書評「9割がバイトでも最高のスタッフに育つディズニーの教え方」 by 福島文二郎

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東京ディズニーリゾートを訪れたことがある人なら誰でも感じるあの凄さ。

とにかく清潔、スタッフは親切、ゴミは捨てた瞬間にスタッフが掃除してくれる。

僕自身ディズニーリゾートにはしばらく行っていないが、初めて行った時の衝撃は今でもハッキリ憶えている。

それまで日本各地にあった遊園地とは、根本的にレベルが違うのだ。何もかもが完璧に作り込まれた夢の国。

リピーター率98%という驚異の数値は、他の追随をまったく許さない。

 

 

そんな夢の国、東京ディズニーリゾートはどのように運営されているのか。

ビジネスに関わる人間なら、誰でもその舞台裏を知りたいと思うだろう。

本書「9割がバイトでも最高のスタッフに育つディズニーの教え方」は、東京ディズニーランド創業時からの社員だった著者福島文二郎氏が、自身の経験をもとに語る、ディズニーの凄さの秘密を公開してくれている。

なお、東京ディズニーリゾートの運営会社は「オリエンタルランド」社だが、このレビューでは本書に倣って「ディズニー」としている。

 

 

9割がバイトでも最高のスタッフに育つ ディズニーの教え方 

福島 文二郎 中経出版 2010-11-25
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自分が扱われたように後輩は人を扱う

 

 

本書タイトルにもある通り、ディズニーランドのスタッフは9割がアルバイトである。その人数何と18,000人。

学生や若者が多く、約半数の9,000人が毎年入れ替わるという。

それはつまり、ディズニーランドで働いているアルバイトのうちの半分は、働き始めて1年未満の初心者だということだ。

 

 

スキルも経験もない初心者アルバイトをプロフェッショナルに変える秘密、それは先輩と後輩の関係性にある。

ディズニーランドでは、先輩社員やアルバイトは、入社した後輩アルバイトを「ゲスト」として迎え、徹底的に歓迎するという。

 

 

そこには、先輩のいじめやしごきなどはまったくない。ディズニーは企業として「後輩を育てるためには親切にせよ」と定義しているのだ。

理由は明確だ。新人達は先輩に優しく扱われ嬉しかった体験を、「次の後輩に伝えてね」と指導される。後輩達は自分達の嬉しかった体験を次の後輩に、同じように伝えるのだ。

日本の古い風習にあるような、「新人いじめ」は非合理的とばっさり切り捨てているのである。

 

 

また、精神論だけではなく、アルバイト教育用のトレーニング・プログラムを充実させ、新人がいかに短期間に習熟できるかを測定し、改善しているという。

そこには、「「見て憶えろ」では後輩は育たない」という明確な指針がある。

大量のアルバイトを抱えるディズニーならではの、合理的な教育方針だが、採用されたばかりで不安を抱える新人にとって、こんなにありがたい職場はないだろう。

 

 

ミッションと行動指針が人を変える

 

 

比較的短い周期で入れ替わる大量のアルバイトスタッフ。

彼らを束ね高いクオリティを出すためには必要なものは、初期の教育だけではない。

そこで真価を発揮しているのが、「ミッション」と「行動指針」だ。

 

 

ディズニーのミッションは「すべてのゲストにハピネスを提供する」ことだ。

このミッションは、様々な形で日常のスタッフの行動に落とし込まれている。

典型的な例として著者が挙げているのが、ネタばらしの自粛である。

華やかなショーやアトラクションの舞台裏には、興味を持つ人も多い反面、一度知ってしまえば夢が色あせ、興味を失ってしまうことが多いのも事実だ。

 

 

 

 

ディズニーでは、そのような観点から、バックステージの裏話をオフタイムにしないよう指導している。

あるアルバイトスタッフは、自宅で母親から「園内には何人くらいのミッキーマウスがいるのか?」と冗談まじりに聴かれたそうだ。

それに対してそのスタッフは、「何言ってるの、ミッキーは1人に決まってるじゃない」と答えたという。

来場する人たちに夢の空間をそのまま提供するというポリシーは、このようにして根付いていく。

 

 

さらにミッションを日常業務に落とし込むのが「行動指針」である。

ディズニーでは、「安全性」「礼儀正しさ」「ショー」「効率」という4つの指針があり、この順序で優先順位も定められている。

アルバイトスタッフは、業務に際して、常にこの4つを頭に置いておくことが求められる。

 

 

つまり、ショーの進行を止めてでも、安全の確保が必要だと思われた場合には、自分の判断で行動をする、という具合である。

アトラクションには子供も乗り込み、はしゃいだ子供達は予想できない行動を取ることも多い。

アルバイトとはいえ、一瞬の判断が遅れると、大きな事故につながることも想定される。

だからこそ、行動指針とその優先順位が定められているのである。

 

 

ゴミ掃除を人気職種に変えろ

 

 

ミッションと行動指針があれば人間はまっすぐ育つのか。

ビジネス、特にマネジメントを経験した人なら分かると思うが、答えはNOだ。

ミッションと行動指針が骨格や筋肉だとしても、そこに生きた血が通わなければ組織は機能しない。

そこに必要になるのが、リーダーシップであり、マネジメントである。

理想で物事は動かない。泥臭い人間関係が必要になるのである。

 

 

 

 

ディズニーランド名物と言っても良いだろう、ゴミ掃除のスタッフ。

いつでも笑顔で、ちょっとでもゴミが落ちていればすぐにやってきて、あっという間にパークをキレイにしてしまう。

このゴミ掃除スタッフは、今では人気職種だそうだが、オープン当初は不人気で、なり手がおらず苦労したという。

 

 

不人気だったゴミ掃除スタッフの職を人気職種に変えるために、マネジメントは様々な手を打っていく。

中でも印象的なのが、社長自らがゴミ掃除スタッフの衣装を着て業務を担当し、その仕事の重要性・役割を説くという姿勢だ。

皆が嫌がる仕事を社長自らが率先して担当する姿を見れば、スタッフ達にもその熱意は伝わるだろう。

 

 

まとめ

 

 

本書はディズニーの凄さ、その舞台裏の緻密さを知るという意味でも良書だが、もしあなたがビジネスマンであるなら、是非自分の仕事や会社に当て嵌めて考えてみて欲しい。

新人に対して、まったく合理性のない、「いじめ」や「放置」が行われていないだろうか。

配属された後輩に対して、「見て憶えろ」という指導をしていないだろうか。

あなたの会社にミッションや行動指針はあるだろうか。あったとして、それらは社員に浸透しているだろうか。

あなたの会社の若い社員やアルバイト達は、現場で責任を持って活き活きと働けているだろうか。指示待ちで愚痴ばかり言っていないだろうか。

 

 

 

 

ディズニーは、大量のアルバイトを採用して運営をしなければならず、しかれ彼らに「夢を売るプロ」として短期間に育ってもらう必要性から、徹底的に合理性を追求した。

そして、その合理性の追求の果てにあったものは、「先輩と後輩の絆」や「プロとしての自覚」、さらには「お客さんへのホスピタリティ」といった、一見言葉にしにくい、人間同士の泥臭い部分へのフォーカスだった。

日本企業の労働生産性の悪さが叫ばれて久しい。アメリカ企業の70%しか生産できない日本企業の問題点は、ひょっとしたらこれら人間関係に関わる古い因習なのではないか。

そんなことを考えさせてくれる良書であった。

久し振りにディズニーランドに行ってみたくなる、そんな一冊。

 

 

9割がバイトでも最高のスタッフに育つ ディズニーの教え方 

福島 文二郎 中経出版 2010-11-25
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