マーケティング・ブランディング書評

お客様は「えこひいき」しなさい! by 高田靖久 〜 究極の顧客満足を追求する!! [書評]

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ブックレビュー2010年の109冊目は高田靖久氏著、「お客様は「えこひいき」しなさい!」を読了。

大競争時代と言われる昨今、飲食店をはじめ美容院、CDショップ、スーパーなど、どこへ行ってもクーポンやポイントカードなどが発行され、顧客のつなぎ止めに必死になっている。

ところが、これだけポイントカードが乱発されてしまうと、カードを発行していること自体は差別化ポイントにならず、単なる値引き・安売り販売となってしまい、店舗・企業としては利益を削るだけという共倒れ状況が発生してしまっている。

そんななか、本書は本当に顧客が喜びリピートする仕組みとして「えこひいきマーケティング」を提唱する著者の、他とは違うえこひいきのコツや要点をシンプルかつ分かりやすくまとめた本だ。

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お客様は「えこひいき」しなさい! by 高田靖久 〜 究極の顧客満足を追求する!! [書評]

ポイントがとても分かりやすく即実践可能だ。

飲食業や接客業を経営している方なら明日からでも実行できる内容だし、僕のように直接接客業に携わっていない人間でも、この仕組みを知っているのと知らないのとではモノの考え方がまったく違ってくるだろう。

メッセージはシンプルだ。

要は「あなたにとって一番の上得意が誰なのかをしっかり調べて、その上得意が喜ぶ「えこひいき」を徹底的にやりなさい」ということだ。

累計での売上高が高く、来店頻度が高い顧客を「ファン層」と定義し、ファン層とその下の「得意客層」が店舗の売上の75%を占めるという調査結果をもとに、これらの顧客が喜ぶサービスをいかに提供するかを示してくれる。

初回顧客に限って値引きをするサービスを提供している店が多いと著者は指摘する。

そしてその方法は完全に間違っていると。

初回顧客が10%の割引なら、一番大事なファン層顧客には20%の割引をしなければ、ファン層顧客の客離れを招き、売上は低下してしまう。

また、安易な値引きキャンペーンは価格にしか興味のない顧客の流入を招き、常連客にとって居心地の悪い状態となり、上客が離れてしまうことになる。

ファン層顧客が本当に喜ぶえこひいきとは、値引きではなく、顧客自身が店から大切に思われ特別扱いされているという気持ちである。

例として、常連だけしか食べることのできない裏メニューを置く飲食店やファン層顧客にはビールジョッキの大きさを大きくし、さらに「大・大王様」と書かれているジョッキで提供する居酒屋などの身近な例から、世界一のレベルと謳われるリッツカールトンが行う徹底したえこひいきまで、幅広く実例を紹介してくれる。

大切なのは「金銭」ではなく「心」のえこひいき。

常連のことは必ず名前で呼ぶ、誕生日にはディスカウントチケットを送るのではなく花を贈る、前回「美味しい」と言った料理や嗜好のことを店員が憶えていて顧客が言う前にそれを言ってくれるなど、自分が顧客だったら嬉しいしビックリするような提案が盛り沢山である。

ふと自分の周囲を見回した時、この本が提唱しているような「えこひいき」をしてもらった憶えのある店やサービスについては、確かにとても良い印象を持っていて、愛着を感じていることを実感した。

小規模の飲食店などの場合は店主の才覚で実現できるし、ちょっとしたデータベースを構築すれば、中規模以上のビジネスでも実現可能だろう。

大事にすべきは既存顧客。

特にそのサービスを一番良く使い、お金を使ってくれるファン顧客。

言われてみれば当たり前のことなのだが、実践している企業や店舗はまだまだ少ないように思う。

是非このような考え方が今後どんどん広がっていけばいいと、本気で思った。

素晴らしい本だ。

「お客様は「えこひいき」しなさい!」のチェックはこちらからどうぞ!!

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