Hey Lula / Yutaka Fukuoka

うちのカイシャに今日、新卒の女性新入社員が一人入ってきた。

大手では当たり前のことかも知れないが、従業員17名の零細企業にとってはなかなかのイベントになる。

何となくまだスーツの着こなしもぎこちなくて、肩にチカラが入りまくっていて緊張しながらも一生懸命溶け込もうとする姿は、何とも新鮮な空気をオフィスに吹き込み、普段だれてしまっている人達にも緊張感を与えていた。

昼休みにカイシャの向かいの外堀沿いに咲き誇る桜並木をずっと眺めていた。

3年前に自分が入社した時のことをいろいろと思い出していた。あの時僕を迎えてくれた社員はもう1人しか残っていない。カイシャは倒産の危機を何とか乗り越え、何とか黒字ベースに転換しつつある。

僕が入社したころ、カイシャはまだ目白にあった。書類が無造作に積み上げられ通路を歩こうとすると人とゴツゴツぶつかり合った。みんな社内でタバコを吸うのでコンピュータはまだらに黄ばみ、アルバイトには机もなく書類を持ったままあいた机を求めてうろうろしていた。

入社したての僕はカイシャで一番古いNEC 9800で日報を打つことを教わった。5インチのフロッピーを2枚ドライブに入れる。1枚は自分の日報のファイルの入っているもの、もう1枚は一太郎のバージョン3の入ったアプリケーションファイルだった。

渡されたラベルに「立花報告書」と自分で書いて、何となく喜んでいた。

今日カイシャではずっとPageMakerとPhotoshopを使って業務手順書を作っていた。帰ってきてからはPerlの勉強をしていた。

昼休み、辞めていってみんなは今どうしているだろうと、

ふと思い出した。

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