書評

キーストーン・ハビット(要の習慣)を変えれば人生は劇的に変わるしかない!!

書評
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人間は習慣の塊である。これは僕の哲学である。

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僕たち多くの「一般の人」は、天才的な才能を持っていない。

しかし、天才ではない一般の人である僕らでも、自分の人生を劇的に変えて、理想の日々を手にすることができる。

どうすればいいのか?

それは「習慣」を変えるのである。

僕たちの日々の生活はあらゆる種類の「習慣」で埋め尽くされている。

だから日々の「悪い習慣」を断ち切り、「良い習慣」で生活を埋め尽くせば、あなたの日々は劇的に変わる。

どうすればいいか分からない?

そんな人のために素晴らしい本がある。その名はずばり、「習慣の力」。チャールズ・デュヒッグさんという、ニューヨークタイムズ記者の方が書いた本だ。

 

習慣の力 The Power of Habitチャールズ・デュヒッグ 講談社 2013-04-26
売り上げランキング : 5654

by ヨメレバ

さっそく紹介しよう。

 

 

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キーストーン・ハビット(要の習慣)を変えれば人生は劇的に変わるしかない!!

 

キーストーンハビットを変えろ!!

34歳になるアメリカ人女性がいる。リサというその女性は細身で生気に溢れ、ランナーらしい引き締まった身体をしている。

彼女はある研究所で人間の「習慣」に関する研究に協力しているのだ。

 

 

彼女は16歳から喫煙と飲酒をはじめ、ものごころついたときから肥満に悩まされていた。

20代半ばで1万ドルを超える借金を抱え、一番長く続いた仕事でも1年もっていないという状態だった。

しかし、いまの彼女は以前の写真より10歳は若く見え、最新の報告書によれば借金はなく、酒も飲まず、新しい仕事に就いて39ヶ月目を迎えていた。

彼女は4年間で体重が30kg落ち、マラソンを走るようになった。さらに大学の修士課程に入学し、そして家まで買っていた。

彼女は短期間に劇的に人生を立て直すことに成功していたのだ。

 

 

彼女の劇的な変化のきっかけは、実は「禁煙」だったのだ。

4年前にリサは夫から突然別れを切り出される。半狂乱になったリサは酔いつぶれるまで飲み続け、泣いては口に食べ物を詰め込む日々を送った。

肥満でアルコールとニコチン漬け、夫には去られ仕事も続かず、借金まみれの人生。

彼女はその時エジプトの砂漠横断の旅を思い付き、そこで「禁煙」を決意する。人生に一つくらい目標があってもいいじゃないかと思ったのだ。

 

 

砂漠横断のあいだ彼女はタバコを吸わなかった。そしてアメリカに戻ってからも禁煙は続いた。

そして禁煙をきっかけに、彼女は自分自身の生活を見直すようになった。

彼女はジョギングをはじめた。すると食生活や働き方、睡眠、貯金の仕方も変わり、将来の計画を立てるようになった。

やがて痩せるためのジョギングは本格的なランニングとなり、フルマラソンを完走した。

彼女は大学に戻り家を買い、新たな男性と婚約もした。

このような劇的な変化を遂げた彼女は大学の研究者の目に留まり、「習慣」の持つ力について、脳の働きについてのサンプルとなったのだ。

 

 

研究者たちは脳の神経の動きを分析した。

その結果分かったのは、リサに劇的な変化を起こしたのは、エジプトへの旅や離婚ではなく、「禁煙」という新たな習慣がきっかけだったことが分かった。

リサは喫煙というたった一つの習慣を変えることに専念したことが功を奏したというのだ。

たった一つの習慣、それを「キーストーンハビット」(要となる習慣)と呼ぶ。

喫煙→禁煙という要となる習慣が変化し、定着することで、他のさまざまな良い習慣を簡単に身に付けられるようになるというのだ。

一つの習慣に狙いを定めて確実に定着化させることで、脳の神経回路が変化し、他の習慣のプログラムも組み直すことが容易になるのだ!

「私たちの生活はすべて、習慣の集まりにすぎない」

ウィリアム・ジェイムズはそう言った。

ということは、一つの習慣を変えることに成功することで、人生全体を劇的に変えることが可能となるのだ。

 

 

 

世界中の人が「ねり歯みがき」を使うようになったわけ

今では世界中の人、というと言いすぎかもしれないが、少なくとも先進国のほとんどの国で、人々は毎日歯を磨いている。

そしてそのときに、ほとんどの人はねり歯みがきを使って歯磨きをしている。僕もその一人だ。

しかし、1900年代初頭のアメリカには歯を磨くという習慣がなかった。

歯を磨かないと当然虫歯や歯周病が起こる。アメリカの軍隊においても、口腔衛生の悪化は大きな問題となっていた。

しかし、歯磨きの習慣がない人々に歯を磨かせることは簡単ではなった。

 

 

そんなとき、あるビジネスマンが、ねり歯みがきを売り出そうとしていた。

ねり歯みがきは新しいアイデアではなかった。それ以前からもさまざまな種類のねり歯みがきが販売されていた。

しかし、歯を磨く習慣がない国では、ねり歯みがきは売れなかった。

そこで、そのビジネスマンは、当時のアメリカで天才と言われていた宣伝マン、クロード・ホプキンスにねり歯みがきペプソデントの宣伝を依頼した。

 

 

ホプキンスはさまざまな研究資料や他製品の宣伝などを検討し、「歯垢」の存在に着目した。

歯垢が溜まることで歯周病や虫歯が起こることは歯科関係者なら誰でも知っていることだが、一般市民は興味を示していなかった。

そこで、ホプキンスは歯垢を分かりやすく「膜」と名付け、主に若い女性に対してこう訴えかけた。

「本来の白くて美しいあなたの歯が「膜」で汚れています!ペプソデントで「膜」を落としてツルツルにしましょう!」と。

 

 

この広告が当たり、ペプソデントは売れた。

しかし、実はホプキンスすらも気づいていない、「習慣化の決め手」が商品自体に隠されていたのだ。

そのおかげでペプソデントは爆発的に売れたのだが、それは「ミントのヒリヒリする感覚」だ。

消費者は膜で汚れた歯をキレイにしようとペプソデントを使って歯を磨く。

ペプソデントにはミント油が配合されていたため、ひんやり・ヒリヒリとした刺激が口の中に残る。

この「ひんやり・ヒリヒリ」により、消費者は「歯がキレイになった」「気持ちがいい」「さっぱりした」と感じたのだ。

「スッキリしたい」「汚れた歯をキレイにしたい」という欲求がミント油により発生ししたことで、アメリカ中の人々が毎日ペプソデントを使って歯磨きをしたい!と思うようになったのだ。

 

 

ねり歯みがきにミント油を入れても歯がキレイになる効果に影響はない。

しかし、ミントのスッキリ・ヒリヒリ感がない歯磨きはまったく売れないのだ。

消費者は、口の中がひんやり・ヒリヒリしてはじめて「歯がキレイになった」と感じる。

ペプソデントの開発者たち自身も、特にこの「ひんやり・ヒリヒリ」感を期待してミント油を入れていたわけではなく、単なる香料としてたまたま加えていただけだった。

 

 

他社も最初はなぜペプソデントだけが爆発的に売れるのか理解できなかった。

しかしやがて他社もミントの効用に気づき、ミント入りの「爽やかな」歯磨きを発売したところ、軒並み売れ行きが伸び、ペプソデントの売れ行きは落ち始めたという。

人間は、歯がキレイになり虫歯を防げるという「報酬」だけでは習慣化できなかった。

そんなアメリカの人々が無意識に歯磨きを習慣化できたのは、「ミントによるスッキリ感が欲しい」という、欲求だったのだ。

 

 

 

習慣化はこうすればできる!

リサの例とペプソデントの例から学ぶと、習慣化のキーが見えてくる。

それは、「きっかけ」→「ルーチン」→「報酬」というサイクルを、「欲求」というエンジンで回転させることだ。

たとえばダイエットのための運動について考えよう。

ダイエットのサイクルを回す「きっかけ」としては、「朝起きたらすぐランニングに出る」など、時間をきっかけにすることが多い。

この場合の「報酬」はもちろん「痩せて引き締まった身体」になる。

そのための「ルーチン」がランニングになるわけだが、成功者の多くはここに「欲求」のエンジンをかけている。

その欲求とは、痩せたら是非着たいスリムなジーンズやビキニの水着の写真を眺めたり、体重計に乗った時の誇らしい気持ちをイメージしたりすることだ。

ダイエット中に誘惑に駆られたときに、これらの「なりたい自分」を強くイメージすることで、ダイエットの習慣化が定着するのだ。

 

 

 

まとめ 究極の習慣とは

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この本は380ページを超える膨大な量で、さまざまな個人や団体が、人間の習慣の力を利用して商品を売ったり、組織を立て直したり、病気を治したりするさまを徹底的に描き、分析している。

僕たち人間は放っておいても習慣の力に支配され、いつもと同じ行動を取ってしまうのだ。

その原理を知らないと、僕たちは習慣の奴隷となってしまう。

しかし、この原理を知り「きっかけ」→「ルーチン」→「報酬」のサイクルに「欲求」のエンジンを加えることで、僕たちは自分の習慣を支配することができる。

 

 

イギリスの哲学者ウィリアム・ジェイムズは以下のように言っている。

 

「習慣のおかげで、最初は行うのが難しかったことも、どんどん容易になり、十分に練習すれば半ば機械的に、ほとんど意識することなくできるようになる。

自分がどんな人間になりたいのかがハッキリすれば、人は「そうなるべく練習したように成長する。それは紙や上着をいったん折りたたむと、あとになってもその折り目どおりにずっと癖がついているようなものだ」

 

そして、究極の習慣とはなにか、考えたことはあるだろうか。

それは、「自分が変われると信じる」ことを習慣にすることだ。

人間は自分が思ったようにしか生きられない。習慣を変えれば人生が変わる。

そのことを信じ続けることができれば、あなたも僕も、きっと変わることができる。

信じるかどうかはあなた次第。僕は5年前からこのことを信じ続け、そして変わり続けている。

 

習慣の力 The Power of Habitチャールズ・デュヒッグ 講談社 2013-04-26
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