「自己啓発」という言葉がうさん臭い理由

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以前から「自己啓発」という言葉が嫌いだった。

僕自身昨年からセルフ・プロデュースのセミナーを定期開催しているが、同じセミナーでも、どうも「自己啓発」という言葉は嫌いだ。

なぜか。それはうさん臭いからだ。

世の中にはビックリするような高額のセミナーがある。

書籍を買うと無料メルマガや無料の動画コンテンツへの導線が用意されているものもある。

Webで検索しても、やたらと華々しく「成功」や「幸福」それに「大金持ち」といったモノを簡単に手に入れられる「自己啓発セミナー」があちこちにある。

 

 

でも、すごくうさん臭い。イヤな感じだ。

でも、今まで、なぜ自分がそう感じるのか、また、その感覚が正しいのか自信がなかったので、人に話すことはなかった。

単に僕の思い込みなのかもしれないと思ったからだ。

 

 

でもこの本を読んで、僕が感じたうさん臭さはやはり正しかったのだと分かった。

自分探しが止まらない」という本だ。先日開催された東京ライフハック研究会 Vol.8で、講演された堀正岳さんが紹介してくださったので、早速読んでみた。

 

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自分探しの旅とは現実逃避である

「自分探しの旅とは現実逃避である」。

著者はハッキリと書いている。

 

 

インドに行ったからといって自分が見つかるものではない。

それが事実かどうか、僕には分からない。僕自身インドに行ったことがないからだ。

 

 

インドを旅することで、今までとは価値観の違う人たちと触れ、結果として自身の成長につながることはたくさんあるだろう。

その点は否定しない。

 

 

ただ、「インドに行けば今までのちっぽけな自分とおさらばできて、新たな自分に生まれ変われる」という論調は本末転倒だろう。

自分を変えるのは自分であって環境ではないからだ。

本当に自分を変えたければ何か具体的な努力しなければならないのに、単に環境を変えることで自分が「変身できる」という図式。

 

 

そしてこの「自分探し」という言葉をメジャーにしたのは、サッカー元日本代表中田英寿だろう。

彼はサッカーワールドカップで日本代表が敗北するとそのまま引退し、日本に戻らず「自分探しの旅」を始めた。

だが、この中田の引退は、実はPR会社が企画したプロジェクトの一部であり、引退後にはトヨタとキヤノンは中田の旅の訪問先からの様子というCMを打っていた。

チームメイトが誰も知らなかった中田の引退だが、主要スポンサーには数ヶ月前から知らされていて、引退後のCMは既にワールドカップ前から企画されていたという。

 

 

自分探しビジネスの食い物にされる若者たち

多くの若者が「自分探し」という名のもとに旅に出たり「自己啓発」セミナーに参加したりする。

そしてその「自分探し」には必ずカリスマがいて、そカリスマに憧れて若者は導かれていく。

本書では何人かの「自分探しのカリスマ」を実名で紹介している。

僕は著書を読んだことがないのでここでは名前は出さないが、「自分探しをしたい若者」たちは、結果として「自分探しのカリスマ」たちが用意した高額セミナーに参加し、本を買い漁り、そしてただ同然のボランティアで離島などで運営されるセミナーハウスの運営を手伝う。

そしてそこを訪れる客もまた、自分探しを求めてやってくる若者なのだ。

 

 

いつの時代にも人間は現実逃避をするものだ。

1960年代以降の日本の若者たちは、「消費」によって現実逃避をしてきた。

田中康夫氏の「なんとなくクリスタル」では、若者がブランド品を買い漁る日常の様子を描いている。

この時代の「自分らしさ」は他の人とは違うブランド品を持つことで表現されていた。

ところがバブル崩壊後、若者たちは消費による現実逃避をすることができなくなってしまった。お金がないのだ。

そこで、「自分らしさ」のターゲットが、自分探し、そして自己啓発へと変化していったのだ。

 

 

自己啓発が日本にやってきた本当の理由

本書では、そもそも日本に自己啓発セミナーが輸入された経緯についても説明している。

日本に自己啓発セミナーが輸入されたのは1977年のこと。

ライフダイナミックス社がマルチ商法のディストリビューター育成のために日本で自己啓発セミナーを開催した。

つまり、自己啓発セミナーはもともと日本にはマルチ商法を広げる手段として、マルチ商法とセットで輸入されたのだ。

そんな経緯で輸入されたものが、うさん臭くないわけがない。

 

 

そしてそれら「自己啓発セミナー」で行われるのは、自己探求の強制だ。

大勢の前で自分の欠点を徹底的に語らせたり、一対一でお互いを褒めたりけなしたりを延々と繰り返させる。

そういった作業を2日も3日も不眠不休で行なわせて、人間を限界ギリギリに追い込んでいくという。

そしてセミナーの最後になると鬼のようだったインストラクターが突然天使のように優しくなり、参加者を解放すると、参加者はぼろぼろと涙を流して感動し、その感動体験を共有するのだという。

 

 

これら自己啓発セミナーには「マインドコントロール」や「人格改造」などの批判が高まった。当たり前だ。

そしてバブル期には大手企業なども導入していた自己啓発セミナーは、陽のあたる場所から徐々に外れ、やがては「自分探し」の若者や「オウム真理教」に代表されるカルト集団へと、開催の場を移していく。

 

 

まとめ

「自分探し」「自己啓発」で得られるメリットは「ポジティブ・シンキング」なのだという。

ポジティブであることは大切だ。ぐちぐち文句ばかり言っているよりは、前向きに希望を持って生きたほうがいい。

だが、間違えてはいけないのは、「場所を変えれば自分が変わる」とか、「夢を紙に書けば全部叶う」というような奇跡は起きないとハッキリ認識すべきという点だ。

 

 

夢を書くと叶うのは、毎日のように書いた夢を見返して、実現のための努力を怠らないように自分に言い聞かせるためである。

紙に書かないままでは夢は茫漠としているままたから、紙に書くこと自体にも大きな意味はある。

だが、紙に書いても何の努力もしなければ、あなたの人生には何の変化もない。当たり前だ。

 

 

この本には、「自分探し」を推奨するさまざまな著名人と、その実態がつぶさに観察され、紹介されている。

「なりたい自分になる」「夢を叶える」「自己実現」。

これらのキーワードを求めて日々本を読みセミナーに参加する人がたくさんいる。もちろん僕のセミナーに参加してくださる皆さんもその一人かもしれない。

 

 

だが、世の中には「自分探し」を食い物にするビジネスが存在し、巧妙な手口で行き場のない若者から時間と金をむしり取るシステムが構築されているということを、理解した方が良い。

 

 

もちろんこの本に書かれていることがすべて真実かどうかは分からない。

ただ、このような切り口の本を読んだ上で自分磨きをすることが、とても大切なことだと感じた。

現実逃避ではなく、努力で夢をつかんで欲しい。

 

 

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