経営・企業文化書評

右向け左の経営術 by 中村仁 〜 豚組ファン必読!思わず涙が出た渾身の書 [書評]

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ブックレビュー2010年の53冊目は中村仁氏著、「右向け左の経営術」を読了。

中村仁氏と言えば西麻布豚組や六本木の豚組しゃぶ庵、それに西麻布や赤坂の立ち飲み屋「」の経営者であり、ネット、特に@hitoshiとして自らTwitterを駆使したマーケ・営業活動で話題の、時の人である。

中村氏のブログに「本を執筆中」とあったので、ひょっとしてと思って調べてみたら、やはり既に著作をお持ちであった。ならばということで早速購入して読んでみた。

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右向け左の経営術 by 中村仁 〜 豚組ファン必読!思わず涙が出た渾身の書 [書評]

驚いた。凄く良いのだ。もう良い。とにかく良い。昨日読み始めて一気に最後まで読んでしまったのだが、終盤では少しだけ涙が出た。それぐらい良い。

「右向け左の経営術」というタイトルから連想すると、奇をてらった考えや行動を取る人と感じるかもしれないが、内容はスマートでありつつも愚直であり、そして迫力がある。

本気の人の気合いは凄いと改めて実感させられるパワーがこの本には宿っている。

何がそんなに凄いかというと、大きく3つのポイントに大別される。

  1. 他の人が考えないようなアイディアを思い付く斬新さ。
  2. 品質と顧客満足に徹底的にこだわる姿勢。
  3. 飲食業界のタブーに斬込む勇気と迫力。

3つのうち1についてが、恐らく本書のタイトルにもなっていて、本文でも「逆張り」と著者が形容している部分なのだと思う。

「最高級のとんかつ」、「おしゃれな立ち飲み」と言った、当時は誰も思い付かなかった飲食店を作り出し大ヒットさせているという点では確かに逆張りなのだと思う。

だが、それよりも、僕が感動したのはむしろ2と3についてである。

品質と顧客満足の向上については、計らず突然経営することになった最初の店のオープン当初の失敗から学び、そこから逆転していく話は凄い。

本気を出した時に人間がどのようなパワーを発揮するのかがリアルに伝わってくる。

また、その後の「価値」向上についても、真摯に品質を追求するという、一見時代遅れとも思われるかもしれない愚直な方法をひたすら採り続けることで、時間は掛かっても顧客は店の良さを理解する日が来ることを実証してみせた。

そして3に関しても、自身が最初安売りで安かろう悪かろうという店を作ってしまったという反省もあってだろうが、食品偽装のようなモラル問題を始め、飲食業界関係者なら誰しもが内心問題だと考えつつも脱却できずにいる長時間労働や賃金の安さの問題にも焦点を当てている。

また、立ち飲み「壌」がヒットした西麻布に、信念のないコピーのような店が乱立し潰れていったことに対しては毅然たる態度で「ものまねは続かない」と言い切る。

そして何と言っても自社の店舗ごとの営業利益率まで公開してしまうというのが凄い。

しかも飲食店としては破格の利益を出しつつ、顧客が喜んで行列を作っているのだ。まさに僕らがiPadが高くても競い合って予約するように。

価値があるもの、ホンモノは、たとえ値段が張っても、価格に見合う価値があると思えば、顧客は喜んで買うのだ。

本書は2008年出版で、まだTwitterやウェブに関するマーケティングや営業についての記述はない。現在執筆中の新刊に盛り込まれるようで、今から楽しみだ。

豚組ファンもまだ行ったことはないが行ってみたいと思っている人も、是非本書を読んでから店を訪れてみて欲しい。きっと今までとは違う何かが見えるだろう。

僕も次回訪問が今から楽しみだ。

右向け左の経営術 の チェックはこちらから!

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