習慣書評

習慣超大全 〜 スタンフォード行動デザイン研究所の自分を変える方法

習慣書評
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BJ・フォッグ氏著、「習慣超大全 〜 スタンフォード行動デザイン研究所の自分を変える方法」という本を読んだのでご紹介しよう。

習慣化、習慣力は僕が長らく研究し、取り組み、実践し続けている分野である。

日々の習慣を変える事は、そのまま人生を変えることだと僕は信じているし、そうやって人生を変えてきた。

習慣については、素晴らしい本が何冊も出ているが、この「習慣超大全 〜 スタンフォード行動デザイン研究所の自分を変える方法」も素晴らしい一冊だった。

何といっても550ページという、電話帳のような凄いボリュームに圧倒されるが、文章が読みやすくあっという間に読むことができた。

圧倒的情報量の中から、僕が特に感銘を受け実践に移そうと感じた点をご紹介したい。

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「タイニーハビット」で人生は変わる

本書の原題は”Tiny Habits”、つまり「小さな習慣」である。

文中ではカタカナで「タイニーハビット」と呼んでいるので、この記事もそれに習ってタイニーハビットと呼ぶ。

タイニーハビットでは、「3つのとても小さい行動」から始めることを推奨している。

そして、3つのとても小さい行動は、「Aをしたら、Bをする」という形で、既存の習慣にくっつけて行うようにするのがポイントだ。

例えば、「目を覚まして床に足をつけたら」→「「今日は素晴らしい日になる」と声に出して言う」という流れ。

すでに習慣になっていること、例えば「歯磨き」や「トイレに行く」などを「アンカー」と呼ぶ。

アンカーの瞬間に新たに習慣にしたい「タイニーハビット」を思い出す。

そして小さな習慣、例えば「腕立て伏せを2回する」などを実行する。

これだけの小さな習慣でも、続けることで大きな変化を生み出す。

我々は、とかく物事を始める時から「大きな規模」で始めようとして失敗する。

最初から壮大な計画は困難に感じるのだ。

一方、小さな習慣ならリスクを心配する必要がない。

小さな習慣を続けることには「やる気」や「意志の力」は必要ない。

まずはとてつもなく小さいことでいいので「行動を起こす」ことが大切だ。

そして、もう一つ大切な事は、どんな小さな成功も「祝福」すること。

著者のフォッグさんは「うまくいったという感覚が新たな習慣を取り入れる原動力となり、継続への意欲をかきたてる」と書いている。

アンカーの瞬間 → 小さい行動 → 祝福という構造で、タイニーハビットを獲得していくのだ。

習慣を大きく育てる

ここまで読んだ多くの方が、共通の疑問を抱くのではないだろうか。

「ごく小さな行動を習慣化しても、その後どうするのだろうか?」と。

著者のフォッグ氏は、「トイレに行ったら腕立て伏せを2回する」というタイニーハビットを得た。

しかし、腕立て伏せを2回やっても筋肉は増強されないし、体形が大きく変わることもないだろう。

しかし実際は、フォッグ氏は、多いときは50回の腕立て伏せを行うようになり、身体はスリムになり、肥満による健康に対する不安もなくなったという。

いちど習慣が身に付くと、その習慣は2つの方向へ拡大していく。

「成長する習慣」と「増殖する習慣」だ。

2回の腕立て伏せが50回に増えるのはまさに、成長する習慣だ。

僕自身も、ランニングを習慣化した時は1日に500メートル走ればオーケーとしていた。

それがどんどん成長し、多い時には月に270kmまで走るようになった。

これはまさに成長する習慣だ。

そして、ランニングに例えると、走る距離が伸びるだけではなく、他に付随する習慣も身に付いていく。

例えば、走る前にストレッチをする、走り終わった後足をアイシングする、筋トレも並行して行うようになる、サプリメントを毎日摂取するようになる、などだ。

これら、当初500メートルのランニングのときにはなかった習慣が身に付いていくことを「増殖する習慣」と呼ぶ。

習慣を成長させつつ増殖させていくことで、われわれは多くのことが成し遂げられるようになっていく。

大切なのは、習慣を拡大させた後「習慣を最小限で終わらせてはいけない」と自分にプレッシャーをかけないこと。

また、心地よさの境界を常に確認することも大切だ。

一気に難易度を大きく上げすぎたり、難易度を上げる時期が早すぎたりすると、せっかくの心地よい習慣が苦痛に変わってしまう。

習慣を拡大するときは、「祝福」をより多くすること、そして心地よさの境界を常に意識することが必要だ。

悪い習慣を止める

本書を読んで「なるほど!」と膝を打ったのは、悪い習慣を止める方法についてだ。

驚いたのが、本書では「「悪習を断つ」と考えてはいけない」と書いている点である。

一般的に我々は何か止めたい悪習があるなら、それをいかに止めるかにフォーカスしがちだ。

しかし本書でのアプローチはそうではない。

まずは、タイニーハビットを活かし、新しい前向きな習慣を作ることに集中する。

例えば、甘いものを食べ過ぎてしまう悪い習慣を止めたいとする。

最初から甘いものを我慢しようとすると、多くのケースでストレスがかかり失敗する。

そこで、甘いものをやめるのとは関係のない、でも前向きな習慣を構築することに集中するのだ。

例えば運動をする習慣などを身に付ける。

良い習慣が身に付くと、自分に自信が持て、自分が望む人物像に近づくことができる。

運動が習慣になり健康的な生活を手に入れると、本人の中に達成感が生まれ、かつては持っていなかったアイデンティティーを辞任するようになる。

運動を定期的に行い健康的な生活を送る「アイデンティティ」が身に付くと、「甘いものを食べすぎる」という本来止めたい習慣が、整合しなくなるのだ。

そこで、次のステップとして本来の「止めたい習慣」をやめることに集中する。

その際は、「甘いものを食べすぎる」という漠然とした習慣ではなく、日々行っている具体的習慣を書き出すことが大切だ。

たとえば「昼食時に毎日地甘い炭酸飲料を飲む」や「職場からの帰宅時にチョコレートバーを食べる」など。

一概に「甘いものを食べすぎる」では、止めるべきことが多すぎて戸惑うだろう。

具体的に書き出した習慣の中から、「一番簡単に止められそうなもの」を一つ選び、その一つを止めるのだ。しかも1日だけ。

そして上手く止められたなら盛大に祝福すること。

あと、キッカケを作らないようにすることも大切。

例えば毎日会社帰りにコンビニに寄ってチョコレートバーを買ってたべているなら、コンビニの前を通らないよう道を変えて帰るなどだ。

家にお菓子を買い置きしてついつい食べてしまう人は、お菓子を買い置きしない、というのもキッカケを作らない戦略になる。

僕自身も以前はお菓子を買い置きしていたが、今はいっさい買い置きをしない。

どうしても食べたくなったらコンビニやスーパーまで出かけないと食べられない。

本当に食べたい時は買いに行くが、たいていの場合はしばらくすると、食べたかったという気持ちはなくなってしまい、やり過ごせるものだ。

まとめ

我々は、つい「やる気があるから続けられる」と考えがちだ。

しかし実際は逆で、「続けるからやる気が出る」のだ。

だからこそ、とても小さな習慣からスタートし、「続けている」という状態を作ることが何より大切なのだ。

小さな習慣は、続けることにより「成長」し、「増殖」していく。

習慣は成長と増殖により、我々のライフスタイル全体をスパイラルアップさせ始める。

この状態に入ると最強で、いわゆる「日々進化する自分」という習慣が身に付く状態になる。

大きなことから始めようとすると、難易度が高くプレッシャーもかかり挫折してしまう。

小さいことをとにかくすぐに始め、毎日続けること。

そして続けられている自分を大げさなほど祝福し続けること。

それによって人生は大きく変わっていくのだ。

550ページの膨大な情報が詰まった素晴らしい一冊。

翻訳も素敵で、すいすいと読めるのも素晴らしい。

分厚いけれど、読む価値が十分あると思った。

オススメです!!

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習慣超大全 〜 スタンフォード行動デザイン研究所の自分を変える方法

「習慣超大全 〜 スタンフォード行動デザイン研究所の自分を変える方法」は僕のYouTubeチャンネルでも紹介しています!併せてご覧ください!

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