「吉原炎上」 残酷で美しき五社英雄監督の様式美と失われた「吉原遊廓」のリアリティー

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「吉原炎上」(五社英雄監督)をDVDで観た。

最初にこの映画を観たのは大学生の頃。

その頃から下町大好きだった僕は、既に失われた「吉原遊廓」というロスト・ワールドに引き込まれた。

さっそく紹介しよう。

「吉原炎上」  残酷で美しき五社英雄監督の様式美と失われた「吉原遊廓」のリアリティー

男なのでもちろん女性の裸に興味がないわけではないのだが、「吉原炎上」に引き込まれたのは、そっちの興味ではない。

花魁の衣装や化粧、それに歩き方などの作法、それに花魁以外の芸者や幇間などの立ち居振る舞いなど、当時の風俗がリアルに再現されていてとても興味深いのだ。

もちろん五社英雄監督とはいえ1929年生まれなわけで、明治期の吉原遊廓を生で観ていたわけではない。

だが、五社監督及び当時のスタッフが作り上げた吉原遊廓の巨大な屋外セットが持つ迫力はかなりのものだ。

永遠に失われた吉原の姿を、リアルに僕たちの前に映し出してくれたことに、僕は圧倒された。

 

さて、この物語は実はとても残酷なお話しである。

ご存知の方も多いと思うが、当時吉原で働く花魁は、奴隷状態で軟禁されて働いていた。

貧しい家が若い女を借金の形として吉原に売り、花魁達は自分の体を売って借金返済をしていたのだ。

身柄を店に拘束されていて、吉原は四方に堀が巡らしてあり、花魁は勝手に吉原地区から出ることすら許されていなかったのだ。

まさに人身売買、奴隷状態で強制的に売春をさせられていたわけだ。

そして花魁達の平均寿命は20代前半という悲惨な状態で、亡くなった花魁たちは三ノ輪の浄閑寺に投げ込まれ、無縁仏となったという。

映画「吉原炎上」では、花魁たちが次々と心や身体を壊し死んでいく様子を強いリアリティーと共に描いている。

男から観た「楽園」ではなく、そこで働く花魁たちから見た「地獄」を前面に押し出しているのだ。

そんな残酷な物語に僕が引き込まれるのは、やはりそこに描かれる様式美とリアリティーなのだと思う。

苛酷な日々を生きる花魁が男たちの前で見せる衣装の華やかさと裸体の美しさ、その裏のみじめな日々の対比。

男たちの剥き出しの欲望と女達を「モノ」として扱う当時当たり前だった考え方。

そこに流れる当時の流行歌、そして郭で演奏される艶歌。

リアリティーがあるからこそ美しく、様式美があるからこそリアリティーが生まれる。

物語のエンディングで巨大な吉原遊廓のセットに火が放たれ、「吉原の大火」がクライマックスを飾る。

夜の色街を赤い炎が包み、すべてを焼き尽くしていく。

その炎は、数百年の時の中で死んでいった数え切れない人数の女郎たちの、無念を晴らすかのように、吉原をすべて包み、焼き尽くしてしまう。

僕は下町散策が好きで、南千住から山谷を抜け、吉原遊廓のあった一帯を歩いて浅草に出るコースを歩くことがある。

今の吉原はソープランド街だ。

現代の色街のはずなのだが、今の吉原は何故かとても殺伐とした雰囲気を醸し出している。

現代の色街には目もくれず、歴史に埋もれる吉原遊廓の残滓を求めて、街を歩く。

まとめ

久し振りに「吉原炎上」を観て、また下町を歩きたくなってきた。

映画の良さを再認識した気がする。

もっとちょくちょく観るようにしようかな。

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