エッセイ日常

なぜ僕は30年も住んだ麻布の飲食店をほとんど知らないのか

エッセイ
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昨夜奥さんと話したちょっとした会話がとても印象に残ったので書く。

エントリーにも書いたとおり、昨夜は麻布十番の「ラ・ボエム」に行った。

新居を出て「どこでご飯食べようか」と話しつつ歩いていて、僕が何の気なしに言った言葉に奥さんがビックリした。

「僕、この辺のお店、あんまり分からないんだよね」。僕はごく普通にそう言った。

「え?なんで?だって5年前までこの辺に住んでたんでしょ?」と奥さん。

その通りである。

僕は予想外の奥さんの返事に逆にビックリしてしまい、考え込んでしまった。

そういえばそうだ。このやり取りは意外に奥が深いかもしれない。

 

 

僕は4歳〜27歳の間に西麻布の実家に、そして31歳〜38歳の間に元麻布に前妻と暮らした期間、合計30年麻布に暮らしてきた。

西麻布の実家時代は随分前のことになるので置いておくとしても、直近は4年半前だ。

移り変わりの激しい都会ではあるが、当時からあるお店も沢山残っている。

でも僕は、本当にあまりあの辺りのお店のことを知らないのだ。

それは、当時の僕と今の僕の、「劇的な変化」の前後における、考え方、行動パターンの違いを如実に物語っている。

 

 

最後に麻布に暮らした2001年から2008年当時、僕はサラリーマンだった。

仕事は頑張っていたし、社長からも信頼されていたが、自分の中で自己肯定感が低く、夢や希望というものを持てずにいた。

そんな僕は、せっかく麻布十番の繁華街のすぐ近くに暮らしていたのに、お店の新規開拓がとても苦手だった。

「アウェイの場所」に自分を置くのが怖かったのだ。チャレンジしたくなかったのだ。

だから僕は、気取らない居酒屋や安めの焼肉屋などを選んで何ヶ所かの店を選び、そこに定期的に通い、それ以外の店にはほとんど行かなかった。

さらに、一人の日は、アウェイの環境で一人外食するのが怖くて、スーパーでお総菜を買って家で食べていた。

自宅の周辺に何百店ものレストランがある場所に住んでいるのに、僕はごく限定されたお店だけを利用して、それ以外のお店は「なかった」ように過ごしていたのだ。

だから、ちょくちょく通っていたお店(片手で数えられる)くらいしか、分からないのだ。

 

 

今では僕は一人飲み大好き、そして新規開拓も大好きだ。

東京に限らず地方に出張に行った時にも、一人でフラッと飲みに出るのが恒例だし、昼でも夜でもどんなお店にでも入っていける。

だから、以前の自分がどんなだったかなんて、忘れてしまっていた。

でも、当時の僕は、とにかく勇気がなかった。一歩目を踏み出すのに凄く時間が掛かり、自分のテリトリーを守ることにこだわっていた。

 

 

商店街の両側にぎっしり並ぶ飲食店を眺めながら、僕は当時の自分の姿を思い出し、ちょっと懐かしい気持ちになった。

そして、あの頃の僕に向かって、「良く最初の一歩を踏み出したね」と、声を掛けてあげたくなった。

あの頃の僕が最初の一歩を踏み出さなかったとしたら、今の僕はなかったのだから。

そんなことを考えた夜だった。

 

 

 

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