才能はいかに磨かれるのか! 書評「天才!」 by マルコム・グラッドウェル

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「天才」という言葉を聞いたとき、あなたはどのようなイメージを持つだろうか?

恐らく「生まれつき」という言葉や「天賦の」という言葉を連想した方も多いのではないだろうか。

僕も同じように考えていた。

子供の頃から、根拠なく友達との間の会話でも、「天才」と「秀才」の違いを熱く語ったりした。

「天才はもともと頭が良い人。秀才は努力して頭が良くなった人」というように。

本書「天才!」は、そんな我々の「天才感覚」を根底から覆してくれる素晴らしい本だ。翻訳は勝間和代氏。本書の存在を知ったのも勝間氏の著作。

 

天才! 成功する人々の法則

マルコム・グラッドウェル 講談社 2009-05-13
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by ヨメレバ

 

さて、本書は「天才は生まれつきの才能であり、後天的に努力で獲得することはできない」という一般論を覆すことを目的として、遥かなる旅をする本である。

非常に良く練られていて読みやすく、しかも情報の質と量ともに素晴らしい。読んでいてグイグイ引き込まれてしまった。

 

 

一流プロ選手の共通項

 

 

まず本書では、カナダにおける花形スポーツ、アイスホッケーのスター選手についての検証からスタートする。

日本におけるプロ野球やプロサッカーのような位置づけと思ってもらうと分かりやすいだろう。

さて、カナダの強豪チームの選手年鑑を見ていた著者は、ある重大な共通点に気付く。それは、選手の誕生日が1月〜3月に集中しているということだ。

何故か。

カナダでは、子供の学年は1月〜12月を区切りとしている。つまり、同じ学年の中では、早い時期に生まれた子供はそれだけ発育が早く身体も大きく身体能力も高いため、学年内の競争で優位であるためだ。

学年内の競争に勝った早く生まれた子供たちは、強豪少年ホッケーチームに選抜される。そして強豪チームに入った子供たちを待っているのは、昼も夜も続く激しい練習である。

一方学年内の競争で優位にたてなかった、遅い時期に生まれた子供たちは、弱小チームに入ることになる。そして弱小チームの子供たちは、強豪のような激しい練習をする機会を持てず、結果として強豪チームに入った子供たちとの差がどんどん開いてしまう。

これは、本人の「生まれながらの能力」の差なのだろうか?答えはもちろんNoである。

もちろんプロを目指す人達は、僕のような一般の人間と比べれば、皆はるかに優秀で才能に恵まれていることは間違いない。

だが、一流のプロ選手になるために必要な条件として、「1月〜3月に生まれること」という項目があったなら、それは天賦のものではなく、社会的な枠組みの問題になる。

実際カナダでは1学年が1月〜12月で区切られるため、プロスポーツ選手に1月〜3月生まれが多いのだが、日本では学年は4月〜3月で区切られているため、1月〜3月の早生まれの人は不利だ、ということになってしまう。

著者グラッドウェルは、学年を生まれた月別に2つまたは3つのグループに分け、それぞれのグループでチーム編成をすることによって、開花することができない、遅い時期に生まれた子供たちの才能を開かせることができるのではないか、と示唆している。

 

 

時代が僕らを呼んでいる

 

 

上述の例は「学年内の生まれた月」の話だが、もっと拡大していくと、「生まれた場所」「生まれた年」なども大きく影響してくることが分かる。

シリコンバレーの寵児たち、ビル・ジョイ、ビル・ゲイツ、スティーブ・ジョブズ、エリック・シュミット。彼らはいずれも1955年生まれであるという点にクローズアップされる。

この年に生まれた学生たちにとって重大な変化は、コンピュータがメインフレームから現在のPCに向かってダウンサイズされ始めた時期であったという点だ。

具体的には、プロスグラムが従来のパンチカードからタイムシェアリングに進化し、いちいちキーパンチャーが穴を開ける作業をしなくても、思う存分プログラムが書けるようになったのだ。

先に挙げたホッケー少年もプログラミングに熱中した少年も、幸運のキーとなったのは、社会的な枠組みである。その枠組みとは何か。習熟するための圧倒的な時間を費やすことができる「環境」である。

強豪ホッケーチームに参加できることによって与えられる豊富な練習時間。そしてタイムシェアリングによって時間制限がなくなり、一日中プログラミングに没頭できるという環境。これこそが、「天才」を作る重要なキーなのだ。

そして人がプロとして充分な才能を発揮するのに必要な練習時間を、著者は10,000時間と見積もる。ある特定の分野に対して豊かな才能を持った人が、正しい方向に向かって圧倒的に努力をする。10,000時間を超える頃には、その人は優秀なプロになっている。

 

 

IQが高くても成功できなかった人々

 

 

続いて本書は著者の仮説を実証するサンプル探しの旅に出る。

アインシュタインよりIQが30%も高かったが、平凡な人間として生きた男。高いIQを持ちながらスラムで充分な教育を受けられなかったため、才能を発揮できなかった男。一方スラム出身でも高い教育の機会を得ることができたため、大学を出て活躍できた人など。

そして本書後半は、我々が「民族」や「血」などと呼んでいる、「国民性」や「民族性」という壮大なテーマにもメスを入れていく。

航空機事故を起こしやすい民族の共通項、数学が得意とされる国の共通項など、従来は遺伝や国民性というくくりで片付けられきた事柄が、次々と解体されていくさまは痛快である。

 

 

まとめ:天才とは

 

もちろん人それぞれに持っている才能や得意分野は違う。IQも高い人、そこそこの人、さまざまだ。

だが、本書では、一番大切なことは、才能を持って生まれてくることではなく、正しい方向に正しい努力を圧倒的な時間をかけて行うことである、と教えてくれる。

「天才」とは、天から与えられた才能を持つ特別な人、という意味ではなく、「天から与えられた自分が一番得意な才能を正しく認識し、惜しげなく圧倒的時間をかけて努力することに成功した人」という意味なのだと理解した。

自分だけでコントロールできることばかりではない。だが、コントロールできることも多々ある。素晴らしい本だった。

 

 

2011年45冊目の書評としてお届けしました。


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