り上げランキング: 622
おすすめ度の平均: 4.0
3 小ネタが多くて面白い
4 不安だからなんとなく貯金をしている人は一読する価値があります
4 資産作りにマジメに取り組むなら
4 お金に対する考え方を分かりやすく説明してくれている
4 当たり前だけど、大切なこと
51f208eNy-L.jpgブック・レビュー、今年の10冊目は松下幸之助氏述、松下政経塾編、「リーダーになる人に知っておいてほしいこと」を読了。

「戦後日本の偉い人は誰」と訊かれたら、「松下幸之助」と答える人は少なからずいるのではないだろうか。言わずも知れた松下電器産業(現パナソニック)の創業者であり、松下政経塾の創設者でもある。

この人の名前は誰でも知っているし、松下、つまりナショナルであったりパナソニックであったりというメーカー名やブランド名も皆当たり前に触れているだろうが、では松下幸之助はどんな人物で、どのような理念を持って生きたのかということについては、知らない人も多いのではないだろうか。

僕もそんな一人。立派な人だったんだろうな、と思ってはいたが、これまで松下氏の著書に触れる機会がなく、一度読んでみたいと思っていた。

本書は、松下政経塾が幸之助氏が政経塾で講演したテープ100時間から選ばれた言葉の数々が書き起こされたものだそうで、関西弁の語り言葉でそのまま書き起こされた文章は嫌でも政経塾の若者たちに向かって問い掛ける生っぽさ、ライブ感がひしひしと伝わってくる。

そしてその一つひとつの言葉が実に重くそして爽やかに心に響くのだ。決して威圧的ではなく、むしろ飄々とした感じの語り口なのだが、言葉の持つ圧力が現代人とはちょっと違うような気がする。

何が違うのかと考えてみたのだが、それは彼が「成功」や「幸福」を基準にしているのではなく、「志」や「使命」を基準にして生きていたからなのではないか、という気がしてきた。21世紀の日本は環境的に厳しく、敗者が街に溢れてしまうため、どうしても「勝つ」こと、「成功する」こと、「幸福」になることを目標とする本が多くなっている。

だが、幸之助氏の言葉には「勝つ」「負ける」「成功」と言ったパーソナルなキーワードを越えた、ミッションに基づいたブレない軸を強く感じている。

幸之助氏が生きた時代も決して平坦だったわけではなく、むしろ第二次世界大戦中から戦後直後などは、いまの不景気などとは比べものにならない追いつめられた状態に日本はあったわけで、それを乗り越えてきたからこその境地であり言葉なのだと思うと、思わず読書しつつ背筋を伸ばしてしまう。

幸之助氏の著書は随分たくさん出版されているようだ。これから時間をかけて、いろいろ手に取ってみたい。とても奥が深く有り難い本だった。

 

リーダーになる人に知っておいてほしいこと
松下 幸之助
PHP研究所
売り上げランキング: 511
おすすめ度の平均: 4.5
5 今年一番の作品 名著
5 穏やかな気持ちになれる
5 社会に出てからの素直さについて考えさせられる本
4 自己観照の大切さ
5 「今日一日素直な心で無事にいかせでください」(本文P22)
41AiHV0RFZL.jpg2010年の9冊目として、川嶋朗氏著、「心もからだも「冷え」が万病のもと」を読了。

最近「男の健康」に関する本に興味があり、何冊か読んできているが、これもその一冊。読み始めるまで分かっていなかったのだが、著者の川嶋朗氏は、まさに男性の冷えをメイン・ターゲットにしてこの本を書いていて、僕のテーマにぴったりだった。

まず最初に一つ定義しておきたいのだが、本書で扱っているテーマは「冷え」である。所謂「冷え性」の「冷え」であって、最近話題の「低体温」と「冷え」は、類似したり重複したりする部分もあるが、まったくの同義語ではないことを理解しておく必要がある。低体温は冷えの諸症状の一つでもあり、また、冷えの原因の一つでもある。

まず男性における冷えの第一の要因として冒頭で取り上げられているのが、「メタボ」、つまり脂肪である。脂肪が多く身体に付くと、その箇所には血流がなくなるため身体の中に冷えた脂を持つことになり、これが男性の身体を冷やす要因となっている。

それ以外にも、世の男性の身体が冷える要因は山ほどある。寝不足の身体での朝シャワー、朝食を食べずに出勤、食事代わりの冷たい缶コーヒー、会社の強過ぎるエアコン、仕事のストレスによる冷や汗、そして夜は空きっ腹に流し込む冷たいビールと焼酎水割り、酔って真夜中に帰宅すると風呂も入らずそのまま布団にばったり…。

いかがだろうか、上のような生活をしている男性は少なくないのではないだろうか。一方で、著者は、男性はほとんど自分の身体が冷えていることを意識できていないとも説く。冷えは女子供だけのものと考え、冷えきった身体を暖める努力をせず、その結果心身に様々な疾病や障害を抱えるようになっているという。

医師である著者は「医学的根拠はない」と断りながらも、身体の冷えが心をも冷やすとともに、癌を始めとする重大な疾病の要因の一つとなっていると力説する。また、最近の子供がすぐにキレる要因にも、子供たちの身体と心の冷えが大きく関係していると解説している。

では、僕たちは冷えに対して何をすれば良いのか。答えは明快。暖めるのだ。まずは身体を、そしてその結果心も。

シャワーではなくきちんと湯船に漬る入浴、無理した薄着をやめて保温性の高い下着を着る、冷たい飲み物や身体を冷やす食べ物を避け、暖かい飲み物や身体を暖める食べ物を摂る、冷える箇所にカイロを貼る、靴下を2枚履く、冷える箇所をマッサージする、運動をするなど、誰にでも簡単にできる対策が示されている。

そしてもう一つ、西洋医学への過度の依存からの脱却も必要と本書では説いている。西洋医学では熱が出れば解熱剤を、打ち身には消炎鎮痛剤を処方するが、発熱や打ち身による身体の腫れは,身体が自分自身を正常な状態に戻すためのプロセスとして機能しているもので、それを薬で消してしまうことは、一時的に苦痛を緩和することにはなっても、症状の改善を逆に遅らせてしまうことになるケースもある。

僕自身、この2年で大幅に体重が減ったこともあり、冬場の寒さが身に染みるようになったため、今年の冬は防寒下着のお世話になっている。また、ゆったり湯船に漬ってから眠ることは必須の日課となっている。

ノイローゼや鬱病の人達の身体を診察すると、ほぽ全ての患者さんの身体はひんやりと冷たいのだと著者は言う。冷えきった身体を暖めることから治療をスタートすると、身体が温まっただけで症状が劇的に改善する場合もあるという。

全ての人に効果があるかは分からないが、冷えが万病のもと、というのはとても説得力があり、読んでいて頷く点が多かった。この冬は、いかに身体と心を冷やさずに乗り切れるか、いろいろ試してみようと思う。

心もからだも「冷え」が万病のもと (集英社新書 378I)
川嶋 朗
集英社
売り上げランキング: 75387
おすすめ度の平均: 5.0
5 男性こそ「冷え」対策を
5 子育て中のおとうさんおかあさんにも読んでほしい
5 老若男女に読んでほしい!
5 簡単に実行できる方法がいっぱい!
4 冷すな、温めろ!
31G8NX1P2DL.jpg矢沢永吉氏著、「アー・ユー・ハッピー? 」を読了。今年の8冊目。

僕は矢沢永吉というミュージシャンのことをほとんど何も知らない。そもそも彼の曲を一曲たりとも通して聴いたことがないし、テレビも見ないので、昔缶コーヒーのCMに出てるのを見たことがあるぐらいで、どんな人生を歩んできたのかも、どんな哲学を持っている人なのかも、全然何も知らなかった。

つまり僕は矢沢永吉のファンでもなんでもないのである。

では何故ファンでもない人間が自伝を読んだのかというと、それは同じく彼の曲をほとんど知らない相方がこの本を読んでいたく感心してというので、どれどれということで手に取ってみたという次第。

読み始めてすぐにその世界観に引き込まれた。実に面白いのだ。矢沢永吉という人物については「リーゼントに革ジャンで口をとんがらかしてツッパってて、暴走族や田舎のヤンキー達に神様扱いされてる勘違いオジサン」ぐらいに思っていて、どちらかというと芸能人みたいに思っていたのだが、いやいや彼は実に優秀なビジネスマンであり、インベンターであり、そして真面目で誠実な男だった。

芸能ニュースにもあまり興味がないため、彼が1998年にオーストラリアで総額34億円以上の横領被害に遭ったことも知らなかったし、その事件が、彼が自分でオーストラリアのゴールドコーストに26階建てのヘリポート付きのビルを建て、そこに音楽スタジオや学校も作って一大拠点にしようとしていた,ということなど、知る由もなかった。

あなたは自分の力で海外に26階建てのビルを建ててそこを運営するという事業を切り盛りできるだろうか?少なくとも今の僕にはできないだろう。矢沢永吉はミュージシャンであるだけでなく、こういった事業を自ら切り盛りするだけのビジネス才覚を持つ人物であったということ自体が既に大いなる驚きだった。

それだけではない。自分の曲の版権を持つ出版社を運営し、全国ツアーの興業も自分達で行い、外国人アーティストの招聘権も自らが持ち、さらに会場でのグッズ販売も自分達で行うという徹底ぶりである。

だが、本書を読み進む中で彼が繰り返すメッセージは、騙されないために自分でやった。自分を利用してボロ儲けさせないために、自分達の権利を守るためにやった、ということだ。

例えば、側近のマネージャーが地方の興業主に対して異常に高額のギャラを要求している。マネージャーは矢沢に対しては安い値段を報告して差額を搾取している。だが興行主達に対してマネージャーは、「矢沢が金にがめつくて俺だって辛いんだ」というようなことを言って興行主を丸め込む。そしていつの間にか業界では「矢沢は守銭奴だ」という評判が立ち、それを知らないのは彼一人だけ、というような状況が実際に生まれていたという。

また、1970年代当時の日本の音楽業界には版権や肖像権に対する意識が非常に低く、ミュージシャンはレコード会社の言いなりになって必死に働いても、その権利は全て奪われてしまうという状況が当たり前だったという。そんな状況を体当たりで変えてきたのが矢沢永吉なのだという。

友人に騙され、興行主に騙され、レコード会社に騙され、身内と思っていたマネージャーにも何度も騙され、その度彼は金をだまし取られ、信用を傷つけられ、そして心を踏みにじられてきた。

だが負けないのだ。この男はそこが凄い。興行主に騙されたら、興行主に任せずに自分達で興業まで全てを管理するノウハウを身につけて騙されないようにする。レコード会社に勝手なことをされたら、会社を移籍するとともに自分で管理会社を設立して版権を守る。横領によって借金を負わされてしまったら、歯を食いしばってそれを完済する。実に見事だ。

そもそもミュージシャンの自伝なのに、音楽に関する記述は驚くほど少なく、自らがどうやって矢沢永吉ブランドを守って突き進んできたかに多くのページが割かれていて、まるでビジネス本か自己啓発本を読んでいるような錯覚に陥るし、全てが自らの体験をベースに語られる分、巷の自己啓発本よりもずっと重く、そして迫力に満ちている。

広島市出身の彼は実母が出奔し原爆症に苦しむ父が早逝したため、祖母に育てられた。極貧と言える少年期の思い出を語る彼の言葉は父や祖母に対する愛情に溢れているが、それも彼が人生の中で学び得た世界観とのことで、若い頃は常に世の中や故郷や家族に対する悪態をつき続けていたという。

50歳を過ぎた彼は本書の終わりに「俺の人生はすべて正しかった」と言い切っている。そして我々読者に向かって、「自分の人生の主人公として、精一杯頑張れ」とエールを送っている。

矢沢永吉というミュージシャンの曲はこれからもあまり聴かないだろうし、彼の音楽が僕の人生に大きな影響を今から与えることもないだろう。だが、彼の生き方やモノの考え方には深く感銘を受けたし感動もした。こういう生き方ができる人を僕は心からカッコいいと思うし、彼のように僕も生きていきたいと、強く願った。

 

アー・ユー・ハッピー?
アー・ユー・ハッピー?
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矢沢 永吉
日経BP社
売り上げランキング: 11315
おすすめ度の平均: 5.0
5 40歳の今、私は読みました。
5 偉人、《矢沢永吉》。
5 矢沢永吉はかっこいい
4 「必死でがんばる」とはどういうことだろうか?
4 不器用でも一直線の生き方には力があります。

以前エントリーに書いた通り、いろいろと葛藤があり、僕はアマゾンを使うのをやめた。

一番の理由はアマゾンが法人税を日本では払っていないという朝日新聞の記事を読んだため。どうして日本人の作家が書いた本を日本の出版社が出して日本人が購入するのに、その売上をアメリカで計上してアメリカに税金を払うのだという想いと、そもそもどうして日本国内で完結するビジネスにアメリカのアマゾンが入ってきて、利益をアメリカに持っていくのだ、という忸怩たる想いがあったのだ。

で、アマゾンを使わないとなると、他のサービスで本やCDを購入する必要があるわけで、僕はこのブログで散々書いている通り、楽天のヘビーユーザーなので、自然な成り行きで楽天ブックスで本を買うようになった。

ところが、この楽天ブックスが期待したほど良くなくて困っている。楽天全体の水準は決して低くないと思うが、楽天は個々のショップの集合体なわけで、その中の一つである楽天ブックスは残念ながら、レベルが低いと言わざるを得ない。

僕が特に残念と思うのは以下の3点。

1. 品揃えが悪く「売り切れ」が多い。

これは致命的なことで、とにかく売り切れが多い。古くて売れていない本ならまだしも、発売されたばかりの本が「売り切れ」となっているケースが結構あって萎える。そういう場合にアマゾンをチェックすると必ずアマゾンには在庫があるのは何故?

2. 検索が使えない。あとお勧めなどの誘導が良くない。

これも結構困るのだが、探したい本が検索で出てこないのだ。書名で出ないので著者名で検索し直すと出たり、その逆もあったりと,使い勝手がイマイチ。そしてアマゾンみたいにキーワードでガンガンこちらを誘導してくれる仕組みがないのもちょっと残念。

3. 放置プレイは本当に、本当にやめて欲しい。

これが極め付けなのだが、注文した本が何の連絡もないままずっと届かないのは言語同断だし、届けられないのかもうすぐなのかの情報も何も来ないのも勘弁して欲しい。注文段階で「在庫あり」になっている本は問題ないのだが、注文段階で「在庫を確認します」などになっている本は届かないケースが多い。

以前「iPhone情報整理術」を注文した時もそうだった。この本は大人気で品切れになっていたので、注文を入れた時点で「お届け日未定」なのは良い。ところが、「次回入荷予定日」を過ぎても何も連絡がないのでサイトでこの本のページを見に行くと「在庫あり」になっていて、「1日〜2日で出荷」となっている。これはカチンと来るよね。予約を入れた人間向けが放置されているのに、その後のオーダーに対しては「在庫あり」になっているんだから。

ビックリして問い合わせたら、慌てて商品が届いて、「なんだかなー」と思ったのだが、今回また同様のことが起こっていて、萎えるやら呆れるやら。そろそろ楽天ブックスには愛想が尽きつつある感じになってきた。

1月5日に注文した本が今日1月15日になっても届かないのだ。ちなみに1月5日の注文時点でアマゾンでは当たり前のように「在庫あり」で、プライムな僕としては、アマゾンで頼めば翌日到着だった。

楽天ブックスは「在庫確認」となっていて、注文を入れた後で「在庫を確認します」というメールが届いたのだが、そのまま10日間放置プレイ。

しびれを切らして今日商品のページを確認したら、「在庫あり。1日〜2日で発送」となっていて、いよいよ堪忍袋の緒が切れようかという感じになってきた。

せっかく優先的に使おうと思っていても、こうまでダメだと正直萎えちゃうね。本は急ぐものはアマゾンに戻すかなぁ。届かないんじゃどうしようもないからね。

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今年の7冊目、渡邉美樹氏著の「夢に日付を! 」(Amazon , 楽天)を読了。

この本をノウハウ本と呼んでいいものか、少々迷う。何故なら本書に書かれている渡邉氏の夢実現のための手法はあまりにも過激であり、かなりハードルが高いものだからだ。

巷で勝間和代氏と香山ミカ氏の論争が話題となっているようだが、渡邊氏の説く成功への道は勝間氏どころの騒ぎではない。「20代は仕事のことだけ考えていても良い」、「睡眠時間を削ってでも決めたことは守る」などの、かなり強いトーンの言葉が並んでいる。

ここまで意思が強くないと実現できないのかと、思わず嘆息してしまう部分があるのが正直なところだが、渡邊氏の実践方法を全て真似する必要などないというのが正直なところ。

彼のノウハウを全て盗んでやろうと思うと、修行僧のような生活になってしまうが、それを諦めた瞬間に、この本は宝物がぎっしり詰まった良書へと変化する。とにかく良いことばかり書いてあるので、その中から自分が実践したいこと、実践できそうなことをピックアップして行けば良い。

まず、何よりも素晴らしい言葉が冒頭にある。

「世の中には失敗は何一つありません。ただ、あきらめたときが失敗であり、あきらめたときに物事はおわります。現象が終わるのではない。心が終わるのです。そして、心が終わったとき、すべてが終わるのです」

諦めなければどんな夢でも必ず叶う。だが、人間の人生は有限であり、誰もがいつかは死ぬし、その死は明日突然やってくるかもしれない。だから、今日を精一杯生きようということだ。とにかく素晴らしい。

他にも「「〜しなければ」では夢は叶わない。「〜したい」と思うと夢は叶う」や、「夢はカラーでイメージしよう。夢の中に白黒の部分があれば、その部分に何らかの不安や不確実要素があるということだ」など、本当にためになる、宝物のような言葉がぎっしり詰まっている。

夢を叶える手帳術という意味でも、人生を6本の柱で構築し、それぞれに夢と目標を描いていくという方法は実に素晴らしく、僕は以前同氏の別の本でこの6本柱について読んで、自分の9マス朝日記にこの6本柱の考え方を取り入れている。

あまりに強烈な同氏自身の目標設定や生活の方に目が行くと正直萎えてしまう部分もあるだろう。だが、そこからちょっと離れて読むと、これが非常に優れた人生のテキストとなる。

今後もうんざりしつつ何度も手に取りそうな予感がする。やはりこれは名著だろう。

渡邉美樹の夢に日付を!

 

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ブックレビュー、今年の6冊目は吉越浩一郎氏著、「ムダな仕事はもう、やめよう!」を紹介しよう。

吉越さんは僕がもっとも尊敬する現代の経営者の一人で、僕は吉越さんの著書は全部読むようにしているし、読んだものは順次このブログでも紹介してきているので、以前からこのブログを読んでくださっている方には繰り返しになる点も多いかと思うが、ご容赦いただきたい。

吉越さんの仕事論は大きく以下の3つの柱で構築されている。

・残業ゼロ

・デッドライン管理

・早朝会議

この三つの柱が密接に絡み合って吉越さんの論理が形成されていくのだが、そのうち本書はタイトルが示す通り「残業ゼロ」に焦点を当てたものである。

残業ゼロにフォーカスした本としては、「残業ゼロの仕事力」や「残業ゼロの人生力」があり、論旨はどれも同じである。それはある意味読む冊数が増えれば新鮮味はどうしても薄れるものの、それだけ軸がブレていないという意味でもあるので、改めて残業ゼロの意義を問うという意味でまったくその重要性は薄らいでいない。

僕自身も吉越さんの著書に触れてからは仕事を短期集中型に徹底的にシフトし、朝方生活を実践することで、集中力も増し、また残業もほとんどしなくて済むようになった。そしてその生活パターンが定着すると、以前の真夜中過ぎまで残業して仕事していた頃の生活が、いかに効率が悪いものだったかを痛感した。

もちろん人によっては組織自体が夜型になってしまっていて、自分一人だけが朝型にというわけにはいかないという人も多いだろうし、業界全体が夜型というケースもあるだろう。そのようなケースへの対応法も本書には書かれているが、やはり自分一人の力だけではなかなか変えにくい部分もあると思う。

だが、日本人の労働生産性が先進国中最下位で、アメリカの約70%しかないという事実を真摯に受け止め、どうしたらもっと高い生産性で仕事ができるかを考える時、やはり長時間労働とはどこかでケリをつけ、短期集中型の仕事法に切り替える方法を模索する必要があるのではないかと感じている。

吉越さんの仕事術は残業ゼロだけでは完結しないので、本書を読んだ方は、是非デッドラインの本と早朝会議の本も併せて読まれることをお奨めする。

 

ムダな仕事はもう、やめよう!

 

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今年の5冊目、ブックレビューとして山中秀男監修、「男性力がみなぎる本」を紹介しよう。

左の画像には帯は移っていないのだが、本書の帯には大きな字でこれは真面目な本ですと書かれている。そう、この本はきわめて真剣に書かれているのである。

この本で言っている「男性力」とはそのままストレートに「精力」と置き換えてもらって構わない。つまり本書は中高年男性向けの「強精」に関する本である。

僕自身は毎日走っていて体重も22キロ落としてきたということもあり、今のところ身体は至って健康であるとともに、本書が扱っている「精力」に関しても問題のない生活を送ることができている。

では何故この本を読もうと思ったかというと、去年「ホルモン力が人生を変える」という本を読み、男性ホルモンの減少は単に精力減退やインポテンツといった直接的な症状として現れるだけではなく、「鬱病」や「癌」などといった深刻な病気を併発する、大変重大なことだと知ったことが大きい。

男性ホルモンが減らないような生活とは何だろうか?そしてそれは僕ら一般の人にとってはどのような形でアウトプットされるのだろうか。そんなことを考えていた時に見つけたのが本書であった。

正直期待していた内容よりはずっと下世話で直接的に「中高年のセックス」を取り扱う本だったのだが、読んでみて実に面白く、また勉強になる部分も多かった。

本書では複数の専門家が提唱する「男性力強化法」とそれを実践している人という構成になっていて、まさに雑誌「壮快」の世界である。正直僕らの世代が読むとちょっと老人的過ぎて馴染めない部分もあることにはあるのだが、監修者の山中氏が提唱するように、人間ただ長生きすればいいというものではなく、いくつになっても健康で快活であることが望まれるのは当然のことで、「健康で快活」な生活には、性生活も含まれてくることは言うまでもない。

お互い大人になってくると、友人と飲むような機会があってもお互いのセックスや性生活について話すこともなくなってくるわけだが、もしあなたが今すでに自分の性に年齢的・健康的理由による不安を感じているのならば、本書はあなたの助けとなるだろう。

また、僕と同じく今のところ特に問題なく暮らせている人にとっても、幾つになっても健康で充実した性生活を送るためのヒントがたくさん載っていて勉強になるので、一読されることをお奨めする。一度失ってしまった健康を取り戻すのは大変だが、失わないように気を付けることはそこまで大変ではないからだ。

繰り返すが、これは真面目な本なのだ。30代〜40代の男性は皆読んでおいて損はない。

 

男性力がみなぎる本

 

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今年の4冊目として、あびるやすみつ氏著、「アフィリエイトでめざせ!月収100万円」を読了。

アフィリエイト関連の本はこれまでにも何冊か読んでみたのだが、その中で本書は非常にまっとうかつ真摯に書かれており、とても参考になったし、正直大分ホッとした。

世の中には沢山のアフィリエイト本やセミナーなどもあるようだが、どうも胡散臭いものも多く、中には違法スレスレのことを推奨していたり、違法とまではいかなくても、外部リンクを目的に何十という中身のない空コンテンツやブログを作れと指導していたりして、ネットの発展やユーザーの利益という意味で、明らかにおかしいものが多く、アフィリエイトという行為自体が色眼鏡で見られる一因となっていたように感じていた。

明らかに胡散臭いアフィリエイト本は紹介する気にすらならず、さっさと捨ててしまっていたが、本書はそれら怪しい本とは明らかに異なる、非常にまっとうなアフィリエイト本である。

本書で強調している「稼げるアフィリエイト・サイト」の要件とは以下の3つ。

・ユーザーにとって便利なものを作る

当たり前のことだが、多くのアフィリエイト本にはこの大原則が書かれていないばかりか、ユーザーを騙して金もうけをすることを仄めかすものも多い。だが、クリックして商品を買ったり資料請求したりするのはユーザーなのだから、彼らの利益になるようなサイト作りを目指すのは当然のことだ。

・自分の得意分野でサイトを作る

これも当たり前のことたが、自分が詳しくて知識もある分野であれば、サイトにやってきたユーザーに対しても適切な情報を提供できるだろうし、同じように商品を買ってもらうにしても、より良い製品を買ってもらうことができるだろう。これも当たり前のことでが、大切なことだ。

・独自コンテンツを作り、自分の言葉で語りかけよう

世の中には他人のコンテンツや商品リストやバナーだけを大量にコピーしたアフィリエイト・サイトが山のようにある。そういったサイトは単なる広告の塊であって、そこには独自性もサイトとしての本来の意味でのコンテンツも存在しない。ただ広告があるだけ、ようはテレビショッピング番組みたいなものである。

だが、世の中の全部のテレビ番組がテレビショッピング番組になってしまったらテレビの存在意義がなくなるように、ウェブにもしっかりとしたコンテンツがあった上で広告があるべきだという著者の考えはまったくその通りだと喝采を贈りたくなる。

あと驚いたのが、本書が出版されたのが2004年と、今から6年も前のものだということだ。流れが速いネットの世界では,技術や細かいテクニックは秒進分歩と言われていて、普通に考えて、6年前の教則本にはもう何も価値がないケースが多いのだが、本書は小手先のテクニックに走らず王道を解説しているため、6年という年月を経ても内容が古くならず、読んでいてまったく違和感がないのだ。これはこの世界の本としては凄いことだろう。

アフィリエイトの経験がまったくない初心者にはちょっとハードルが高いかも知れないが、ブログにアフィリエイト・リンクを貼った経験がある人は、本書が大いに参考になるのではないだろうかと思う。とても良い本だけに、タイトルももうちょっと硬派な感じでも良かったかもと思ったが、そうするとなかなか売れないんだろうね(^_^;)。

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