雑記 僕らがパリのカフェで奥の席に通される理由 [2012年夏 ヨーロッパ旅行記 その22]

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パリでふと感じたことを記録にしてみた。

2012年ヨーロッパ旅行記、パリ編。

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雑記  僕らがパリのカフェで奥の席に通される理由 [2012年夏 ヨーロッパ旅行記 その22]

パリのカフェやブラッスリーには当然のようにテラス席がある。

8月下旬のパリはまさに絶好の気候で、日中でも気温は25〜26度程度、朝は15〜16度である。

朝晩は半袖一枚だと肌寒いくらい。ただ日差しはとても強いので、日なたにいると暑く感じる。

湿度が低くカラッとしているので、暑くてもほとんど汗をかかないし、かいてもすぐに蒸発してしまうので気にならない。

そんな陽気のパリでカフェに陣取るなら、当然テラス席がいい。ランチタイムも気持ちがいいし、夕暮れのパリの街を眺めつつワインを飲むのもいい。

そもそもパリの夜は東京よりもずっと遅い。この時期でも真っ暗になるのは21時ぐらいで、18時はまだまだ昼間、19時でも夕方というイメージだ。サマータイムで1時間時刻が後ろ倒しになっていることもある。

だから店が混雑する時刻も日本よりも遅い。

僕ら日本人にとって夕食の時刻は19時〜21時というイメージではないだろうか。

でもパリの人たちは、1〜2時間夕食の時間が後ろにずれている。19時に店に入っても食事をしている人は少ない。20時を過ぎて、ようやく食事の時間になるイメージだ。

 

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▲ パリ到着の日の夜。ブラッスリーの一番奥の席に通された。この写真で一番右端に紺色の半袖シャツの腕が見えているが、この男性も日本人。

他のお客さんから離れた一番奥に日本人が固められている。

 

さて、そんなわけで、僕らは素敵な陽気に誘われて、カフェやブラッスリーに出かけていく。

ランチの時、合間のお茶の時(お茶といっても僕はビールかワインばかり飲んでいたが)、そしてディナーの時。

店によって勝手に空いている席に座っていい場合と、店員が案内してくれる場合がある。

今回の旅行の序盤では、たまたま店員が席に案内してくれるケースが続いた。

すると、僕らは必ず店の一番奥の席に案内されるのだ。

最初は「あれ?」と思っただけだったが、2、3軒続いたのでちょっと気になった。

 

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▲ ここも他のお客さんから離された一番奥の席。一番奥の並びには我々だけで、白人客は通り沿いにずらっと並んでいるのが分かる。

 

ある店では、一番奥の席に案内されたら、そのすぐ脇にも日本人客が座っていた。

テラス席は白人ばかり、そして中間にお客がいない空白地帯があって、一番奥にアジア人が固められているという構図。

そして別の店でも、テラスが空いているのに店内の一番奥まった席に通された。

最初に書いた通り、僕らはランチもディナーもちょっと早めに行動しているので、テラス席自体は空いているのに、だ。

なるほど、彼ら店員たちは僕らアジア人をテラスに座らせたくないのだな、と理解した。

もちろん僕の考えすぎかも知れない。店員達は何も考えていない可能性もある。

ただ、オープンテラスのカフェのテラス席には、ある程度客引き的な要素も含まれているだろうから、そこにアジア人を座らせたくないと彼らが思ったとしても、別に驚かない。

実際それらの店ではテラス席は白人ばかりだったし、その方が見た目的には良いのだろう。

日本だと店の一番奥というのは「上座」で良い席という定義があることもあって、僕自身は奥の席に通されること自体に違和感はあまりない。

ただ、せっかく気持ちの良いお天気なのに店内だとつまらないな、と感じただけだ(旅行中盤からは奥に通されたら「テラスに移らせてくれ」と言うようになった)。

そして僕らが英語とフランス語でコミュニケーションが取れることが分かると、大抵店員さんたちの愛想は急にとても良くなる。

だから「差別」とかいうような大げさなことを言っているのではない。

ただ、彼らには彼らの価値基準があって、僕らは奥へ、という道理が働いていたことを感じただけ。

 

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▲ ここも我々の後ろ、通り沿いのテラスに白人客が並んでいるのが分かる。店内はこの時点でお客は我々だけ。

 

ヨーロッパに来て毎回感じるのは、日本と違いヨーロッパは階級社会だということ。

お客が白人中心のオシャレなカフェには、ごく稀にしか黒人の客はいない(街には黒人はすごく多い)し、アラブ系の客も滅多に入ってこない。

一方朝にゴミ収集で働いているのはほとんど黒人だし、道路工事現場で汗を流しているのも黒人とアラブ系が多い。あとホテルもフロントは白人だが、部屋の掃除担当は黒人ばかり。

フランスはアフリカ大陸に広大な植民地を持っていたし、今は移民を受け入れているので、国民には黒人やアラブ人が結構多い。

だが、白人と黒人、それにアラブ人は積極的にお互い交わろうとしていないように見える。彼らはお互いのテリトリーを持ち、その中で別々に生きている。

当然白人の方が上の階層にいて、黒人やアラブ人はその下にいて、白人が嫌がるような重労働や汚れる仕事を安い給料で担当しているのだ。

というわけで、パリ中心部のオシャレなカフェやブラッスリーは、どちらかといえば、白人の城、テリトリーなのだ。

その白人の城に堂々と入ってくる異分子は、一部のアッパークラスの黒人やアラブ人を除けば、日本や中国の観光客ぐらいなのだろう。

だから店員たちは警戒し、混乱するのだろう。そして自分達の城があくまでも白人達のために用意された場所であることを示すために、異分子であるアジア人を、一番奥の席に隠すように座らせる。

 

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▲ ここも通り沿いの席が空いているのに、我々は奥に通された。

 

僕はそれらを不快に思ったわけではない。店員たちは僕たちにだけ無愛想なのではなく(無愛想な場合)、全部の客に対して無愛想だったし、ニコニコしている場合は、僕らにだってちゃんとニコニコしてくれた。

ただ、その対応の中に、無意識に僕ら異分子を選別する行動が含まれていることが、とても興味深かったのだ。

なるほどここは他民族が行き交う移民の国の首都、そして広大な植民地をアフリカに持つ国なんだと実感した次第。

まあ確かに、テラス席にデビッド・ボウイみたいな白人を座らせるか、某国の独裁者みたいなアジア人を座らせるか選べと言われれば、日本のカフェの店員でも、デビッド・ボウイをテラスに座らせるだろう。

僕のルックスが某独裁者的かどうかという問題ではなく、アジア人はヨーロッパでは白人、黒人、アラブ人よりもさらに異端の、マイノリティーであるということなのだろう。

海外を旅する一つの醍醐味は、自分がいかに異分子でちっぽけな存在であるかを実感することだと思っている。

そういう意味では、今回の旅は色々と自分の無力さ、ちっぽけさを感じる機会があって楽しかった。

世界は広い。僕なんかが今さら言うことではないんだろうけど。それでもやっぱり世界は広い。

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