「アクティブ・リスニング」で「聞き上手」になる方法 — 心の対話者 by 鈴木秀子

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僕は昔から人の話を聞くことが好きだ。

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人は皆自分の話をしたがる。もちろん僕だって自分の話をするのも大好きだ。

でも僕は、自分の話をするのと同じくらい、人の話を聞くことも好きだ。

昔からその特性はあった方だと思うが、そのことを意識するようになったのは、村上春樹さんの小説を読むようになってからだ。

彼の小説に登場する主人公は皆、無口で人の話を聞くことを好む人物だった。

僕はお喋り好きで無口とは言い難かったが、村上さんの小説に登場する「人の話を聞くことが好きなキャラクター」に親近感を覚え、より意識的に人の話を聴くようになった。

 

 

話は変わるが、世の中には人の話を聴くことを仕事としている人々がいる。

コンサルタントもそうだ。そしてセラピストやカウンセラーといった職業の人たちも、人の話を聞くことが仕事だ。

最初その話を聞いた時、僕はちょっと意外だった。

「コンサルタントやカウンセラーって、人にアドバイスをするのが仕事なんじゃないの?」と。

同じように疑問を持った方も多いのではないだろうか。

そんな時読んだ本に、答えが書いてあった。「心の対話者」という本だ。

心の対話者 (文春新書)鈴木 秀子 文藝春秋 2005-09-20
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さっそく紹介しよう。

 

 

 

否定も肯定もせずに「聴く」価値

僕は自分の中で「話を聞くのが好き」とは思っていたが、「聞き上手」という発想はなかったし、ましてやアドバイス上手などという自覚はもともとはなかった。

ただ、個人コンサルでクライアントの方と対面してお話しさせていただく機会も出てきて、きちんとした「聞き上手」にならないといかん、と考えるようになった。

「聞き上手」というと、「アドバイス上手」というイメージを持つ人も多いのではないだろうか。

相手の言葉から瞬時に解決策を見つけ、ずばり的確なアドバイスを示す人。それが聞き上手だと。

しかし、この本を読んで、どんどん相手にアドバイスをする人は、決して聞き上手ではないことが良く分かった。

 

 

本書では冒頭に、プロジェク完遂間際に突然異動を命じられ、怒りに燃える若いエンジニアの話をただ淡々と聞き続ける元上司の話が登場する。

ここでは元上司は若いエンジニアの話を肯定も否定もせず、しかし熱心に聴き続けたという。まるで彼に寄り添うかのように。

すると、怒りに震えていたエンジニアは、元上司が慰めも励ましもしないのに、自分の心境を掴み、自分を理解してくれたと感じたという。

「彼は上司と一体感を感じていた」という。

そして、その夜の元上司との時間を契機に、若いエンジニアの心には静けさが戻り、異動に対する心の準備もできたという。

この話で元上司が取った行動こそ、「傾聴」である。

相手を鼓舞したり否定したりするのではなく、ただ聴くこと。

著者の鈴木さんは、「聴く」ことの大切さについて、以下のように説いている。

 

悩みを抱えたり、心に傷をもつ人々のケアをする「カウンセリング」においては、まさに「聴く」こと、そのすべてといっても過言ではない。

 

人の話に真剣に耳を傾けること。

それは僕らが想像している以上に人に大きな力を与えるのだ。

 

 

 

「アクティブリスニング」を身に付けよう

ここで重要になるのが、共感を持って話を聞くことだ。

著者は「聞く」と「聴く」の違いという表現を使っており、積極的に聴くことを「アクティブ・リスニング」と呼んでいる。

アクティブ・リスニングとは、一言でいえば、話し手の言葉を反射的に聞き手に返すことで、聞き手が本当に言いたいことが何なのかを反芻し、より正確な言葉で自己表現できるように誘導する技法である。

 

アクティブ・リスニングでは、聞き手は話し手の言葉に対して、「こういうことをおっしゃりたいんですね?」「こういうことを考えているんですね?」「そういうお気持ちなんですね?」「つらいんですね?」「悲しいんですね?」とフィードバックを行う。

 

適切なフィードバックを行うためには、相手の話をきちんと聴いていなければならない。

的外れなフィードバックをしてしまえば、「この人は全然話を聴いていない」と聞き手は心を閉ざしてしまう。

適切なフィードバックが効果を発揮しているアクティブ・リスニングの例が挙げられているので引用しよう。母と子の会話だ。

子供が「先生は僕のことばかり叱るんだから嫌になるよ。あんな奴、いなくなればいいんだ」と言ったとする。

ここで、母親は「なんてこと言うの!馬鹿なこと言うのはやめなさい!」と叱りたくなるが、そこを我慢してアクティブ・リスニングで以下のように返す。

 

 

母「先生があなたのことばかり叱ることに、腹を立てているのね?」

子「僕のことばかりっていうより、叱る子と叱らない子がいるんだよ」

母「先生がえこひいきしているように感じて、嫌なのね?」

子「同じことをやっても、叱られる子と叱られない子がいるんだよ」

母「あなたは、いつも叱られる子になっちゃうのが、嫌なのね?」

子「いつもじゃないんだけど、山田君と田中君と僕は、わりと叱られやすいんだ。同じいたずらをしても、ぜんぜん叱られない子もいるんだよ」

母「ぜんぜん叱られない子もいるのに、あなたたちはよく叱られるのね?」

子「うん。目立っちゃうのかな?まあ、三人とも目立ちやすいんだよね」

母「目立ちやすいから、先生に叱られるっていうこと?」

子「うん。まあ、目立つの嫌いじゃないしね。こそこそいたずらするのって、カッコ悪いしさ」

 

 

アクティブ・リスニングが機能したおかげで、子供は「先生のえこひいきだ!あんな奴!」という一方的な怒りの状態から冷静さを取り戻している。

そして子供は、先生が自分を叱るのは、自分の個性の賜物であり、自らの言動が招いた結果であるということに気づき始めている。

このように、アクティブ・リスニングが適切に用いられると、話し手は「この相手は自分のことを理解し受け入れてくれている」という安心感を持ち、より深いレベルまで会話を推し進めていくことができる。

アクティブ・リスニングは、聞き手が返す質問の内容を変更することで、話し手の会話が向かう方向を変えることもできてしまう。

その技法は非常に奥が深い。詳しくは本書を読んで欲しい。

 

 

 

話し手が自分で気付く力を与えよう

アクティブ・リスニングは、話し手の自覚を促す「聴く技法」である。

話し手は「この人ならきっと分かってくれる」という安心感を持ち、自ら語り始める。この段階では「受容」の姿勢がとても大切だ。

否定や疑念はもちろんだが、激励や慰めも、話し手の「自覚化」にはマイナスとなってしまう。ただ傾聴し、そして適切な質問を返して、話し手が正しい自分の想いに辿り着く道を見つけるサポートをするのだ。

普段は人に言えず、心の中に抱えていた問題を話すことで、話し手はスッキリした気持ちになる。しかも目の前の聞き手がそれを一生懸命傾聴してくれると、さらに話す勇気を持つ。

そして話し手は、話を深めることで、自己分析を始める。

今まではモヤモヤとして頭の中に渦巻いていたさまざまな問題が、言葉になったことで自覚化され、次の段階へと進むキッカケを掴むのだ。

それらのプロセスを経て、やがて話し手は「真のテーマ」が何かに気づくことになる。

僕にも経験があるが、人間誰しも、悩みが深い時やトラブルを抱えている時に、最初から問題の核心について語ることはできない。

いや、むしろ、問題の核心については、自分自身でも理解できていないことも多い。

そのような時には、一見本題とは無関係とも思われる、瑣末な愚痴のような言葉が口を突いて出ることもあるだろう。

しかし、聞き手は「くだらない愚痴ばかり」と決めつけず、真摯に傾聴し続けよう。

目の前の霧が晴れ景色がクリアになるように、話し手は、一つ些細な問題を吐き出すごとに、「本当は一番話したいこと」へと近づいてゆくのだ。

 

 

 

まとめ

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僕自身何度か、年長者の「傾聴」によって、それまでのモヤモヤした気持ちが嘘のようにスッキリ晴れて、踊り出したいような気力を感じたことがある。

その時相手に感じた絶対的な安心感と信頼感は、その日から15年以上が経ってもハッキリと憶えている。

相手が意図的だったのか無意識にそのように振る舞われていたのかは分からない。

だがその相手に高い「傾聴力」が備わっていたことは間違いないだろう。

無意識的な単なる「話を聞くのが好き」から「聞き上手」へ、そして「傾聴力のプロ」へ。

人の話を真摯に聴くことは、人に話をすること以上に大切なことだと実感した。

アクティブ・リスニングはそう簡単に身につくものではないだろうが、意識的に取り組んでいきたい。

「聞き上手」こそコミュニケーション上手。本当にそうだと思う。

 

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