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タスクを25分単位で回せ! 書評「ポモドーロテクニック入門」

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世の中にはさまざまな時間管理術があるが、この「ポモドーロテクニック」はとてもユニークだ。

まずなんといってもその名前のユニークさに驚くだろう。

友達に「ポモドーロテクニックって知ってる?」と聴いてみるといい。

ちょっと気が利いた人なら「なにそれ新しいイタリアンのレシピのこと?」と訊かれるかもしれない。

「ポモドーロ」とはイタリア語でトマトのこと。

そしてこの「ポモドーロテクニック入門」は、トマトを使った時間管理術の入門書なのだ。

トマトを使った時間管理術?

 

 

アジャイルな時間管理術 ポモドーロテクニック入門 

Staffan Noeteberg アスキー・メディアワークス 2010-12-16
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by ヨメレバ

 

 

 

ポモドーロって何なの?

 

 

さて、そもそも何故時間管理術の名称が「ポモドーロ」なのか。

それは、考案者の自宅にあったキッチンタイマーが、たまたまトマトの形をしていたからに過ぎない。

赤いトマトの形をしたキッチンタイマーで、時間を測ったのだ。それだけのこと。

単純なことだが、ネーミングセンスとしては、抜群のインパクトで秀逸だ。

ポモドーロテクニックは、キッチンタイマーとノート、それにペンが一本あれば実践できる、シンプルなメソッドなのだ。

 

 

25分 = 1ポモドーロに均一化できる気持ち良さ

 

 

この「ポモドーロテクニック」の実践方法、詳しくは本書を読んで欲しいのだが、とても簡単に言うと以下のプロセスとなる。

 

 

  • 「アクティビティ在庫シート」というシートに、近日中にやらなければならないことを全部書き出す。追加でやるべきことが増えた時もここに書き足す。

     

     

     

     

 

  • 「本日のToDoシート」というシートに、「アクティビティ在庫シート」から、その日やるべきことを重要度や優先順位をもとにピックアップする。その際にどれぐらいの時間がかかるかを見積もる。

 

  • 「本日のToDoシート」に書いた順に、どんどんタスクをこなす。その際25分を1単位として、25分作業をしたら終わっていなくても3〜5分の休憩を入れる。25分の作業単位を「1ポモドーロ」という単位で呼ぶ。

 

  • 4ポモドーロを1セットとして、1セット集中したら15分〜30分程度のセットブレイクを入れる

 

  • 一日の作業が全部終わったら何ポモドーロを作業できたかを記録する

 

  • 何日か作業をしたら、見積もりと実績の誤差、計画時になかった割り込み作業の発生頻度などを集計して傾向を分析し、対策を講じることで精度を上げる

     

     

     

     

     

     

 

とにかくどんな作業も「1ポモドーロ」という単位の中に放り込んでしまうのだ。

 

 

1ポモドーロで処理できない長いタスクは3つ〜4つまとめて作業する。その際見積もりには「4ポモドーロ」というような書き方をする。

逆に1ポモドーロもかからずに処理できてしまう小さなタスクは、「0ポモドーロ群」として書き出しておき、0ばかりを集めて1ポモドーロにして処理してしまう。

 

 

キッチンタイマーを25分にセットして、スタートしたら、その間は他のことには一切目もくれず、目の前のタスクに全力で集中するのがルール。

メールを見たりTwitterをやったりしてはいけない。もちろんTVをつけて、ながら作業などもってのほか。

 

 

この方法、やってみると分かるが、メチャクチャ捗るのだ。但し相当くたびれる。

クライアントからの仕事も、友達へのメール返信も、ブログの更新も、セミナーの宿題も、読書も、とにかく集中して実行すべき作業はすべてこの「ポモドーロ」という単位に放り込んでしまえる。

これは実にシンプルで気持ちがいい仕組みだ。

 

 

俯瞰する戦略と実行する戦術

 

 

ネーミングがユニークで、「とにかく25分やったら5分休憩」という部分が分かりやすいのがポモドーロテクニックの優れたところだが、実は重要なのはその点でだけではない。

個人的に一番重要だと思うのが、計画・立案をする部分と、実行・処理する部分が分離している点だと思っている。

 

 

僕は週に一度月曜日に「アクティビティ在庫リスト」を更新することにしている。

この「アクティビティ在庫リスト」を考える時、僕らは完全に戦略家として物事を考える。

「このプロジェクトのこの件は、急ぎではないけれど、早めに手を付けておくべきだな」とか、

「季節の挨拶のメール、あの方とあの方には出しておかなくちゃ」など。

これらは日常の忙しさや惰性からは一旦離れて、理想的な優先順位で立案されるべきだ。

 

 

そして実行段階においては、僕らは優先順位や作業の複雑さは一切考慮せず、戦略家が決定した優先順位に乗っ取って、ただ機械的に最高の効率で物事を処理していくのだ。

実行段階でいちいち、「あーこの人にメール書くべきかなあ」とか「このプロジェクト、複雑で面倒だから、明日に延ばしちゃってもいいかなあ」などと考えるのは時間の無駄なのだ。

計画と実行、ここの棲み分けがとても分かりやすくて実行に移しやすいのだ。

 

 

まとめ

 

 

このポモドーロテクニックは、中・長期的なビジョンを俯瞰的に決めるという機能は持っていない。

アクティビティ在庫リストは、せいぜい一週間先程度のタスクまでしか管理できないだろう。

そういう意味では、ポモドーロテクニックはタスク実行のための時間管理術と言える。

従って、自分の10年後の目標、5年後の目標などを定めて誘導する中・長期的な管理手法と併せて使うことで真価を発揮するテクニックだろう。

 

 

OmniFocusやNozbe、それにToodledoなど、現代にはさまざまなタスク管理ツールが登場している。

これらのツールを駆使して、見積もったタスク、実行したタスクとその履歴、時間差などを把握できるようになると、相当有効な分析結果が得られるのではないだろうか。

ポモドーロテクニック。非常に面白く有意義な時間管理術だ。

今後このブログでも、このポモドーロテクニックの応用型や使えるツールなど、見つけ次第皆さんとシェアしていきたい。

 

 

追記:

本書「ポモドーロテクニック入門」を読んで僕が作成したレバレッジ・メモをFacebookページで公開しました。

 

レバレッジ・メモ アジャイルな時間管理術 ポモドーロテクニック入門 Staffan Noteberg著 渋川よしき/渋川あき訳 | No Second Life Facebookページ

 

 

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