自己実現・自己啓発書評

タイム オフ 〜 働き方に “生産性” と “創造性” を取り戻す 戦略的休息術

自己実現・自己啓発書評
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ジョン・フィッチ、マックス・フレンゼル両氏著、「タイム オフ 〜 働き方に “生産性” と “創造性” を取り戻す 戦略的休息術」という本を読んだのでご紹介。

タイトルにあるとおり、この本は「休む」ことの大切さを網羅的に綴った大作である。

ページ数は実に528ページに及ぶ。

長い序章 + 全10章、さらにエピローグという壮大な構成の一冊だ。

タイトルでピンと来て手に取った。

僕にとっても最近戦略的な休息は大きなテーマだからだ。

ごく限られた文字数になるので、ほんの一部しか紹介できないが、本書の魅力を感じていただければ嬉しい。

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この本は、日本で生まれ、日本のために書かれた

「この本は、日本で生まれ、日本のために書かれた」。

本書の序文の冒頭にこの言葉が記されている。

本書の著者のひとり、マックスは2015年に来日して日本の企業で働いてきた。

そして日本の企業での働き方に触れたマックスは、序文にこのように書いている。

「 身も蓋もないことを言うようだが、企業も個人もすごく熱心に働いているのに、こんなに何も達成できない場所は日本以外にない。仕事内容がそもそも必要なのかを立ち止まって考える時間さえ取らず、ただ働き続けているからだ。」

日本のホワイトカラーの生産性の低さは悪名高く、OECD諸国で最下位、そして日本人の睡眠時間も先進国で最低である。

さらにいうと、日本人の幸福度も先進国では最低水準となっている(詳しくは拙著「やってみたらわかった!40代からの「身体」と「心」に本当に良い習慣」を参照いただきたい)。

日本は「過労死」という言葉が生まれ世界に広まるキッカケなった国であり、日本人の働き方に衝撃を受けたマックスは「タイム オフ」について学ぶことを決意し、その集大成が本書となった。

まさにこの本は日本で生まれ、日本のために書かれたのである。

余暇は怠けることではない

働きすぎが問題になっているのは日本だけではない。

その証拠に本書の英語版が出版されるとたちまちベストセラーとなり、休むことに対する様々な議論が巻き起こった。

そして働き方に対する考え方はコロナ過もあって大きく変化しつつある。

共通しているのは「働くことは美徳」という考え方が根付いていることで、「忙しさこそが正義」という価値基準が職場に染みついている点だ。

本書ではその理由を歴史を紐解きながら解説しているが、ひとことで言えば「いかに忙しいかを測れば、生産性やクリエイティビティをちゃんと評価するよりも手っ取り早いからだ」という本書の言葉に集約されるだろう。

ナレッジワーカーの燃え尽き症候群はWHOでも問題視されている。

「8時間労働は肉体労働のための基準であって、精神のための基準でない」

「ナレッジワーカーにとっての8時間労働というのは、産業労働者にとっての16時間労働と同等だ」

という主張も紹介されている。

米国メディア起業家で作家のアリアナ・ハフィントン氏は以下のように述べている。

燃え尽きるまで働かないと成功できないなんて、みんなで信じ込むのはもうやめよう」。

積極的かつ戦略的に休むことによって我々は回復し、そして創造性を取り戻すことができるのだ。

休息こそ「生産的」な行いである

本書では全10章に渡って「休む」活動とその意義について紹介している。

その内容は以下の通り

  • 創造する
  • 休息する
  • 睡眠をとる
  • 運動する
  • ひとりになる
  • 内省する
  • 遊ぶ
  • 旅をする
  • 繋がりを断つ
  • これからの働き方

本書では全編を通じて「休息こそ生産的な行いである」と捉えており、「仕事と休むことを極端に切り離したのは、僕たちの社会の大きな間違いだ」と主張している。

僕自身も書籍の執筆など息の長い知的生産活動を行う仕事をしているのでこの主張には完全に同意である。

自分が納得できる品質の文章を毎日コンスタントに書き続けるために僕がもっとも気を配っていることは「睡眠」である。

書籍原稿を書き始めたら夜更しはタブー。

そして良質の睡眠をとるために日中に筋トレとランニングを行い身体を活性化させた上できっちり疲れさせる。

つまり、「執筆」という生産活動と「睡眠」「運動」「食事」はセットで考えるべきであり、分離させてはいけないのだ。

休んでいるときには脳は活動を止めているわけではなく、活発になる部位が変化することが分かっている。

休んでいるときに活発になる脳の部位は「デフォルトモードネットワーク」と呼ばれている。

デフォルトモードネットワークは知能、共感、感情的判断、メンタルヘルスなどと強く結びついている。

つまり、「休息のとき、脳は記憶をまとめ、問題解決方法を静かに探っている」のだ。

最初から仕事と休息はセットで考え、日常に組み込むことが大切だ。

仕事の反対が休息ではなく、仕事と休息は一心同体で分離不可能なものと捉え直そう。

まとめ

本書ではアリストテレス、キルケゴールなど世界の賢人35人がいかにタイムオフを大切にしていたかをエピソードとともに紹介している。

528ページという分厚い本だが、読みやすく説得力もあり楽しく読破できた。

日本語への序文は読んでいて心が痛くなる部分もあった。

日本人は優れた面をたくさんもった素晴らしい国民だが、職場の効率の悪さが放置され長時間労働が当たり前になっているのは事実だ。

僕自身はいま一人で好きなことをして自由暮らせているが、本来ならすべての人がもっと自由に楽しく短時間で仕事を切り上げ、十分な休息を得られる社会になるべきだと思っている。

この本が一人でも多くの日本人に届き、働き方の改善が大きく進むことを願う。

素晴らしい一冊でした!オススメです!!

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