語学・資格・学び書評

英語学習のつまずき 50の処方箋

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イングリッシュ・ドクター、英語の専門家である西澤ロイさん著、「英語学習のつまずき 50の処方箋」という本を読んだのでご紹介。

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日本人は英語が苦手な国民として有名である。

そんな国民性のなか、ロイさんはTOEIC990点の満点を誇り、著書は累計17万部を突破している。

イングリッシュ・ドクターの名のとおり、英語を習得したいが上手くいかない人たちの「英語病」を治療する活動を続けられている。

そんなロイさんの最新刊「英語学習のつまずき 50の処方箋」が面白いと評判だったので読ませていただいた。

さっそく紹介しよう。

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日本語は英語からもっとも遠い言語

本書は英語を学んでいる人が陥りがちな「英語病」を50に分類し、その典型的な症例をあげ、それぞれの処方箋を提示するというユニークな構成。

全体を「英語学習総合科」、「単語学習科」、「英会話表現科」、「リーディング科」、「リスニング科」、「発音科」、「資格試験科」の7つの「科」に分類し、それぞれの症例をあげている。

それぞれの症例名も「エゴイヤ病」、「単語コレク症ン」、「アイキャント症候群」などユニークだ。

それぞれの具体的な症例と処方箋に関しては是非本書を読んでいただきたいのだが、本書を読んで僕が感じた、なぜ日本人は英語が苦手なのかという点をいくつか挙げてみたい。

ちなみに僕は法政大学の英文科を卒業して翻訳の専門学校を修了、その後17年間翻訳会社に勤務していた。

翻訳者ではなく営業からマネジメントの仕事をしていたが、外資系企業との英語での契約や交渉などビジネス英語はずっと使い続けてきた。

ロイさんのように英語を教える仕事はしたことがないが、英語はビジネスレベルで使えるし、得意だと自分でも思っている。

さて、そんな僕がまず感じたこととして、日本人が英語ができるようになりにくい要因の一つが、言語体系があまりにも違うということ。

西欧の国の言語はアルファベットを使っているし、文法も似通っているからフランス人やスペイン人が英語を学ぶときにはハードルが低い。

また中国語は文法や発音が英語に似ている部分が多く、中国人は英語を習得しやすいという。

日本語と英語は文法は真逆だし発音もまったく異なるなど、そもそものベースとして習得しにくい言語なのだと感じた。

翻訳することを重視する教育の問題

今の子供たちがどのような英語教育を受けているかは分からないが、僕が中学校や高校の授業で英語を習った当時は、英語を日本語に翻訳することが重視されていた。

文法、単語などを憶えることが重要な「暗記科目」のように感じていたことを良く憶えている。

中学のときも高校のときもネイティブの先生に習うことは一度もなく、スピーキングやリスニングは授業であまり触れることがなかった。

僕が英語が得意になった理由は、幼少期に祖母から英語を習っていたからだと思う。

習うというか、夜に眠るときに祖母が英語の本を読み聞かせしてくれていたのだ。

祖母はクラシック歌手だった関係で、イタリア語、ドイツ語、英語、フランス語、それに中国語ができた。

ステージに立つ仕事をやめたあとは音楽教室を経営して自ら歌とピアノを教えていたが、同じ教室で子供を対象に英語も教えていた。

歌手が教える英語だから、当然ながら聴くことと話すことが重視され、英語の歌もたくさん歌うクラスだった。

僕の母もジャズの歌手兼ピアニストだったので当然英語の歌を毎日歌って生活していたし、母の影響も僕は受けていた。

歌手だった母は夜の仕事に出掛けていたので、寝るときは祖母が寝かせてくれることが多かった。

そのときに祖母が英語の歌を歌ったり、英語の絵本を読み聞かせてくれたりしていた。

だから僕にとっての英語は、聴くことと話すこと(歌うこと)からスタートしていた。

大学に入って初めてネイティブの先生から英語を学ぶようになって、僕はどの先生からも「お前はすごく発音が良い」と褒められることになった。

そのことを祖母に話すと、「私のお陰よ」と自慢していたが、まさにその通りだと思う。

少なくとも当時の日本の英語教育は、英語を学問として捉えていたように思う。

しかし実際はロイさんも書いているとおり、英語はコミュニケーションツールである。

書くこと、読むこと、さらにいうと日本語に翻訳することに偏重した授業では、外国人とコミュニケーションできるようにはならないと思う。

英語を日本語に変換することが英語学習だと勘違いしてしまうのだ。

しかし実際は英語は英語のままイメージできるようになることが大切で、日本語を介在させる必要はない。

本書でロイさんが書かれているさまざまな「英語病」の症例を読んで、そのように感じた。

発音の違いをもっと早く学ぶべき

日本の英語学習の典型が「ディス イズ ア ペン」である。

英語を日本語のカタカナに置き換えて憶える行為だ。

しかし、英語の「This is a pen」と日本語の「ディス イズ ア ペン」はまったく発音が違う。

日本語は母音も子音も英語より圧倒的に数が少なく、日本語にはない音が英語にはたくさんある。

しかし少なくとも僕がそのことを学校できちんと学んだのは大学の英文科に入ってからだった。

英語音声学という授業で、日本語の「ペーパー」と英語の「Paper」の最初の「ぺ」と「P」の音の違いや、「エル」と日本人が思っている音と英語ネイティブが「L」で発音するときの舌の位置の違いなどを学んだのだ。

日本人の英語がネイティブに通じにくいのは、発音の違いを体系的に学ぶ機会がないからだ。

翻訳会社時代は電話会議などでネイティブとノンネイティブが入り交じって喋る機会も多くあった。

中国人の英語はかなり乱暴で、単語の羅列みたいな感じだが、それでも通じるのは発音がそこそこ整っているからだった。

日本人が喋るときは発音がカタカナ英語になってしまい、LとRやSとSHの区別がつかず、相手に伝わらないことが多かった。

外国人とコミュニケーションを取ることが目的ならば、「相手に通じる」ことをもっと重視する教育をした方が効果的だろう。

まとめ

本書に書かれている「英語学習のつまずき」の50の症例はどれもリアルで多くの人に役立つ処方箋ばかりだ。

僕自身最近英語に触れる機会が少ないなか、とても刺激を受けた。

また英語に触れる仕事がしたいと、ムズムズする気持ちが湧いてきた。

英語とどんな関わりができるか、掘り下げて考えてみよう。

英語がなかなか上達しない人には心強い味方になってくれる一冊。

おすすめです!!

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