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Life Packing by 高城剛 — ガジェット好きは読んではいけない [書評]

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ライフハックではない。「ライフパック」である。

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Life Packingとは、人生をパッキングしてしまうという語感だろうか。

高城剛さんの著作が最近面白くて仕方がない。

以前は「高城剛が嫌い」と公言していた僕だが、21世紀に入ってからの、新世紀の高城さんの活動は実にユニークで面白い。

ハイパーノマドとして世界を移動し続けているという意味では、僕にとって「ノマドの大師匠」みたいな活動をしているし、視点が独特で、似たことをしている人が見当たらないのも面白い。

そしてこの本もまた、めちゃくちゃユニークな本だ。

高城さんが本当に使っている私物を写真とともに紹介する、「Life Packing」という本だ。

 

LIFE PACKING(ライフパッキング)【未来を生きるためのモノと知恵】高城 剛 晋遊舎 2012-11-15
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by ヨメレバ

 

僕のようなガジェット好きにはたまらない。全部欲しくなってしまうのだ。だからこのエントリーのタイトルの「読んではいけない」は、もちろん逆説的なジョークだ。

とにかく面白い。さっそく紹介しよう。

 

 

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99%のモノを捨ててたどり着いた厳選されたモノ

高城さんは5年ほど前に自分の持ち物の99%を処分した。

最初のきっかけは、長年住んだ渋谷や原宿が「つまらなくなってしまった」と感じるようになったことだ。

高感度な時代のアンテナと言われる街がつまらないということは、日本全体が「低感度で閉塞的」になると予感し、別のどこかに引っ越そうと思った。

彼はこの動きを「20世紀からの脱却」と位置づけている。

そして同時に彼は消費社会の終焉を予感し、コレクションしてきたスニーカーやフィギュア、使わなくなったガジェットなど、60畳の家に積み上がっていた不要なものの90%を処分した。

その数段ボール1,000箱に及んだが、大した苦痛もなかったという。結果、想いのないモノがどれだけ自分の家を埋め尽くしていたかを実感することになった。

だが、90%を処分した後に、さらに残りの9%を処分するのは大変な苦労があり、削減に2年を要したという。

そしてこの本で紹介されているのが、高城さんが厳選に厳選を重ねて残した残り1%のモノたちなのだ。

 

 

この本の視点がユニークなのは2点。

まず、全部の商品がメーカー提供のサンプル品ではなく、実際に高城さんが使っている実物をそのまま写真に収めている点。

スーツケースから下着のパンツまで、使用済み品なのだ。

高城さん本人も、「穿いているパンツをそのままフルカラーで載せる本も滅多にありません」と書いている。

そしてもう一つのユニークなポイントは、高城さんが旅をする期間ごとに、持ち物を分類している点だ。

1日、つまり日常的な外出時から始まり、2週間までの旅、1ヶ月、3ヶ月、1年と、期間が長くなるごとに移動の際に追加される「モノ」を紹介していくのだ。

本書には「この本に載っているモノしか持っていません」という宣言はない。紹介に値しない実務的だったり紹介に適さない持ち物(契約書だとかコンドームだとか)もあるだろう。

だが、「この本は僕の所持品一覧」とまえがきに書かれているのだから、恐らくこれでほとんどの持ち物を網羅しているだと推測する。

こんな視点で本を作れる人はなかなかいない。感心させられる。

 

 

 

モノが減るとノイズも減って感度が良くなる

本書で紹介されるモノは、パスモやマネークリップのような日用品から、下着、シャツ、ダウンジャケットのような衣類、それにiPhone、Mac、DJ用のコンソール、スーツケースからランニングシューズからデジタル一眼まで、実に多岐に渡る。

そして特徴的なのが、一つ一つのモノに対して、「何故僕はこのモノを選んだのか」という、明確なこだわりがある点だ。

99%のモノを処分した末に残ったモノ、しかも日常的に旅を続ける彼にとっては、「モノが多い」ことは移動の邪魔になるわけで、不要なモノは持たないことになる。

モノが減ることでノイズも減って、感度が良くなるのだ。

たとえばヘッドフォン選びについても、彼のこだわりが感じられる。

高城さんが愛用しているのは、ソニーのMDR-EX 800STというスタジオモデルのカナル型ヘッドフォンだが、耳に入る部分のイヤホンチップだけはComplyのTx-400に取り換え、密閉性を高めている。

従来はノイズキャンセリングのヘッドフォンを使っていたのだが、このMDR-EX 800STを使うようになって手放したという。

すべての持ち物に、「何故これなのか」「これが必要である明確な理由」が書かれていて、ガジェット好きは全部試してみたくなってしまうのだ。

 

by カエレバ

 

 

by カエレバ

 

 

 

世界を渡るハイパーノマドだからこその視点

この本のもう一つの面白さが、「旅」という視点である。

僕も旅が好きで、あちこちを移動して歩きたい衝動が強いので、その点もとても面白い。

たとえば高城さんが日常的に着ているシャツは「白」と決めているのだが、その理由は、入国審査での「通り」が黒のシャツを着ている時より圧倒的に良いからだ。

パスポートにスタンプが山盛りで、大荷物を抱えた髭面の怪しい男は「別室送り」になりやすい。

別室送りになれば、余計な時間を取られストレスも大きい。

そこが白シャツだと通りが良いというのは、まさに旅の経験が豊富な人でないと書けない視点だ。

 

 

他にも、デイバッグが中身が見えるメッシュタイプだったり、細かいガジェットを入れるケースが透明のビニール製だったりするのも、手荷物検査で引っ掛からない工夫だそうで、ガジェットを多く持ち歩く僕も頷く点が多い。

また、財布を持たず紙幣を「びわ茶」のパッケージに入れているのだが、これは友人宅で泥棒に入られた時に、友人の金品は盗られたのに、この「びわ茶」に入れたお金は盗られなかったためだという。

さらに、世界のどの国に移動してもiPhoneが使えるようにするのに必要なSIMカッター、水をろ過してクリーンな飲み水にしてくれる特殊なストロー、機内持ち込みOKギリギリサイズで1ヶ月の旅行用品が全部入るキャリーバッグなど、とにかく実際に旅をしていないと見えてこない「必需品」が山盛りだ。

旅行用の小型体重計や「モバイル神棚」などまで登場して、読んでいて楽しくて仕方がない。

 

by カエレバ

 

 

まとめ

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全部実際に高城さんが使っているモノを、本人がスタジオまで持ってきて、それを撮影する。

制作現場も実に楽しそうで羨ましい。

本書で語られていることでもう一つ面白いのが、「どうやって最小サイズのバッグやスーツケースに大量のモノを詰めるか」。

1ヶ月分の旅行に持っていくものを、機内持ち込みサイズのキャリーバッグに詰める。

そこにはスーツあり、アイロンあり、体重計あり、2台のMacありなのだ。

スタッフが皆「入らないでしょ」と言うなか、高城さんが実際に目の前で全部を詰めて皆がビックリ。

快適な旅は「スマートパッキングにあり」という高城さんの言葉が印象的だ。

 

 

たくさんのモノに囲まれて暮らすことが豊かさの象徴だった時代は終わり、これからはシンプルに生きることが大切とされる。

モノよりも「経験」、モノよりも「時間」、モノよりも「人」。

そういった方向に時代はシフトしていくのだと思う。

モノは少なく、でも厳選し、必要な投資は惜しまない。

そこがこれからのライフスタイルなのではないだろうか。

高城剛おそるべし。本当に楽しい本でした。ガジェッターは全部欲しくなるよー(^_^;)。

 

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