書評

やる気も自己責任の時代! 書評「モチベーションを思うまま高める法」 by 小山龍介

書評
スポンサーリンク

モチベーションというのは、常に自分の中から発生するものだと思っていたが、この本を読んで、そうではないこともあると認識した。

昔、西田敏行が出ている洗剤のテレビCMがあった。

声だけで登場する奥さんに「掃除してね!」と叱られる西田敏行。

その声を聞いた西田敏行は「いまやろうと思ってたのに言うんだもんなあ」と悔しがる。

 

 

 

 

「せっかく自分から進んで掃除をしようと思ったのに、何故命令するんだ」

自分から取り組もうという自律的なモチベーションが、他者からの命令によって急激に低下した訳だ。

さて、僕らのモチベーションとは何なのだろうか。そしてモチベーションを自分の意志で常に高められる方法なんて、あるのだろうか。

本書「モチベーションを思うまま高める法」を読めば、僕たちの「モチベーション」の中身が良く分かる。そしてその高め方、維持の仕方も。

 

 

モチベーションを思うまま高める法 

小山 龍介 三笠書房 2011-04-02
売り上げランキング : 4770

by ヨメレバ

 

 

スポンサーリンク

会社の愚痴を言う時代は終わった

 

同僚と一緒に、会社や上司の愚痴を肴に酒を飲む。

サラリーマンなら経験したことがある人も多いだろう。

たまの息抜きとしてなら悪い面ばかりでもないかもしれないが、本質的には会社の愚痴を言うような牧歌的な時代は終わってしまった。

会社の愚痴を言うということは、モチベーションを会社に任せてしまっていたということだ。

「社員のモチベーションを下げるような会社はダメだ」と愚痴をこぽし、より給与が高い(つまりモチベーションを上げてくれる)会社に転職をする。

 

 

 

だが、もはや愚痴をこぼす社員の面倒を末長く見る余裕は会社にはなくなってしまった。

これからは「モチベーションの自己管理時代がやってくる」と著者の小山氏は説く。

自己責任の時代だ。厳しくもあるが、すべてが自らに戻ってくる、心弾む時代でもある。

 

 

成功を目指すな、幸福を目指せ

 

 

世の中の景気が良く給料も勝手にどんどん上がっていく時代には、モチベーションの維持は難しいことではなかった。

だが、今の日本のような経済状態の中では、高いモチベーションを維持するのにはさまざまな工夫が必要である。

本書には、難しい時代にモチベーションを高めて維持するためのノウハウがぎっしりと詰め込まれている。

 

 

 

 

その中でも代表的なものが、成功を目指すな、幸福を目指せ、というもの。

自分一人の成功を目指すと、時としてそれは誰かの失敗の上に立脚する場合もある。

だが、社会全体、仲間皆の幸福を目指せば、誰かを出し抜くようなことを考える必要もなく。皆で豊かになっていくことができる。

不安定な世の中こそ、心を豊かにして挑む必要があるのだ。

 

 

他人に依存しない自律的モチベーションの世界

 

同期よりも先に出世する。仲間よりも良い成績を収める。

この手のモチベーションは他人との比較である。

これからの時代は、他人との比較によるモチベーションではなく、自律的な目標設定が求められる。

 

 

継続的な自分の成長を目指し、しかもそれが世の中の目標と合致する。

これが究極のモチベーションとなる。

スティーブ・ジョブズは「宇宙に衝撃を与える」という目標を掲げたという。

ずっと成長し続ける自分を描ける人は強い。

それはどんな時代でも一緒だろうが、特にこれからの時代には、とても大切な考え方となるだろう。

 

 

まとめ

 

 

著者小山氏は、ITバブル崩壊直後で不景気だった時期のアメリカ・シリコンバレーで働いた経験があるという。

不景気でもシリコンバレーのアメリカ人達はとても楽しそうに働いていたという。

それに対して、日本人は不景気に苦しみ、社会には閉塞感が募るばかり。

同じ不景気に対しての取り組み方が日米でどうしてこんなに違うのか。

小山氏が出した答えは「しくみの問題ではない。考え方の違いだけなんだ」ということであった。

そんな小山氏が目指しているのは、どんなに不景気な日本にいても、シリコンバレーの人たちのように楽しく高いモチベーションを持って働く、「一人シリコンバレー」状態の実現である。

 

 

 

 

「国が悪い」「首相が悪い」「会社が悪い」「上司が悪い」。

誰かのせいにして自分の現状の愚痴を言うより、僕ら一人ひとりが全員で「一人シリコンバレー」状態を目指したら。

少しずつ、世の中楽しくなっていくのではないだろうか?

閉塞感を自分の力で打破したいと願うなら、一読してみてはどうだろうか。

 

 

追記: 本書「モチベーションを思うまま高める法」のレバレッジ・メモ僕のFacebookページで公開しました。

 

 

関連エントリー:

Twitterで天才になろう! 書評「クラウドHACKS!」 by 小山龍介

思考だって人脈だって整理できる! “整理HACKS!” by 小山龍介

プライベート・ライティングを身につけろ! 書評「書きながら考えるとうまくいく!」 by マーク・リービー

二つの視点で深堀りしよう! “スピード ハックス” by 大橋悦夫 & 佐々木正悟

三日坊主を褒めろ!今年こそランニングを習慣にしたいあなたに送る8つのアドバイス

 

 

2011年71冊目の書評としてお送りしました。

タイトルとURLをコピーしました