マーケティング3.0 by フィリップ・コトラー 書評 〜 これぞ21世紀のマーケティング戦略だ!!

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159_02フィリップ・コトラー氏著の「コトラーのマーケティング3.0」を読んだ。

あちこちでバージョン3.0という話がもてはやされている。

僕が最近書評を書いた本にも、「リーディング3.0」や「モチベーション3.0」などがある。

これら「3.0」関連の本を複数読んで感じることがある。

いま僕らが生きる時代、特に21世紀に入って以降の時代は、以下の4つのインフラが整備されたということで、20世紀までとは、あらゆる意味で違う時代に突入したのだということだ。

その4つとは。

  • 高速かつ常時接続のインターネット網
  • iPhone、iPad、MacBook Airなどに代表されるモバイル端末
  • クラウドサービス
  • Twitter、Facebook、ブログなどのソーシャルメディア

これら4つが僕らの生活を覆った時に生まれる新しい現象を、様々な角度から様々な人々が研究し、発言している。

本書「コトラーのマーケティング3.0」は、まさに企業のマーケティング戦略に訪れた劇的かつ不可逆的な波について言及した名著である。

さっそく紹介しよう。

 マーケティング3.0 by フィリップ・コトラー 書評 〜 これぞ21世紀のマーケティング戦略だ!!

マーケティング3.0とは何だ?

そもそも、「マーケティング3.0」とはなんなのだろうか。そして、従来のマーケティング1.0や2.0とはどう違うのだろう。

著者チームは本書の序文でマーケティングの各段階を以下のように定義している。

マーケティング1.0 = 製品中心の考え方

マーケティング2.0 = 消費者中心の考え方

そしてマーケティング3.0は以下のように定義されている。

マーケティング3.0とは、企業が消費者中心の考え方から人間中心の考え方に移行し、収益性と企業の社会的責任がうまく両立する段階である。

「消費者中心の考え方から人間中心の考え方に移行し」とはどういうことだろうか?

ここにも、高速インターネットの普及による情報化とグローバル化が密接に関係しているのだ。

従来のマーケティング2.0では、企業はその企業の商品を買ってくれることだけを考えていれば良かった。

たとえばPCメーカーであれば、そのメーカーのPCを買ってくれる人、つまり消費者のことを考えて活動すれば良かった。

 

だが、ついに幕を開けたマーケティング3.0の時代においては、企業は消費者の、モノやサービスを購入するという一面以外の、全人的・包括的な「人間」を相手にマーケティングを展開する必要がある。

その背景には、ソーシャルメディアの台頭やグローバル化が挙げられている。

ソーシャルメディアの世界では、人々は商品やサービスを直接メーカーのサイトやページから知ることよりも、自分の周囲にいる友人や知人のSNS上での発言を通じて知る機会が多くなる。

直近の例では、僕がデジタル一眼を収めて外出する際に利用できる「カメラバッグ」が欲しいとSNS上で発言したことを例に挙げよう。

僕が「良いカメラバッグを探している」と書き込みしたところ、TwitterやFacebookで、既にお気に入りのカメラバッグを購入した人や、現在進行形で購入を検討している人たちから、複数の商品を「オススメ」された。

彼らは商品の販売元から営業手当をもらっているわけではない。自分が使って「良かった」商品を、SNSを通じて推薦することで、その「良かった」を広げようという善意で活動しているのだ。皆さん本当にありがとうございました。

そのような時代において、企業に求められるのは、より確固たるミッション、そして社会的活動など、人々の生活や人生をいかにサポートするかという視点である。

単に商品を作って販売促進をするという姿勢から、人々の生活や行動に寄り添いサポートすることで、人々が「あの会社が好きだ」と思ってもらうこと、これこそが、ソーシャル時代に企業に求められるマーケティングの一つの原則である。

グローバル化がもたらすもの

ソーシャルメディアの台頭と並んでマーケティング3.0時代の扉を開いたキーワードは「グローバル化」である。

物流の高速化と常時接続高速インターネットの全世界的普及により、多国籍企業のグローバル展開が加速化している。

日本を代表するトヨタ、日産といった自動車メーカーも、全世界に展開する多国籍企業の代表選手である。

だが、グローバル化という事象を冷静に考えると、そこにはたくさんの負の側面があることに気づかされる。

身近な例でいえば、東京の多くの飲食店は、アジア、南米などからやってきた留学生をアルバイトとして雇って店を運営している。

理由は簡単で、留学生達は貨幣価値の異なる貧しい国からやってきているため、安い時給でキツイ仕事をやってくれるからだ。

ここで問題になるのは、飲食業界のアルバイトの時給水準が大量の留学生の流入により下落し、日本人が思うように職を見つけられなかったり、安い時給で働かざるを得なくなることだ。

つまり、物価が高い国から物価が安い国にお金と労働力が一気に移動する。これがグローバル化だ。

そしてグローバル化のもう一つの問題は、世界的大企業が発展途上国に進出する際の、貧困問題への取り組みである。

アジア・アフリカ・中南米などの新興マーケットには、まだ十分な製品・サービスが行き届いていない。

だからこそ大きなビジネスチャンスがあり、世界的企業はこぞって新興国の中でも可能性が高い国へと進出していく。

だが、新興国でモノが売れる背景には、その国の中での貧富の問題があり、モノを買ってくれる人達の一つ下の階層には、買いたくても買えない多くの人々が存在している。

「ただ、モノが売れればいいのか」

世界的大企業のバックボーンには、成熟した先進国の目の肥えたユーザーがソーシャルメディアを駆使して企業の活動を見つめている。

そのような時代に、企業は買ってくれない人たち。つまり新興国の貧困層へのアプローチについても、大きなミッションを持っていることを自覚し始めていると著者は説く。

貧困の撲滅こそが最高のマーケティング

モノを買えない多くの貧しい人たち。その背景には武力紛争があり、汚職があり、疫病があり、そして大きな貧富の差がある。

マーケティング3.0は、これら貧しい人たちを貧困から救うことこそが、その究極のミッションであるとコトラー氏は説明している。

企業にとって、貧困層が購買力を持ち中流層へとのし上がることで、多きな商機が生まれ、その国でのブランド価値を高める可能性も飛躍的に高まる。

具体例として、新興国の代表格であるインドの例が示されている。

インドでは2005年には最大の諸費者層は貧困層だった。

貧困層は人数が多くても購買力がないため、可処分所得は低く抑えられていた。

ところが2015年の予測では、インドでもっとも多くの人口を擁するのは中間層となり、それに伴って携帯電話や自動車などの購買力が飛躍的に増すことが予測されている。

国民の購買力が増すことは、企業にとって最大のチャンスであり、これを後押しすることこそが、新興国における最高のマーケティングとなるのだ。

まとめ

発展途上国、新興国から貧困をなくすこと。

企業だけでできることではない。著者グループも冷静に述べている。企業、NPO、政府が密接に連携して協力する必要があるし、政情不安定な国では実現できないことも多いだろう。

だが、情報や人々が簡単に国境を越えて移動する時代において、グローバル企業が果たすべき役割は、「製品を提供する」「利益をあげる」といったシンプルなことから、より高いミッションへと移動すべき時期にきていることは間違いない。

このレビューの冒頭に書いた「ピラミッドをダイヤに変えろ」というのは、本書で貧困を撲滅することで企業が発展するためのキーワードである。

多くの発展途上国では、貧富の差は人口分布でピラミッド型となっている。

ごく僅かな富を持つ人々から、中間層へ、そして圧倒的多数が貧困層へ、というピラミッドである。

だが、上述したインドの例、そして太平洋戦争後の日本の例を見れば分かる通り、発展した先進国においては、貧富の差はピラミッド型ではなく、ダイヤモンド型になる。

上流層と下流層が少なく、真ん中の中流層に人口が集中するのだ。

「人間中心」でありつつも、営利企業として利益を上げ続けることもできるのか。

本書ではまだその結論は述べられていないし、述べることもできない。

ただ、多くの世界的企業はコトラー氏の定義する「マーケティング3.0」へと舵を切っていることは明らかだ。

果たして日本企業にそのような大きな動きは見られるであろうか。

視点を広く持って大局的に世界を見ないと、向かうべき道を間違えるのではないだろうか。

10年後には答えが出ているだろうか。楽しみだ。

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