ボジョレー・ヌーボーに騙されるな! [Liquor] [Wine]

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今日11月18日は11月の第3木曜日。それはすなわちボジョレー・ヌーボーの解禁日である。

 

今ではコンビニで500円くらいから買えるようになったボジョレーヌーボーだが、今でも解禁日にお祝いと称して飲む習慣を持つ人も多いだろう。

 

ボジョレーヌーボーを飲む日本人の習慣を否定するつもりはないが、僕自身大のワイン好きでありながらも、個人的に買って飲むことはしない。

 

 

何故か。

 

 

理由はただ一つ。いま日本に大量に輸入されてくるボジョレーヌーボーは偽物だと思っているから。

 

飲みに行った席で一仲間や友達が飲もうと言った時には角が立つので一緒に飲むことはあるが、自分から注文することはない。

 

では何故ボジョレーヌーボーが偽物だと思っているかについて簡単に説明しよう。ちなみに僕の考えには科学的根拠も証拠もまったくない。ただの言いがかりであるのでその点はご理解いただきたい。

 

 

話は1988年に遡る。

 

 

1988年といえば昭和63年。昭和が終わろうとしている年で、日本はバブル絶頂期を迎えようとしていた。当時僕は大学に入学したばかり、ピチピチの(笑)19歳だった。

 

当時僕は六本木の俳優座の裏にあったパブ・レストランでアルバイトをしていた。バブルの頃だったのでお客さんは皆羽振りが良く、お店は大賑わいだった。

 

お店は決して高級店ではなかったが、ワインもそこそこの品揃えで、当時まだワインに関する知識がまったくなかった僕にとってずらりとセラーに並ぶワインは憧れの的で、日々先輩スタッフにお客さんがボトルに残したワインを飲ませてもらい、味を勉強したものだった(当時は景気が良かったので皆平気で飲みかけのボトルを残した)。

 

 

春に始めたアルバイトがすっかり慣れた秋。営業前の時間だった。出入りの酒屋がチーフと話をしているのに僕もいつの間にか加わっていた。

 

酒屋はチーフにボジョレーヌーボーを薦めていたのだ。その時に始めて僕はボジョレーヌーボーというワインの存在を知る。

 

その年にボジョレー村で穫れたワインを瓶詰めした、お祝いのお酒だと。11月第3木曜日に解禁日が定められていて、日本が時差の関係で世界で一番最初に解禁となる国であることなど。

 

 

そしてその年に第一回の大ボジョレーヌーボー・ブームが日本に巻き起こったのだ。

 

僕が働いていた店でもボジョレーヌーボーを仕入れ、11月の第3木曜日に解禁のお祭りをやった。

 

当時はまだ六本木や銀座など、ごく限られた地域のレストランや、本当にワインに詳しい酒屋さんぐらいにしかボジョレーヌーボーは仕入れられていなかったので、物珍しさと当時の日本人の「世界中の一流品を全部買い占めろ!」というノリから、テレビや雑誌などを中心に一気に火が付いた。

 

その日、仕事中にボジョレーヌーボーを飲んだ記憶はない。きっとお客さんが全部飲んだのだ。それとも解禁日前の営業を終えた後、まさに午前0時直後の出来事だったのかもしれない。

 

その日店が終わった真夜中に、先輩達と飲みに行くことになり、六本木から西麻布に向かって歩いていたところ、東京日産ビル(今の六本木ヒルズ・ノースタワー)に特設ステージができていて、真夜中だというのに煌々とスポットライトが灯り、そこでなんとボジョレーヌーボーを無料で配っていたのだ。

 

輸入していた商社か代理店が企画したものだろう。ミニスカート姿のお姉さんがニッコリ笑って紙コップに入ったボジョレーヌーボーを通行人に配っていた。当時はバブルだったので、平日の真夜中過ぎでも六本木はすごい人出だった。

 

せっかくなので僕も一杯もらってみた。

 

 

ま、まずい(汗)。

 

 

全然おいしくないのだ。びっくりするくらい酸っぱくてコクもなく、シャビシャビしている。色も薄くて、いかにも未完成品という感じだった。一緒にいた先輩達も「まずい!」と騒いでいた。

 

あまりに不味くてびっくりした僕は、もう一度飲んでみたいと思い、次の休みの日に当時付き合っていた彼女を連れて、赤坂のフランス料理屋さんに出かけていった。しつこいようだが当時はバブルだったので19歳の学生でもアルバイト代で赤坂のフレンチなどに普通に行けたのだ。

 

で、フランス料理屋さんでボジョレーヌーボーを注文。初老のソムリエさんが、「グラスの方がいいでしょうね」と言って僕と彼女にグラスで一杯ずつのボジョレーヌーボーを、小さな樽から注いでくれた。

 

 

まずーい!!

 

 

やはりまずいのだ。「やっぱりまずいよねー」というようなことを彼女と言い合っていたら、ソムリエさんが優しく「これは味を楽しむものではなく、お祝いのための儀式ですからね。グラス一杯で十分でしょう」と教えてくれた。

 

そう、当時はボジョレーヌーボーは、味を楽しむものではなく、たとえ味は酷くても、最新の穫れたてのフランス・ボジョレー村のワインをわざわざ日本まで運ばせて、現地のフランス人よりも先に真夜中に飲む、という酔狂のために流行していたのだ。お店の人も客も、不味いと分かって喜んで飲んでいたのだ。

 

すげーな、と僕は思った。そして同時にすごく馬鹿馬鹿しくなり、それ以来ボジョレーヌーボーは飲まなくなった。だって普通のワインよりもずっと値段も高く、味は悪い。そんなものを無理に飲む必要はないよなー、と。

 

それ以来僕はボジョレーヌーボーを一切買わなくなった。

 

翌年くらいからは酒屋にも置かれるようになり、その後酒税法改正などでスーパーやコンビニでもワインが売られるようになったが(逆に言うと当時はスーパーやコンビニではワインは買えなかったのだ!)、一切買わなかった。だって普通のボジョレーが1,000円前後で買えるのに、まずいヌーボーが当時は2,500円~3,000円で売られていたのだから。

 

そして僕が一切ボジョレーヌーボーを飲まないまま日本のバブルはあっさり崩壊し、日本人の世界征服の夢も潰え、ボジョレーヌーボーのブームもいつの間にか終わった。

 

だが、第二次ブームがやってきた。確か4年ほど前だと思う。友人が家に遊びに来たときに、お土産にボジョレーヌーボーを持ってきてくれたのだ。「お祝いしよう!」ということだった。断るのは角が立つのでニコニコ笑ってご相伴にあずかることにした。

 

久し振りにあの不味いワインを飲むのかあ、と僕は覚悟してグラスにボジョレーを注いだ。グラスに注がれたボジョレーヌーボーはずいぶん色が濃いように感じた。まるで普通のワインと同じ…。

 

で、乾杯して一口飲む。

 

 

美味いじゃないか!♡

 

 

びっくりした。普通の赤ワインなのだ。これなら十分美味しく楽しく頂くことができるレベルだった。むしろ普通のボジョレーより美味しいくらいだった。

 

これはなんなんだ?不審に思いつつ、その年はそれきりボジョレーヌーボーを飲む機会はなかった。

 

そして翌年にまたその機会がやってきた。友人に飲みに誘われ行った店にボジョレーヌーボーがあり、友人達が飲みたいと言ったのだ。

 

よし、今年こそあの不味いボジョレーヌーボーを飲んでやる。そう思ってグラスのワインを一口。

 

 

やっぱり美味しい!♡

 

 

そしてその年はもう一度飲む機会があったのだが、やはりその時に飲んだボジョレーヌーボーも、とても美味しいワインだった。

 

これは絶対におかしい。

 

そこで僕は一つの仮説を立てた。

 

1980年代後半に起こった第一次ボジョレーヌーボー・大ブームの初期段階で日本に輸入されていたのは、本当のボジョレーヌーボーだったのだろう。その年の秋に穫れたばかりのワインをほんの数週間寝かせただけだから発酵も不十分、熟成なしだから不味くて当たり前。

 

でも当時の日本人のメンタリティーは、「不味くたっていい。旬の解禁日にフランス本場の新酒を世界で最初に味わう」というステータスに酔えた。

 

ところが、その後日本は景気がどんどん悪くなり、その一方でイタリアンの進出などで日本人にとってワインはとても身近なものになった。すっぱくて不味いだけの新酒を珍重する酔狂なバブリーな人種は絶滅してしまった。

 

そこで、どこかで誰かがボジョレーヌーボーを再び日本に売り込むために、本来のボジョレーの新酒・ヌーボーに、普通のワインを混ぜて売ることを思いついたのだ。これが僕の仮説。冒頭に書いたとおり、科学的根拠も証拠も何にもない。ただの仮説だ。

 

その後何度かボジョレーヌーボーを飲む機会があったのだが、毎回飲むたびに「美味しい」と感じるのだ。あの1988年に飲んだものと同じ種類のお酒とは思えない。

 

そもそも第二次ブームはとんでもない規模で日本中に拡散し、日本中のどこのコンビニに行ってもボジョレーヌーボーが売られる始末。

 

フランスの一つの村でその年に取れたワインの新酒が、人口1億人を超える日本の津々浦々に行き届くだけの生産量を持てるだろうか。この点も相当おかしい。

 

 

そしてリーマン・ショックが日本を襲った頃から、ついに鉄壁を誇ったボジョレーヌーボーにも価格破壊・ブランド崩壊の時が訪れた。

 

それまで2,500円~3,000円の高値を維持していたものが、ペットボトルタイプだ円高だと理由をつけて一気に1,000円を切り、なんと500円なんてものまで出てしまった。

 

ユーロは3割程度しか下がっていないのに、ボジョレーヌーボーの値段は1/5に。今までいったいどれだけ儲けていたのか。

 

 

というわけで、僕は今でも1988年〜89年頃に出回っていた、あの酸っぱくてやたらに不味いワインこそが本物のボジョレー・ヌーボーだといまだに信じている。

 

この話を同年代の人にすると、何人かの人から「そうそう、昔のは不味かったよねー」と同意いただけることがあり、やっぱりそうだったんだと確信するに至っている。

 

でも、美味しいワインを皆でワイワイ飲むのは最高に楽しいことは間違いなく、それがヌーボーかどうかは実はあまり重要ではないことは、僕も知っている。

 

この記事を読んでくれた方は、もし憶えていたら、今夜やこの週末にでも、ヌーボーを友達や恋人と飲む時に、「こんな変なこと言ってるヤツがネットにいたよ」と話題にでもしてもらえれば幸いだ。

 

僕はいつか、フランスのボジョレー村を11月第3木曜日に訪れ、現地で本当のボジョレー・ヌーボーの味を確かめてみたいと願っている。

 

もし願いがかなったら、このブログにて必ず報告することを約束する。

 

では、その日を夢見て、乾杯!


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