書評

成功者の視座を磨け! 書評「弾言」 by 小飼弾 & 山路達也

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人生をバランスシートに例えてみよう。本書の試みはそこからスタートする。

小飼弾氏は投資家であり、プログラマであり、そしてブロガーでもある。

一見バラバラな3つの肩書きを持つ同氏だが、彼の視座は独特だ。

彼のブログ404  Blog Not Foundはもちろん購読しているし、彼の著書も今まで何冊か読んだことがある。

読めば読むほど独特なのだ。

一種の天才が書く文章なのではないか。僕はそう感じるようになり、今まで以上に興味を持つようになった。

そこで、古い(と言っても数年前だが)著作も漁ってみようと思い手に取ったのが、本書「弾言」である。

 

 

弾言 成功する人生とバランスシートの使い方 

小飼 弾 アスペクト 2008-09-25
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4つの視座から見つめる「成功」

 

 

本書は4つの章から構成されている。

 

  • ヒト(個人として)

     

     

  • カネ

     

     

  • ヒト(集団として)

     

     

  • モノ

     

     

 

それぞれの章は2〜3ぺージ単位の短いユニットで構成され、それぞれのユニット同氏は関連している場合もあれば、まったく関係なさそうな話に移る場合もある。

思い付いたことを適当に放言しているようにも見える本書だが、テーマは「成功」である。

カネがない、仕事が詰まらない、希望が持てない。

現代の日本に蔓延する閉塞感を打ち破るためのキーワードについて、ランダムに語られていく形だ。

ユニットごとの飛躍もあるし、文章内での飛躍に頭がついていけない箇所も出てくるが、読み進むうちに独特のグルーブ感にはまってくる。

短い構成のユニットがでたらめに詰め込まれている形なので、じっくりと一つのテーマについて深堀りするというよりは、天才肌の作者のリズムとスピードに身を任せて楽しもう。

 

 

バランスシートはカネだけを測るものではない

 

 

第2章には「カネ」というタイトルがついているが、本書には至るところでバランスシートが登場する。

例えば「ヒト」の章でも、時給1,000円の人がすぐ近所のコンビニで1,000円のものを買う場合と、歩いて往復30分の店で同じ商品を安売りの500円で買う場合の比較などがされている。

「稼げる人は大きな資産を持つ必要がない」「貧乏でもバランスシートは大きくなる」など、投資家としての視点からの解説は、「なるほど」と頷くし、内容は理解できるのだが、どうもイマイチ身近に感じられないのが正直なところ。

ただ、僕らの心や持ち物、仕事などを、だれでも計測しやすく交換もできる「カネ」という単位に変換してドライに捉えるという考え方は、なるほどと思わせられる部分もあった。

いずれにしても収入の大小や貯蓄額の多少のような簡単な物差しでは「成功」を測ることはできないのだ。

 

 

まとめ

 

 

本書では僕ら日本人個々人がどうやって幸せに「成功するか」についてから、やがてはエネルギー問題、そしてベーシックインカム問題など、社会的な問題までをカバーしていく。

一つのまとまったテーマを持つ本ではないため、本書を読んで即何か新しいモノの見方ができるようになるわけではないし、特殊な技能が身につくものでもない。

だが、小飼弾という天才のフィルターを通して語られる一つ一つの問題提起は、時間を掛けて僕らの脳に浸透していき、そして次のステップで何かしら具体的なテーマとして実を結ぶのではないかと感じている。

やっぱり小飼弾は凄かった。ただ僕は彼の凄さを皆さんに噛み砕いて伝えることができない。何故なら彼は天才だからだ。

彼の凄さを感じるためには、是非本書を手に取ってみて欲しい。

 
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2011年の61冊目の書評としてお送りしました。

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