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これは必読!「グロースハッカー」を知らずに21世紀は生き残れない!!

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「グロースハッカー」という言葉を知っているだろうか。恥ずかしながら僕は知らなかった。

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グロースハッカーは、英語でGrowth Hackerとなる。

Growthは「成長」で、Hackerはもともとは「コンピューター技術に精通した人」という意味だ。

このHackerという単語はクセモノで、さまざまな使われ方をするので、意味を正しく押さえるのがむずかしい。

コンピューターに不正にアクセスして情報を抜き取ったり乗っ取ったりする「クラッカー」(Cracker)と同意に使われ、「悪い人」というイメージを持つ人も多い。

いっぽうで、LifeとくっつけてLifehacker(ライフハッカー)という造語も生まれ、こちらは「仕事や生活をちょっと良くする小さな工夫に長けた人」という良い意味で使われている。

 

 

では、Growth Hackerはどんな意味だろうか。

この言葉は企業における新たなマーケティング手法に関する用語である。

Growth、成長は、企業の成長を指す。しかも単なる成長ではなく、爆発的な急成長をイメージして欲しい。

そしてこの場合のHackerは、高度なIT技術を有したマーケティング担当者、つまり「技術的バックグラウンドを持った急成長仕掛け人」といったところだろうか。

 

 

いま、この「グロースハッカー」がIT業界だけではなく、多くの分野で活躍し始め、注目を浴びている。

そして僕たちは知らず知らずに、すでにグロースハッカーの活躍を目にしているし、僕らのすぐ近くの人は、すでにグロースハッカーとして活躍していたりする。

そんな最新の、まさに時代が求めたマーケティングの考え方について学べる素晴らしい本を読んだ。

ライアン・ホリデイ氏著の「グロースハッカー」だ。

 

グロースハッカーライアン・ホリデイ 日経BP社 2013-12-12
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薄くて簡単に読めるが、内容は実に濃い。

早速紹介しよう。

 

 

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これは必読!「グロースハッカー」を知らずに21世紀は生き残れない!!

 

すべてはHotmailの最後の行から始まった

冒頭に書いたとおり、グロースハックとは企業における新しいマーケティングの考え方である。

従来のマーケティングでは、テレビや雑誌などのマスメディアと組んで多額の資金を投じて商品の宣伝をしたり、イベントを行ったりして、商品の認知を高めてきた。

しかし、20世紀末のアメリカで、偶然まったく新しいマーケティング手法、グロースハックが生み出されたのだ。

それは、当時設立されたばかりだったHotmailをどうやって一般ユーザーに認知してもらうかについて、幹部が頭を悩ませているときに出たアイデアだった。

 

 

最初の案は従来のマーケ手法だった。「広告を打とう」。

しかし、Hotmailは無料のWebサービスだ。無料サービスにそんな大金を注ぎ込むことはできない。

ラジオは?ラジオも高い。

ネット上の人々に電子メールで宣伝を送るのはどうだ?

それもダメだ。スパムと思われ嫌われるだけだ。

そのときに会議に参加していた一人がこう思いついた。以下引用しよう。

 

「メール画面の最下行にメッセージを表示させることはできるかい?」

「うーん、それはやりたくありません」

「だが、技術的にはできるんだな?メール作成画面にメッセージを表示させたら、そのメールを受信した側でもそのメッセージが表示されるんだな?」

「それはそうですが」

「じゃあ、文末に『追伸 愛してるよ。Hotmailで君も無料メールをゲットしよう』と表示させよう」

このささやかな機能がすべてを変えた。

Hotmailのユーザーが送信するすべてのメールがHotmailの広告になったのだ。この広告が効果的だったのは、広告がキュートだったり、クリエイティブだったりしたからではなく、多くの人々が欲しがる楽しいサービスを紹介したからだ。

 

Hotmailは文末に一行の広告とURLのリンクを載せるという、1円もかからない広告手法により、ユーザー数を激増させる。

1995年に立ち上がったHotmailは、半年以内に100万人のユーザーを獲得、その後5週間でユーザーは倍増する。

1997年12月にマイクロソフトがHotmailを4億ドル(!)で買収したときには、ユーザー数は1,000万人近かった。

そしてサービス開始から30ヶ月にして、ユーザー数は3,000万人を超えた。

 

 

 

グロースハッカーの目的とは何か?

著名なグロースハッカー、アーロン・ジーン氏は、非常に簡潔に、グロースハッカーの目的について、以下のように述べている。

 

グロースハッカーの目標は、製品自体を数百万人の顧客にリーチする自己永続マーケティングマシンにすることだ。

 

グロースハッカーはインターネットを駆使して、ほとんど予算を使うことなく、製品を立ち上げる。

彼らのマーケティングツールとは、製品そのものなのだ。

 

 

 

GmailとiPhoneとEvernoteの共通項

Hotmailが採った手法がまぐれ当たりでなかったことは、その後のさまざまな企業の採った手法を見れば分かる。

今では世界を代表する無料メールサービスとして君臨しているGoogleのGmail。

Gmailは当初は招待制のクローズドなサービスだった。もちろんβ版としてリリースされた。

優れたサービスを構築する。そして少人数の招待制という形を採り、ユーザーの関心を高める。

そしてユーザーが新ユーザーを招待できる人数を段階的に増やしていくことで、Gmailは人から人へと伝染的に伝わり、爆発的な人気を得たのだ。

 

 

そして世界を代表するスマートフォンとなったiPhoneも、Hotmailと同じ、ごくシンプルなグロースハックを採り入れている。

日本語のiPhoneでも、メールを作成すると、末尾に「iPhoneから送信」と署名が入るようになっている。

スマートフォンで打つメールはパソコンのときのように長く丁寧には書けない場合も多い。

「iPhoneから送信しているメールなので簡略的ですみません」という挨拶をも意味するこの一文には別の意味がある。

iPhoneをまだ使ったことがないユーザーに対して、「私はiPhoneからこのようにスピーディーかつスムーズにメールを送っているのですよ」という広告として機能するのだ。

 

 

そしてGmail、iPhone、Evernoteなどのグロースハック成功例において必須なのは、「製品が極めて優れていること」だ。

Evernoteは立ち上げ後の数年間、マーケティングに1円もお金を使わないと全社で決めたという。

その理由をCEOのフィル・リービンは以下のように語っている。

 

「最高のサービスを作ることばかり考えているようでなければ、最高のサービスなんて作れないんだ」

 

そしてEvernote社は、マーケティングに投入する分の予算をすべて製品開発に注ぎ込んだ。

この戦略のため、Evernote社のブランド構築には時間がかかった。

しかし、その甲斐はあったと、本書の著者ライアン・ホリデイ氏が理由を語る。

 

「Evernoteが地球一の情報管理ツールになったからだ。今では実質的に、製品自体がマーケティングになっている」

 

すぐれた製品を作り上げるという情熱抜きにグロースハックは成立しない。

グロースハックというのは、特定のテクニックや手法よりも、マインドセット、つまり考え方のことを指すのだ。

 

 

 

どうしてDropboxはただで容量をくれるのか

今や世界を代表するオンライン・ストレージサービスとして君臨しているDropbox。

このDropboxが採った手法は、グロースハックの第3ステップ、「クチコミ発生」の成功例だ。

クチコミは偶然起こるのではなく、グロースハックするものであるという実例として、非常に参考になるだろう。

 

 

Dropboxは14ヶ月もの間成長エンジンを求めていた。

そのときにグロースハッカーが提示したアイデアが、Dropboxのその後の運命を劇的に変えた。

その手法とは、サービスのトップページに「無料で容量アップ!」というボタンを追加するというシンプルなものだった。

このプログラムでは、友達にDropboxを紹介し、その友達が会員登録したら、紹介した友達1人につき500MBずつ無理言うストレージ容量を追加でもらえる。招待された側の友人も500MBをもらえる。

10人の友達を招待すれば5GBもの無料容量がもらえ、友達にも感謝されるという絶妙なプログラムだった。

 

 

ボタン設置後すぐに、Dropboxへの新規加入ユーザーは60%増加した。

そして最初の1ヶ月だけで、2万8000件以上の招待が行われた。

そして今では新規ユーザーの35%が紹介プログラム経由でサインアップをし続けているのだ。

 

 

クチコミ発生(ゴー・バイラル)メカニズムのポイントについて、著者のライアンは以下のように述べている。

 

「ゴー・バイラルしたければ、クチコミの種を製品の中に仕込む必要があるということだ。製品の中にクチコミを拡散したくなる理由と、拡散するための手段が内在していなければならない」

 

そしてもう一つ大切なこととして、クチコミが発生し続けるためには、製品が進化し続け、魅力的であり続けることだ。

製品自体がマーケティングであり、製品自体がバイラルの種なのだから、製品が進化を止めてはいけない。

だからこそ、グロースハックを使う企業はマーケティングに予算を使わず、その分を製品開発に投じて進化し続けていくのだ。

 

 

 

一番身近なグロースハッカーはこの人!

この本「グロースハッカー」では、日本でのグロースハックの活用例として料理レシピサイト「クックパッド」と財務管理サービス「Zaim」を例に挙げている。

僕は敢えてこの2社の紹介ではなく、個人で世界と渡り合っている素晴らしいグロースハッカーを紹介したい。

僕にとって一番身近なグロースハッカーは、iPhoneのカメラアプリ “OneCam” を開発している @AppleWalker さんこと、瀬戸将浩さんだ。

 

 

AppleWalker

 

 

誰でも知っていることだが、iPhoneにはもともとカメラアプリが無料で付属している。写真や動画を撮影するなら、標準のカメラでことが足りる。

それなのにOneCamは有料アプリであるにも関わらず、延々と売れ続け、ダウンロードされ続けている。

それは、ここまで説明してきたグロースハックの要素を、瀬戸さんとOneCamが、見事に網羅しているからだ。

 

 

この本を読んで分かった「OneCamが売れ続ける理由」を簡単に説明しよう。

 

 

1. 製品が優れている

iPhoneユーザーの多くが標準カメラには物足りなさを感じている。

一番の問題は、日本特有の「シャッター音を消せない」問題だ。

盗撮防止という名目で、日本のiPhoneはシャッター音が消せない。静けさを求められる場所では使いにくいのだ。

OneCamはシャッター音を消したり小さくしたりして撮影ができる機能がある。

この機能は多くのユーザーに熱烈に支持されている。

他にも位置情報をオフにする機能や撮影日時を入れる機能、写真のサイズを変更する機能、タイマー撮影機能、枚数を指定しての連写機能など、素晴らしい機能が盛り沢山なのだ。

グロースハックが発生するための大前提としての、優れた製品であることを、楽々クリアしているのだ。

 

 

2. 製品自体が拡散装置となる仕掛けを持っている

OneCamには、撮影した写真を多くのSNSにシェアする機能が搭載されている。

そしてここが肝になるのだが、シェアをするときに、 “#OneCam” というハッシュタグが付与されるようになっている。

OneCamユーザーは、自分の写真をTwitterやFacebook、Instagramにシェアするときに、自分の写真都一緒にOneCamの宣伝をしているのだ。

もしユーザーがOneCamのことを気に入っていなければタグを削除して投稿するだろう。

だが、自分が大好きで気に入っているアプリなら、タグを付けてシェアするだろう。

この機能によって、OneCamはいつでも「ゴー・バイラル」になっているのである。

 

 

また、開発者の瀬戸さん自身が、新機能の紹介やバグ情報などを、ご自身のブログやTwitter、Facebookなどで積極的に情報公開している。

そのときにも、ブログ更新報告やツイートすべてに、#OneCamのハッシュタグを付与してポストされている。

OneCamユーザーは、#OneCamハッシュタグをTwitterアプリで保存しておけば、OneCamユーザーの投稿と、OneCamに関する情報を同時に見ることができるのだ。

まだ友達が少ないTwitterユーザーなどは、#OneCamハッシュタグで投稿しているユーザーをどんどんフォローしていくこともアリだろう。

わざわざ有料のカメラアプリを買っている人には写真好きが多い。

しかも同じアプリが好きという共通項があれば、友達にもなりやすいだろう。

このような仕掛けにより、OneCamは「常にネット上で話題になり続ける」という状態を作り上げているのである。

 

 

3. 常に製品を改善し続ける意欲と誠実さ

有料のiPhoneアプリというのは、リリース時にお金を払うと、あとはずっと無料でアップデートを受け取れる仕組みになっている。

ユーザーとしてはありがたい仕組みだが、開発者としては、お金をもらえるのは一度だけ。

その後はずっと無料でアップデートしなければならない厳しい仕組みなのだ。

そんな仕組みになっているので、開発者(会社)の中には、リリース後ほとんどアップデートをしないケースも見られる。

しかし、OneCamはリリース後頻繁にアップデートを繰り返している。

今確認したところ、2013年だけで7回もアップデートがされている。

新機能の搭載にも意欲的で、既存ユーザーからの要望への対応も素早く真摯である。

 

 

そのような開発者瀬戸さんの姿勢に共感するユーザーがどんどん増えており、iTunesストアでのOneCamの星評価は何と、星5つ、満点となっている。

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評価が辛く、荒れがちなiTunesストアにもかかわらず、OneCamのレビュー欄を除くと、多くの匿名の一般ユーザーから、アップデートに対する感謝の言葉がズラズラと並んでいる。

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こんなにお礼の言葉に溢れるiTSのレビュー欄を僕は見たことがない。

製品を改良し続けることで既存ユーザーをがっちり掴み、さらにバイラルで新規ユーザーを呼び込み続ける。

まさにグロースハックの王道を歩んでいるのが瀬戸さんとOneCamなのだ。

 

 

 

まとめ

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Hotmail、Gmail、そしてDropboxやOneCam。

そこで何かが起こっていることは僕も理解していた。

しかし、この本を読むまで、ここまでありありとすべてが計画され、実効に移されているとは思っていなかった。

グロースハック恐るべしである。

 

 

一点最後に言っておきたいことがある。

グロースハックはIT系企業だけの話かというと、まったくそうではない。

本書の著者ライアンは衣料メーカー「アメリカン・アパレル」のマーケを担当するメディア戦略家だ。

彼は紙媒体の書籍でグロースハックをしかけ、本を大ベストセラーにしたりもしている。

売るものがアプリやガジェットでなく、衣類や書籍であっても、いまや多くのユーザーはネットで情報を探し、ネット通販で買い物をしている。

どんな商品でもグロースハックの対象となるのだ。

 

 

これからの時代、グロースハックを知っている人と知らない人では、成果の出方がまったく変わってきてしまうのではないだろうか。

僕は自分のブログや書籍、それにセミナーの運営と告知に関して、かなりの部分無意識にこのグロースハックを採り入れて活動できていたと思う。

しかし、この本を読んで、より戦略的かつ正しい方法で活動をしていく必要を感じることになった。

個人で活動する人にも、また、企業を経営する人、マーケや企画をする人、これは必読の書ですぞ!

素晴らしい本と年末に出会えた!

超オススメです!!

 

グロースハッカーライアン・ホリデイ 日経BP社 2013-12-12
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