心・心理・あり方書評

精神科医が教える 幸せの授業 by 樺沢紫苑

心・心理・あり方書評
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精神科医でベストセラー作家の樺沢紫苑さん著、「精神科医が教える 幸せの授業」(飛鳥新社)という本を読んだのでご紹介。

この「精神科医が教える 幸せの授業」は、2021年3月に刊行された樺沢さんの「精神科医が見つけた 3つの幸福」(飛鳥新社)を図解版にしたものである。

精神科医が見つけた 3つの幸福」は本当に素晴らしい内容で、書評も書かせていただいた。

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「精神科医が教える 幸せの授業」は図解版ということで、「精神科医が見つけた 3つの幸福」の内容を分かりやすく凝縮した形となっている。

全ページフルカラー、内容が頭に入りやすい対話形式の本文、可愛らしいパステル調で章ごとにテーマカラーが変わるデザインなど、中高生でも十分楽しめる仕上がりになっている。

内容についても「精神科医が見つけた 3つの幸福」から2年半の時を経てさらに熟成され、さらに分かりやすく素晴らしい。

さっそく紹介しよう。

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幸福の正体は3つの脳内物質

本書では「幸福の正体は3つの脳内物質である」と定義している。

3つの脳内物質とは、セロトニン、オキシトシン、ドーパミンである。

この3つの脳内物質が出ているとき、我々は幸せを感じるのだ。

しかしこれら3つの脳内物質は、それぞれが我々に異なる幸せの感じ方をさせる。

「セロトニンの幸福」は、やすらぎやリラックスなど、心と体が健康な状態でこそ感じられる幸せである。

たとえばぐっすり良く眠れたあと、良く晴れた朝に散歩をしていて、「ああ、なんて爽快で気持ちがいいんだ」と感じる。

このような、静かで穏やかな幸せが、セロトニンの幸福である。

「オキシトシンの幸福」は、愛やつながりの幸せである。

パートナーや家族との繋がり、ペットや友達、仲間との触れ合いや絆といったものから感じられる幸せだ。

性行為やスキンシップはもちろん、友達や家族との会話やLINEのやり取り、ペットを撫でるなどでも分泌される。

そして「ドーパミンの幸福」は、達成の幸せである。

目標を達成したとき、成功を収めたとき、地位や名誉を得たときなどにドーパミンが分泌される。

この3つの脳内物質が分泌されるとき、我々は幸せを感じるのだ。

3つの幸福の優先順位

幸福を感じる物質は3つあるが、この3つには優先順位がある。

一番ベースとなり優先順位が高いのが、セロトニンの幸福だ。

セロトニンの幸福は、心と体が健康である時に感じるものだ。

どんなに仕事で成功しても大金を得ても、どんなに愛する家族や仲間がいても、病気になったり心を病んでしまっては、幸せを感じることができなくなる。

実際セロトニンの分泌が不足すると、心身の健康を損なうことになってしまう。

セロトニンの分泌を促すために最も大切なのは「睡眠」である。

最低でも日々7時間の睡眠は確保したい。

それに加えて大切なのが「朝日を浴びること」「リズム運動」「咀嚼」である。

朝起きたら外に出て散歩をする「朝散歩」は、セロトニン分泌に非常に有効だ。

次に優先順位が高いのが「オキシトシンの幸福」になる。

オキシトシンは「愛のホルモン」ともいわれ、他者との交流、コミュニケーションによって生まれる「つながりの幸福」を感じるときに分泌される。

オキシトシンはパートナーや家族との繋がりだけでなく、他者貢献や人に親切にすることなどでも分泌される。

そしてもっとも優先順位が低く、取り扱いに注意なのが「ドーパミンの幸福」だ。

ドーパミンは成功、達成などに強く関わり分かりやすく、また強い快感を伴うので、我々はついドーパミンの幸福ばかりに意識がいってしまう。

しかしドーパミンの幸福は長続きせず、また欠乏感を生み「もっと、もっと」と追い求めてしまい暴走状態になりがち。

またアルコールや薬物などでもドーパミンの幸福を得ることができるので、依存してしまうこともある。

ドーパミンの幸福は「やる気のブースター」として活用できるが、セロトニンとオキシトシンの幸福を押しやってしまうことが起こりがちなのだ。

どんなに成功しても健康を損ない、家族とも断絶ということでは、根本的な幸せを獲得することはできない。

幸福とは「なる」ものではなく「気づく」もの

セロトニンとオキシトシンの幸福は、「気づく」幸福である。

どんなに爽やかな朝でも、カーテンを閉ざし家の中で落ち込んでいては自分の幸せに気づくことができない。

幸せとは「なる」ものではなく、幸せを感じている「状態」であり、「プロセス」である。

ドーパミンの幸福だけを追求してしまうと、何かを成し遂げた「未来」に幸福があると捉えてしまう。

しかしそれをしてしまうと「もっと!もっと!」と更なる成功を追い求めてしまい、「現在」の幸せを感じられず置き去りになる。

ドーパミンの幸福に較べるとセロトニンとオキシトシンの幸福は静かな幸福である。

だからこそ、セロトニンとオキシトシンの幸福をしっかりと日々「感じ取り」、「気づく」習慣を持つことが大切だ。

2つの幸福が土台にしっかりあったうえで、健全にドーパミンの幸福を追求することで、バランスが取れた「幸福の三段重」を獲得できるのだ。

究極の幸福状態とは

究極の幸福状態とは、「フロー」や「ゾーン」といわれる「没入した時間」である。

時間を忘れて何かに「夢中」になっているとき、我々の脳内では脳内麻薬や幸福物質が大量に分泌されている。

フロー状態のとき、我々はとても気持ちが良く、しかも集中力も生産性も高い状態を維持することができる。

フロー状態は仕事のときはもちろん、遊びや運動のときなどにも起こすことができる。

だからこそ、しっかり働き、遊ぶときも徹底的に遊ぶというメリハリが大切になる。

集中力が必要で主体的にでき、自己成長を伴うものが「フロー」であり「夢中」な状態である。

自己成長を伴わないものは依存や中毒状態となるのでしっかり区別しよう。

まとめ

我々が感じる幸福は3つに分類され、異なる脳内物質が分泌されるときに幸福を感じる。

幸福は「なる」ものではなく「感じる」もの。

同じ境遇にあっても、日々の幸福を感じられる人は幸せで、感じられない人は不幸ということになる。

ドーパミン的な成功や達成を追い求め続け、現在の静かな幸せを見ない人生は、あまりにももったいない。

僕自身も成功や達成を追求しすぎる傾向があるので、セロトニンとオキシトシンの幸福をしっかり日々感じて生きていきたい。

「精神科医が見つけた 3つの幸福」を分かりやすく凝縮した素晴らしい一冊でした。

オススメです!!

「精神科医が教える 幸せの授業」のチェックはこちらから!

精神科医が教える 幸せの授業

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