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もはやEvernote本ではない! 書評「Evernote「超」知的生産術」 by 倉下忠憲

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世の中にはたくさんのEvernote本がある。

初心者向けのものから上級者向けのものまで、まさに百花繚乱である。

何故そんなにたくさんのEvernote本が出版されるのか。

それはEvernoteがそれだけ自由度が高く、様々な活用の可能性がある一方で、初心者にとっては難易度が高いツールということなのだろう。

首都圏の大きな書店に行くと、Evernote本ばかりが集められ平積みになっているコーナーができるほどで、しかもどの本もグリーン一辺倒。ここまでロゴカラーにこだわらなくてもと逆に思ってしまうほどだ。

そんななか、青いEvernote本が出た。表紙が青いというだけで相当目立つのだが、目立つのは表紙だけではない。

本書「Evernote「超」知的生産術」は僕が読んだEvernote本の中では最も上級者向けであり、ある意味ではEvernote本ですらない、という印象を抱かせる、素晴らしい仕上がりだった。

 

EVERNOTE「超」知的生産術

倉下忠憲 シーアンドアール研究所 2011-02-26
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by ヨメレバ

 

著者倉下氏は昨年同じくEvernote本「Evernote「超」仕事術」を出版しており、2冊連続のEvernote本になる。

前作をふまえての内容となっているので、しっかりとEvernoteを仕事で活用したい人は前作と併せて読むことをお薦めする。

本書を読んで最初に感動した点。それは、本書が「Evernote」という冠を付けてはいるものの、内容的には著者倉下氏が自らの執筆活動など、知的生産に関するノウハウをかなり大胆に公開している、著述業者のノウハウ公開本に仕上げっている点である。

あくまでも知的生産術がメインであって、Evernoteはそれを高度かつ快適に実現するためのツールなのである。倉下氏自身「もし同じ感覚で扱える別のサービスが出てくればそれを使っても良い」と書いている通り、あくまでも中心にあるのは人間であり、目指すゴールは知的生産のレベルアップである。

そしてゴールへと向かう過程で、倉下氏が日常的にEvernoteと他のツールを組み合わせて、どのような詐作業をどのように行っているのかが詳細に理解できるようになっている。

例えば情報収集段階の「スクラップブック」としての使用例であったり「多元式メモ」であったり、また収集した情報の整理術であったり、さらには整理した情報を活かしてのアイデア出し、さらにはアウトプット術へと展開していく。

そして最終的には、セルフ・マネジメントとライフログという、パーソナル・ブランディングをも睨んだ恒常的改善活動へと足を踏み入れていくのだが、まさにこのレベルになってくると、もはやEvernoteの使い方という話ではなく、「これからのノマドな生き様」、「組織に依存せず自分を確立する方法」という領域に入ってくる。

もちろん中心にはいつもEvernoteが置かれているわけではあるが、Evernoteが苦手なことまでカバーさせることはあっさりやめ、他のツールといかに連動させて便利に使うかという点に集中しており、潔いし実践的である。

一点気になったのは、本書は倉下氏や僕自身のように、Evernoteに情報を大量にストックして活用することを一定以上のレベルと頻度で実行する必要に迫られている人にとっては素晴らしい活用術となっているが、一般企業に勤務する人たちなどにはどの程度響くものなのかが測りかねた。ある意味徹底してるし、マニアックなのだ。

かなり高度なノウハウ本。初心者の人がいきなり手にとると戸惑うかもしれない。基礎的な知識をしっかり仕入れてから読むと、目から鱗が落ちまくる。素晴らしかった。

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