生き方・ライフスタイル書評

人生修復大全

生き方・ライフスタイル書評
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ニューサイエンティスト誌とヘレン・トムスン氏著、「人生修復大全」という本を読んだのでご紹介。

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本書は権威ある科学雑誌「ニューサイエンティスト」と、ニューサイエンティスト誌のコンサルタントでありフリーランスライターであるヘレン・トムスン氏によって著されている。

本書の冒頭で、トムスン氏は「昔から自己啓発書が大嫌いだった」と述べている。

科学的根拠がない曖昧とした内容や、「ほしいものを願い宇宙に向けて発信しつづければ、いずれは叶う」などのスピリチュアルな本が世の中に溢れている。

本書はそれらの根拠ない本とはまったく異なる、科学的エビデンスに基づいた、人生をより良い方向に導くガイドである。

全12章の内容は、「心配しないためには」「幸せになるためには」「自信をもつためには」など網羅的だ。

それら包括的な人生修復のガイドから、僕が特に心を動かされた内容をピックアップしたい。

さっそく紹介しよう。

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食で幸せになる

本書の第2章のテーマは「幸せになるためには」である。

その中で食べ物を改善することによって幸福度が増すことについて述べられている。

まずは脂質、塩分、糖分を減らし、全粒穀物、果物、野菜を多く摂取する「地中海食」を推奨している。

地中海食は身体に良いだけでなく、幸福度を上げる効果があるのだという。

その理由として地中海食には幸せホルモンの一つであるセロトニンの分泌を促進させる食材が多く含まれていることを挙げている。

乳製品、ドライフルーツ、魚などに多く含まれるトリプトファンやオメガ3脂肪酸などがセロトニンの生成を促すのだ。

また、幸福感の向上に関しては、腸内細菌について考慮することも推奨されている。

腸内細菌を活用して幸福度を上げるためには、特定の細菌を増やすより、細菌の多様性を高めることが大切だ。

1週間に30品目以上の植物性食品を摂っている人は腸内細菌の種類が多様で、メンタルヘルスやウェルビーインクの向上に繋がっているという。

ミックスリーフやミックスシードなど多品目が含まれる野菜やナッツなど種子類、全粒穀物などを積極的に摂ったことで、トムスン氏自身もウェルビーイングの向上を実感したという。

また、健康的なライフスタイルを送っているというポジティブ思考や自己認識が高まることも、幸福度のアップに寄与しているという。

「食」と「健康」の関連性は多く採り上げられているが、「食」と「幸福」もこのように様々な側面から研究され、成果を上げているのだ。

意志力は高められる

僕は「意志の力には限界がある」と思っていた。

しかも「意志の力は簡単に枯渇する」とも思うが故に、意志の力に頼らない「習慣化」を推進させてきた。

しかし本書によると、意志の力は高められ、しかも「一日中力を発揮できる再生可能な資源」だというのだ。

実は意志の力は、我々が「そう思ったときにだけ制限される」という。

ある実験で意志の力には限りがあると信じている人と、意志の力は無限だと捉えている人に同じ困難な課題を与えた。

すると、意志の力は限られていると考えている人は2つ目の課題で意志力の枯渇を示したが、意志力は無限と答えた人は失速の兆候を示さなかったのだ。

また別の実験では被験者グループに「精神的に困難なタスクに没頭するとエネルギーが湧いてくる」という文言を見せると、20分間の難しい記憶力テストの間、ずっと記憶力が向上し続けた。

いっぽう「意志力には限界がある」と言われてから同じテストを行なったグループでは、記憶力の向上は見られなかったのだ。

つまり、意志の力は限りがあると思っている人にとっては意志の力は有限で、意志の力はいくらでも続くと思ってさえいれば、意志の力はいつでもどこでも湧いてくるものなのだ。

ならば、常に「意志の力は無限」と思うことにしよう。

この本を読んでまずはそう思い込んで活動することに決めた。

デジタルメモリー汚染

僕は自分自身は電子書籍も出版している身でありつつも、本は紙で読みたい派で、電子書籍を読む機会はほとんどない。

このことについて、僕は単なる趣向の問題だと思っていたが、本書に気になる研究結果が書かれていた。

紙の本の方が、電子書籍よりも読書から得られるものが多いというのだ。

同じミステリー小説を紙で読むグループとKindleで読むグループに分けて読んでもらった。

結果、紙で読んだグループの方があらすじの再構築がうまく、14の出来事を正しい順序で並べる作業に関しても2倍近く正確だったという。

紙の本の方がデジタルよりも視覚情報が多く、たとえば「この出来事は本の1/3くらい進んだところ」というように関連付けて記憶できるからである。

また、パソコンやスマホなどの発達で、我々は多くの記憶を外部に委託することができるようになった。

友達の携帯番号はもちろん、行った場所を写真や動画に残すなどの行為は我々の生活をより良くしていると捉えられている。

しかし実際は、情報が記録されているというだけで、記憶の保持力は落ちてしまうことが分かっているという。

このことは僕自身も納得である。

iPhoneに友達の携帯番号が保存されているのに、わざわざその番号を暗記しておこうという気にはならない。

本書でもこのことは記憶力の「悪化」ではなく「変化」と示唆している。

デジタルメモリーがない世界が再び訪れたら大きな問題になるだろうが、そのような未来が訪れることはないだろう。

本書では、ときどき紙とペンを用意したり、カメラを持たずに目で記録するなど、デジタルメモリーに依存しすぎない生活を推奨している。

僕も一部タスクはアナログの紙とノートで行うなど、デジタルに依存しすぎない形を作っている。

まとめ

科学的根拠に基づき膨大なエビデンスを示しながら、我々の生活をより良くしようという本書の姿勢には驚嘆した。

中には「好きな人を口説く」や「道に迷わない」などの項目まであって脱帽である。

すぐに実践していくマニュアル本という側面もあるが、人類の叡知を集めた「大全」という読み方もできる。

著者のトムスン氏のキャラクターが尖っていて時々クスリと笑わせてくれるのも良い(マシュマロを一袋一気に食べたあとに虫垂炎になって以来マシュマロにトラウマがある、など)。

深く豊かな一冊でした。おすすめです!!

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