SUCCESsで学ぶ 良いアイデアの作り方

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良い企画と悪い企画。残酷なまでにハッキリとその存在は分かれる。

そして「良い企画」とは、市場社会では「売れる企画」であり、「刺さる企画」である。

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すべての企画が一律に売れるというわけにはいかないが、できれば自分が企画するモノは売れてほしい。

誰しもそう思うだろう。

そんな想いを持つ方にぴったりの本がある。

アイデアのちから」という本だ。著者はチップ・ハースとダン・ハースの二人。

 

アイデアのちから

チップ・ハース,ダン・ハース 日経BP社 2008-11-06

売り上げランキング : 4631

by ヨメレバ

 

 

一昨年一度勝間塾の課題図書として読んだのだが、その時はあまり印象に残らなかった。

でも今回再読したら、すごく良い本だなあと思ったのでご紹介。

 

 

 

良い企画にはSUCCESsがある!

 

書籍でも映画でも、良い企画には共通点がある。それがこの本の趣旨である。

そして何とも太っ腹に、その「良い企画にある共通点」を徹底的に解説してくれているのだ。

つまり、その共通点を持っているかをチェックしながら企画を深めていけば、「売れる企画」「刺さる企画」になる可能性が高まる、ということだ。

それらの共通点は6つ。頭文字を取って、SUCCESsと呼ぶ。

では、ひとつひとつ紹介しよう。

 

 

単純明快である(Simple)

良い企画とは常に単純明快、誰にでも分かるように作られている。

本書ではアメリカの格安航空会社、サウスウエスト航空の「最格安航空会社」というコンセプトを例に説明している。

サウスウエスト航空のCEOを務めたハーブ・ケレハーは、「最格安航空会社」というコンセプトについて、以下のように説明している。

営業部門のトレーシーがオフィスにやってきて、こう言ったとする。「調査の結果、ヒューストン—ラスベガス間で軽い軽食を出すと喜ばれそうなことが分かりました。今はピーナッツしか出していませんが、チキンシーザーサラダなら多くの乗客が喜ぶでしょう」と。

それに対してケレハーは正しい答えはこうだ、と説明している。

「トレーシー、チキンシーザーサラダを追加すれば、当社はヒューストン—ラスベガス間で最格安航空会社になれるのかな?無敵の格安航空会社になるのに役に立たないなら、チキンサラダなんて出さないよ」と。

核となるキーワードを1つ定めることが大切だ。三つも四つも言いたいことを並べるのは、何も言っていないのと同じだ。

そしてそのキーワードを軸に、企画全体が統一されていることが望ましい。

 

 

 

意外性がある(Unexpected)

人は誰しも予想外のことが起こると驚き、そしてそれを記憶に焼き付ける。

本書では、エンクレーブという自動車のCMを紹介している。

「新型エンクレーブ、登場」というアナウンスとともにCMは始まり、家族が次々と車に乗り込む。

このミニバンの機能を説明するアナウンスが流れる中、車は交差点で停止する。乗っている少年にカメラがフォーカスする。良くあるファミリーカーのCMだ。

父親がアクセルを踏みエンクレーブが交差点に指しかかったとき、猛スピードで別の自動車が交差点に進入してきて、エンクレーブの横腹に激突する。恐ろしい衝突音がし、ガラスが砕け散る。

そして画面は暗転し、メッセージが現れる。

「予想もしませんでしたか?」「誰もがそうなのです」

そして最後に一文。

「シートベルトを締めましょう…。どんな時も。」

そう、エンクレーブという車種は実在しない。

このCMは新車のコマーシャルではなく、米運輸省の依頼を受けてアメリカ広告協議会が意図的に新車のCMに見せかけて作成したシートベルト普及キャンペーンのメッセージだ。

 

 

このメッセージは大きな反響を呼んだ。それは、家族が新車に乗り込み楽しい時間を過ごしているという、ごくありふれた光景の中に、突然自動車事故という非日常が紛れ込んできたからというだけの理由ではない。

敢えて新車のCMという、我々が見慣れているメッセージを装ったために、僕らが期待し予想するCMの展開が突然の事故という形で裏切られたときに、僕たちは実際に予想外で驚いたのだ。

そして、「予想もしませんでしたか?」という文字が現れたときに、僕たちにとって、事故というものが、いかに身近にあり、しかも予想外な出来事なのかを知るのである。

 

 

 

具体的である(Concrete)

曖昧としたことは理解されにくい。

具体的であることは、物事の細部を際立たせ、触れる人に当事者意識を持たせる。

本書では、アイオワ州の教師の例をあげている。

マーチンルーサーキング牧師が暗殺された時、授業で人種差別について教えたいと思ったエリオット先生は、その方法を考えていた。

アイオワ州ライスビルというその街は白人ばかりの地区で、子供たちには人種差別という問題にはまったくリアリティーが感じられていなかった。

小学校3年生のクラスを担任するエリオット先生は、子供たちを青い瞳の子供たちと茶色い瞳の子供たちに分け、こう宣言した。

 

「茶色い目の子は、青い目の子より優れている」

 

そして二つのグループは隔離され、青い目の子供たちは教室の後方に座らさせられた。

茶色い目の子供たちは「あなたたちの方が賢い」といわれ、休み時間も長くもらえた。青い目の子供たちは遠くからでも分かるように特別な首輪を付けさせられた。

そして二つのグループは休み時間に一緒に遊ぶことさえ許されなかった。

すると、子供たちはあっという間に悪意に満ちた差別的な人間へと変貌した。

昨日まで一緒に遊んでいた子同士でも、茶色い目の子はあからさまに青い目の子を嘲るようになったのだ。

そして先生は翌日に、再び宣言した。

 

「自分は間違っていた。実は茶色い目のこの方が劣っていた」と。

 

子供たちは先生のこの宣言を受け入れ、青い目の子供たちは狂喜して茶色い目の子供たちに首輪を付けようと駆け出したという。

差別を受けている間、子供たちは授業の成績まで落ちた。自分が抑圧されていると思い、悪いことは全部自分たちに起こると感じたという。

このクラスの子供たちは卒業して20年以上経っても、他のクラスの子供たちよりも圧倒的に差別意識が低く、今でも鮮明にこの授業のことを記憶しているという。

ただ言葉で「差別はいけません」と言っても、実際の差別を知らない子供たちにはイメージができなかっただろう。

しかし、このように具体的に自らが差別されたり、翌日には差別する側に立てば、それがいかに愚かで間違ったことかがハッキリと分かるのだ。

 

 

 

信頼性がある(Credible)

どんな企画にも、信頼性が必要である。説得力とも言い換えられるだろう。

たとえば本の著者がどんなに正しそうなことを主張していても、その人がデタラメな日常生活をSNSに晒していれば、その人の本を手に取る気にはなれないだろう。

ここでは、禁煙キャンペーンの例をあげている。

禁煙キャンペーンのための広告を作成する時に、実際にタバコのせいで肺気腫になった24歳の女性を起用したのだ。

彼女は10歳からタバコを吸い始め、24歳で肺気腫となり手術は失敗していた。

肺気腫で肺が機能不全となった女性が生きようともがく姿がCMで映し出された。醜い手術跡、そして、子どもの頃と大人になってからの顔写真が比較されるように映された。肺気腫の顔はむくみ、首にこぶができていた。

「年齢より上に見られたくてタバコを吸い始めたけれど、その通りになってしまい、後悔している」。彼女はそう語った。

彼女は31歳の若さで亡くなったが、彼女の禁煙キャンペーン広告は大きく話題となった。

実際に興味本位でタバコを吸い始めた人が苦しむ姿は、禁煙キャンペーンの広告としては、最高レベルの信頼性を与えたのだ。

 

 

 

感情に訴える(Emotional)

人は感情に訴えられると、大きく心を動かされることがある。

例えばプライド。たとえば忠誠心。

視聴者や読者の感情に訴えることで、相手を鼓舞し、行いを誘導することもできる。

ここで例にあげるのは、テキサスの路上ポイ捨て防止キャンペーンである。

テキサスのポイ捨ての状況は酷かった。「南部野郎」、テキサスの荒くれ者たちに、一筋縄のキャンペーンでは効果はないとないと予測し、以下のような広告を作った。

ダラス・カウボーイズという地元フットボールチームの人気選手二人がゴミを拾いつつ話をしている。

 

「このゴミを捨てた奴らに会ったら、俺から話があると伝えてくれ」

「俺も一言言いたいね」

「なんて言うんだい」と画面外からの声が訊ねる。

「テキサスを怒らせるなよ」(「怒らせるな」は「散らかすな」と同じ英語表現)

 

このキャンペーンのメッセージは、「テキサス人はゴミを捨てない」ということだ。

荒くれ者のスターであるフットボールの人気選手たちが、じろりと睨みつけるように画面を見ながら「テキサスを怒らせるなよ」と言う。

このキャンペーンは大成功となり、道路沿いのゴミは激減。他州との比較でも数値がジャンプアップしたという。

 

 

 

物語性(Story)

ファストフードは健康に悪いというイメージが定着しつつある。

しかし、その中でサブウェイは他のチェーンとは距離を置き、独自の健康路線を推進している。

そんなサブウェイが行った衝撃的なCMがある。

それは、アメリカに実在する青年の物語りである。

20歳にして体重193kg、ウエスト150cmという肥満体に悩む彼は、単に肥満に悩むだけではなく、浮腫という病気が発見され、医師である父親から、35歳まで生きられないだろうと宣告されてしまう。

そこで彼はダイエットを決意した。

そのダイエットとは、サブウェイが当時キャンペーンをしていた、低カロリー商品ターキーサンドイッチを昼と夜に食べる、というものだった。「サブウェイダイエット」である。

ダイエット開始3ヶ月で197kgあった体重が150kgにまで落ち、彼は運動も開始。

結果、何と体重は82kgにまで落ち、彼は健康を取り戻した。

彼は地元紙のインタビューで「サブウェイは命の恩人」とまで言っていた。

 

 

そんな彼のサブウェイダイエットを、サブウェイが知ることになり、CMに起用しようということになった。

ところが、ファストフード店が健康をキーワードにすることに対する慎重論が根強く、上層部からGOがでない。

幾つかのトラブルを抱え、広告制作会社は何と無料でCMを作ることを決断し、CMは公開にこぎ着けた。

主人公の青年ジャレド君の現在の姿が映し出され、続いて197kgあった時の写真が大写しになる。

そして、彼がサブウェイ・ダイエットのおかげで82kgにまで減量に成功したとナレーションが流れるのである。

翌日から広告制作会社の電話は鳴りっぱなし、そしてサブウェイの売上は大幅に伸びることとなった。

一人の青年の物語りが、全米の人々の心を打ったことになったのだ。

 

 

 

「解説」も必読!

本書は350ページ以上あり、具体例が多く話が次々と出てくるので読むのに若干骨が折れる。

しかし、巻末に全体を8ページにまとめた「手引き」が付いている。

ここを読み返すと全体像を思い出すことが容易になる。企画を練る際には、この部分だけでも読み返すと良いだろう。

あと、本書は解説を勝間和代さんが書かれているのだが、この解説が素晴らしい。

勝間さんの初期代表作の一つ「お金は銀行に預けるな」を例に、いかに書籍の内容をSUCCESsに従って「売れる」「刺さる」モノに仕上げるかが丁寧に書かれている。

長い本を読むのが苦手、翻訳本は好きじゃない、という方は、勝間さんの解説を読むだけでも、この本のエッセンスは十分伝わるのではないだろうか。

 

 

 

まとめ

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本書は一回読んで終わりにするのはもったいない、繰り返し読み返したい名著である。

読み返す、というよりも、解説で勝間さんが書かれているように、自分の企画にいかにこのSUCCESsを当てはめるか、が勝負になる。

「単純明快で、意外性があり、具体的で、信頼性があって、感情に訴える、物語」という、6つのキーが、自分が作ろうとしている企画(書籍、プレゼン資料など)にきちんと含まれているか、それをチェックすることが大切だ。

自分の企画をより尖らせ、記憶に粘るものにできるか。

そのブラッシュアップに本書は欠かせないものとなるだろう。

何かを作る人、何かを作りたいと思っている人に、強くオススメ。

 

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