思うこと




1996年7月1日(月)

非常に残念だ。

日記リンクスからアクセスランキングがなくなってしまった。

くだらない争いの温床にもなっていたが、正直言って僕はある種の張り合いを なくしたような気がする。

色々な人の日記を見にいったが、多くの人がランキングはどうでも良かったって書いてる。

うそだ!

絶対にそんなはずはない。みんな今日の日記を書こうという張り合いは、日記リンクスから 得ていると思う。ランキングがどうこうは別だけど、600人以上の人が日記を書いて集う場所なんて 他にはない。

追い打ちをかけたのが、ばうわうさんの日記。

更新速度ランキングから削除されてしまうとのこと。実は僕は昨日からログ変更をしようと思っても パスワードが違うと出てしまい、一行のコメントが変更できない。

言いたいことを言わないで、いきなり絞めだすのは陰湿としか言い様がない。

ばうわうさん、夜久さん、野原さん、Takeshiさん、ちみもさん、志織さん、 som1973さん、せんべいさん、武市さん、安原さん、taaboさん、松木さん、我孫子さん、その他 多くの日記リンクスで知りあったみなさん。日記リンクスは残念ながら死にました。

他人の日記を見るという、インターネットでしかありえない文化がこのまま衰退していくのは とても寂しいです。

お互いにこれからも頑張って盛り上げて行きましょう!

で、で、お薦めは、僕の日記みたいに、読んだよっていうボタンをつけるのなんてどうでしょう。 いくら皆さんランキングを気にしないって言っても、やっぱり読んでもらったら嬉しいじゃないですか。 一時間に何人とか、一日に誰よりも多かったって言うのは分からなくても、今日もこの人が 来てくれたなって分かるだけでもすごく励みになりませんか?皆さん。どうでしょう。

だから今日この日記を読んでくれた皆さん、僕の元気のためにボタンを押していって下さい。

ばうわうさんもね!


1996年7月2日(火)

日記リンクス以外からアクセスしてもらった多くの 方々から、昨日の日記がつまらないというボタンを押していただいた。

そうなんです。ずっと封印していた日記リンクスネタについに手を出して しまったんです。しかも今回の話題はいわば究極の内輪ウケ。

きっと日記リンクス以外から遊びに来てくれた人は、さぞかしつまらないことでしょう。

でももう少し書かせてくださいね。

日記リンクスの作者、津田氏が 声明文を発表した。気に入らない奴は出ていけということで、削除ボタンも登場した。

僕を含めて数人の方の日記は、登録変更ができなくなっている。すなわち出ていけということ なんだろうか。今日の夜久さんの日記にもあるが、僕も出ていく気はない。どうせなら 追いだされた方が気が楽だし、本望だとも思う。

昨日の日記はいつもよりもはるかにたくさんの方がボタンを押していってくれました。 みなさん本当にどうもありがとう。今後もみんなで盛り上げていきましょうね。

結婚と恋愛は違うと彼女は言う。

電話でずいぶん長く話した。すごく深刻な話しをしているはずなのに、 笑いながら、リラックスして話していて我ながら不気味だった。

ただの恋愛だったら間違いなく僕を選ぶと彼女は言った。でも 結婚相手としての僕は、どこかに飛んでいってしまいそうで怖いそうだ。

否定できない。確かに僕は何事もなく、平凡に年齢を重ねていくということは すごく不得意なような気がする。

一方みねちゃんにプロポーズした前の彼は公務員。いわば僕と正反対の人生。 酒もやらない、タバコもやらない。

人生を預けるんだよって彼女は言う。

僕は結婚しても、みねちゃんの人生を預かろうとは思わない。 人生は自分で作るもの、結婚生活は二人で作っていくもの。それが僕の考えだ。

今度の金曜日は僕の誕生日。会えないってみねちゃんが言うから、じゃあ部長と 飲んでるって言ったら、やっぱりごはん食べにいこうって言った。

何でもかんでもしゃべらずにいられない不器用な女の子だ。

彼女を苦しめたくないから、僕は絶対に彼女を追い詰めない。会っていて楽しくて、 離れているときに会いたいってお互いが思っているかぎり、僕は絶対に負けない。

ある方から非常にありがたいメールを頂いた。

僕とみねちゃんの関係、ようするに三角関係によって、誰も幸せになれずに、 その方の愛した女性の死を迎えたというものだった。

心配して頂いて本当にありがとうございました。

僕たちは深刻なりにもヘラヘラ笑いながら過ごしてます。彼がどういう精神状態かは 分からないけど。

ものすごく書きにくくて、辛いことを書いていただいて本当に感謝です。 これからも是非アドバイスを。

ページの一番下にある五段階評価について、評価できないから押せないという ご意見を、かなり多くの方から頂いた。すばらしいと押すと僕が増長しそうだし、 つまらないと押すと僕がいじけそうだとのこと。

で、5段階評価の他に、来訪記念のボタンを付けてみました。 評価ボタンを押しにくい方は、こちらを押していって下さいね。


1996年7月3日(水)

夕立が降ってずいぶん涼しくなった。

ちょろっと覗いた夕焼けがまだ残る空をほんの数秒見上げてみた。

僕がインターネットにアクセスして一年、自宅にマックを買って半年、 ホームページをたちあげて半年、日記を書き始めてもうすぐ4カ月。

みねちゃんと初めて会ってから一年と3カ月、初めてデートしてから 3カ月、正式に彼女になって2カ月。

早いといえば早い。遅いといえば遅い。

日記を書き始めてから色々な人とすごく仲良くなれた。

一度も会ったことがないみんなが、僕の恋愛のことを知ってるなんて、 すごく奇妙だ。顔も声も知らない人の私生活をこうして毎日覗いている。 なんて不気味で素敵な世界だろう。

過ぎてしまった日々を思い起こして議論するのはもうそろそろやめて、 もっと楽しいこと考えようよ。ね。

みねちゃんとのことにいろんな方があたたかいメールをくださる。

で、今日ふと思ったんだけど、僕よりも年配の男性は、やめなさいという メール、女性及び僕よりも年下の男性の多くが頑張れっていうメールを くれている。

経験者は語るって奴だったりして。

すごく辛いでしょうってメールを頂くが、僕はそんなに辛くない。 というよりも、ちょっと自分でも無理してるところがあったかなって 思うので、ゆっくり考えたり、こうして日記を書いたりする時間もできて、 非常にリラックスしてる。

だからと言ってどうでもいいと考えられるとすごく困る。嫉妬していないわけじゃないし、 早く安定して欲しいと願ってる。

でも僕は焦らない。焦っても答えはでない。今は楽しいのが一番ということで。

明日もみねちゃんと笑いながら話しがしたい。


1996年7月4日(木)

今日は有給休暇をとった。

免許の更新が理由だったが、そんなものは15分で終わってしまった。

Tシャツにジーンズで歩き回ることがどんなに涼しくて気持ちいいか。 平日だと思うと、余計に気分がいい。毎日営業で歩き回っているのとは 明らかに違う街の景色。

昼間の六本木を歩く。

スーツを来た男性と、ロングスカートをはいた若い女性が、大型のスクーターに 二人乗りして勢いよくラブホテルの駐車場に入っていった。

あの人仕事の途中なんだろうか?

などと考えつつも、六本木の交差点に向かう。茶髪にサンダル、ミニスカートの お姉ちゃんが片手に携帯電話、反対の手に男の腕を掴んでなにやらけたたましく しゃべっている。

ビルの3階にあるカメラ屋さんに入る。免許更新用の証明写真を撮るためだ。

すごく地味なカメラ屋さん。ひっそりと10年前から同じ景色を保っている。

小さいころからなじみのおじさんに証明写真を撮ってもらってると、ショート ヘアーにミニスカートの可愛い女の子が「おはようございま〜す」と入ってきた。

どこか近くの店の娘だろう。みんなで撮った写真の焼き増しにきたらしい。

おじさんは僕をそっちのけにして彼女の話しを聞いている。おいおい。

夏の太陽が昼の繁華街を容赦なく照らす。昼の六本木は実に汚い街だ。

電車で日比谷に行き、警察署で免許更新を済ませた。僕の前に並んでいた女の子。実は免許が 何と一年前に切れていた。

ヒステリックにまくしたてる婦警さんと、とまどったような、開き直ったような その女性の会話。

今年だと思ってたんですっていうその人の会話を聞きながら、写真を撮ってもらう。

いつ撮るのか全然言ってくれないから、きょろきょろした変な写真になっちゃった。

警察署を出て、もう一度さっきの女性を思う。

本当に気づかなかったのか、それとも国家権力を欺けないかという大胆不敵な 挑戦だったのだろうか。彼女はもう一度免許を取るために努力をするのだろうか。 彼女はこの一年間、一度も車に乗らなかったのだろうか、それとも無免許のまま ずっと一年間運転していたのだろうか。

きっとあのヒステリックな婦警さんにこっぴどく叱られたに違いない。

それにしても、警察署の職員の皆さんの対応がものすごく早い。きっと 仕事中に抜け出してくるビジネスマンに気を使っているのだろう。

とてもお役所の仕事とは思えないきびきびした態度。うーん、素晴らしい。

何となく渋谷に行きたくなって、電車で渋谷に出た。

洋服屋を何軒もハシゴした。ゴルチェのバッグを衝動買いしてしまう。

普段はとても入れないような若者向けの洋服屋さんにもなんとなく堂々と 入っていった。オーバーオールのすごくかっこいいジーンズがたくさん並んでいる。 よっぽど買っちゃおうかと思ったけど、こんなの一体いつ着るんだって思いとどまる。

なんだかんだでオクトパスアーミーなんか入っちゃったりして、プリントTシャツなんて 買っちゃって、調子に乗ってさらにぐるぐると歩き回る。

いい加減に疲れ果ててバスで六本木に戻ってきた。

床屋に寄って髪を切ってもらう。

今回はすごく自分の思うとおりの髪にしてもらえた。嬉しい。

気分よく床屋さんを出て、西麻布の交差点を渡る。

交差点から少し行くと、Swatchの専門店がある。本当に小さなお店。

渋谷にいるときから時計を買いたいと思っていたので迷わず店の中に 入る。

店員さんがいないなあって思ったら、レジのところにお姉さんがしゃがみ込んで BGM用のCDを入れ換えていた。背中がびろーんと思いっきりシャツから見えていて、 ジーンズのウェストのところから、パンツまでちょろっと見えていた。

適当に見て回っていたら、すごく気に入ったのを発見。すぐに買ってしまった。

5,500円。決して安い買い物ではないけど、すごく嬉しい。

Swatchのお店を出るとすぐのところにインターネットカフェができていた。

ちょろっと覗いたけど、全然お客さんがいないのでびびって僕もでてきた。

酒屋さんでビールとワインを買い込んで、何となくいい気分で家に戻る。

家の前で、クリが出迎えてくれた。また嬉しかった


1996年7月5日(金)

To Harupoo

Many many thank you for your sweetness on your diary!

みねちゃんと池袋で会った。

ちょっとヘンテコリンなイタリア料理屋さんで食事をした。

おいしかった。

ネクタイをプレゼントにもらった。

嬉しかった。

修理に出したまま放ってあった指輪を渡した。

指に輝くとすごく嬉しい。

原宿から表参道まで歩いた。

なんだか知らないけどゲラゲラ笑って歩いた。

車で送って行った。

奴は途中ぐうぐう寝てた。

たんぼの真中で愛しあった。

雨はもう止んで、月明かりが驚くほど二人を照らした。

二人とも気が散って最後までできなかった。

狭かったし。車の中が。

窓を開けたらカエルの大合唱。すごかった。

びっくりした。でもすごく気持ちのいい声だった。

明日も会う約束して帰ってきた。

明日はどこに行こう

長い長い道だ。

いったいどこまで続いているのか想像もできない。

視界が効かないから、すぐ先が平坦なのか、崖になっているのかも 確認できない。

霧が深くて、手探りで進むしかない。

27年間こうして歩いて来た。

きっと明日からも僕は変わらない。

来年の今日もきっと変わっていない。

来年もこうして日記を書いているんだろうか。

日記リンクス妨害者に告ぐ。

即刻主催者に謝罪し、自らの愚かさを懺悔せよ。

みんなの愛した日記リンクスが崩壊しようとしている。

あなたは嘲笑するのか。手を差し伸べるのか。

傍観するのか、断罪するのか。

どうしてあんな事したんだ。

こんなエンディング、寂しすぎる。


1996年7月6日(土)

昨日はあんなに楽しく一緒にいたのに今日は会えないって言う。

反動だ。揺り戻しだ。

で、今日はのんびり家で日記にはまることにした。

行っちゃってる日記の 手島さんからメールを頂いた。

ご本人の許可が頂けたのでこのメールについて思うことを書きます。

初めは部分掲載にしようかと思ったのですが、原文の意味合いが失われると 嫌なので、挨拶を除く全文を掲載することにしました。

=========以下引用==========

本題。以下、貴方の心に土足で入り込む事になるかもしれないという事をあら かじめ謝っておきます。 申し訳ありません。

男女の三角関係。私にも経験があります。いや、それはしょっちゅうです。

貴方の彼女は、前の彼となぜ別れたのでしょうか? 私が貴方の日記を読みはじめたのは、ちょうど別れた直後だったようですが、 その理由を読んだ記憶がありません(忘れただけかもしれない)。

でも、どんな理由で別れたにせよ、私はこう思うのです。

「両方、もしくはどちらかが変わらないと、同じ事を繰り返す」

変わらないといけないのです。ああすればいい、こうすればいいという問題では ないと思うのです。

貴方の彼女は、前の彼と別れたときと比べて、変わっているのでしょうか? 人は、そんなに簡単には変われません。そのまま、結婚したとしてその彼(もしくは彼女)が変わっていなければ、やはり、同じ事の繰り返しなのではないでしょ うか。 そのあたりを考えずに、プロポーズしたとしたなら、 その彼に対して不信感を抱かずにおれません。

結婚とはただの通加点だと私は考えます。

そして、これから幸せな家庭を作る、共に暮らしていくという「宣言」だと思うのです。

だから、単に愛する人が「欲しい」というのは、結婚の理由としては成り得ないと思います。

プロポーズを迫った彼は、その「宣言」をすることができるのでしょうか?

以上。思い付くままに記してみました。

あまり(全く?)参考にならないかもしれませんが、 こういう問題で心を痛めた者として発言をしないわけにはいかなくなりメールしました。

========以上引用========

このメールを最初に読んだとき、正直言ってびっくりした。

これこそまさに核心部分なんだ。

今みねちゃんにプロポーズしている人は、彼女の前の彼氏だ。

彼女が彼と別れたのは、僕が現れて、僕と付き合うためだったが、それ以前から 二人はあまりうまく行っていなかったらしい。僕が彼女と最初にデートしたのは 4月中旬だったが、彼とはその時点では一カ月に一回会うか会わないかというような 状況で、去年の彼女の誕生日もクリスマスも一緒にいなかったらしい。

僕と彼女が一緒にいようと決心するまではあっと言う間だった。

僕が何も言わないうちに、彼女は彼と別れてきた。

彼にとって彼女のお別れ宣言は正に青天の霹靂だったようだ。電話や手紙で彼女に やり直したいと言ってきていた。このことは、彼女が全部を告白してから初めて 知ったんだけど。

6月になって彼が逆転一発のプロポーズで、事態が僕の知るところとなる。

彼女が僕と別れて彼と結婚したいと言いだし、僕がひきとめ、彼女はどちらにも 決められないままもうすぐ一カ月が経つ。

今日はちょっと整理して考えたい。3人が登場するので順番に。

まずは前の彼。

手島さんのご意見にもあるけど、僕には、彼が冷静に、本気でプロポーズをしているとは どうしても思えない。ある日突然ずっと自分のものだと思っていたものを失った狼狽。

彼女が僕に恋をしていること、彼から離れて行こうとしていることに全然気づかなかった。 手遅れになるまで彼女との生活を守るための努力を何もしなかった。

ちょっと注釈を入れておくと、みねちゃんは正直の上にオオバカがつくような性格で、 今回の問題もあっさり僕に見破られたうえ、ベラベラ全部しゃべってしまうような人。

僕と外泊を企てても何も言わないうちから親にばれてしまうようなかなりボーッと した人だということを知っておいて欲しい。

本題に戻ろう。彼が彼女に結婚を迫って一カ月。事態は全然動かない。彼は何故動けないのか。 どうして自分のありったけの力を持って奪い取りにこないのか。

僕には彼が自分の宣言した結婚ということに躊躇しているのではないかと感じる。

今まで一回も書いたことがないのだが、2年前に僕はやはり別の男性につきあっていた 女性をとられたことがあった。

再び脱線してしまうが、経緯をちょっと説明したい。もうずいぶん前のことだ。

ある女性と知りあった。最初は全然存在感を感じなかったんだけど、一度飲みに行ったら すごく魅力的だったので、もう一度会いたいと思い、その時につきあって欲しいと言った。

彼女の答えはすごく以外だった。その前の年まで彼女はある男性と婚約していた。ところが 彼が別の女性に恋をしてしまい、結婚式場まで決まって、結納まで済ませていたのに 婚約を破棄されてしまった。彼女はまだそのショックから立ち直れないでいた。

彼女は僕を好きだと言った。でも片思いでいたいと言った。片思いなら決して裏切られる 事はないからと。

そんなバカな。お互いに好きだと認めあいながら、過去の第三者の幻影なんかに邪魔されて たまるかと思い、必死に彼女を説得した。で、ついにOKをもらい、晴れて恋人同士になった。

つきあい始めて3カ月ぐらい経った時、電話で彼女の旧友が大阪から出てくるから友達みんなで 遊びに行きたいと言った。僕は友達付き合いを制限するつもりは全然ないので文句なしでOKしたが、 ちょっとひっかかったのが、その旧友が、彼女の元婚約者の親友だってこと。

なんか漠然としたいやーな予感がした。で、ちょっと無理を言って、友達みんなと別れた あとに会う約束をした。

その日のことは今でも思いだすと心が痛む。

土曜日だった。彼女から午前中にまず電話が掛かってきた。で、多分6時ぐらいに会えるって事に なった。次に夕方の5時ぐらいにもう一回電話。友達のうちの一人がまだ来ないから、みんなで 待っている。会うのが少し遅くなるが、また後で電話するってことで電話を切った。

この時点で僕はすごくイライラしていた。そして嫌な予感は見事に的中した。

彼女がその時待っていたのは元婚約者。自分を捨てた男だ。

二人はそこで再会した。

彼女が僕に電話をかけてきたのは夜中の2時半。彼女は完全にショック状態だった。 その時に彼女が元婚約者と会ったということを言われた。

彼女は完全に昔の彼とのことに浸りきっていた。何も考えられないって言う彼女に僕も 納得して電話を切った。

でも後からこの日の彼女と彼の出会いは、あらかじめ計画されていたものだと別の 友人から聞いた。

元婚約者は彼女と別れてから、その別れる原因となった女性とはうまくいかなかったらしい。 で、彼女と寄りを戻したいと思っていた。で、大阪の友人に助けを求めた。大阪の友人が 一肌脱いで、お膳立てをして、見事に彼と彼女は劇的な再会を果たした。

この時点では僕はまだ楽観的だった。まさか彼の方が彼女と寄りを戻したいと願っているとは 夢にも思わなかった。ちょっとおせっかいな友人が、別れたきりになっている昔の 恋人同士を再会させて、わだかまりをとってやろうと試みたぐらいに思っていた。

ところがそれから一週間ぐらいして、彼女が僕と別れたいと言い始めた。

彼が彼女と会いたいと言っているという。

その時に初めて僕は事態の深刻さを知った。

必死に引き留めようと頑張ったが、本当に、見事なほど、みるみる彼女は僕から 離れていった。2週間後には僕はもう彼女と別れざるを得ない状況になった。 彼女は泣いて、お願いだからもうやめてって言った。僕はもうなにもできなくなった。

僕と彼女が別れて2カ月後に二人は再度婚約、そしてそれから半年後に結婚した。

彼女は友人ほとんど全部、両親、僕、すべてを完全にぶっちぎって自分の思うままに 突っ走った。

最初は周りの人すべてが猛反対したらしいが、結局二人の熱意が周囲の人間を自動的に 説得した。結婚式の写真を見た。嬉しいとも悲しいとも違う、ずーんと思い感慨。 忘れられない。

結婚式の前日の夜、彼女と電話で話した。彼女は僕と一緒にいた3カ月間自体を否定していた。

彼女の人生において、僕との3カ月はじゃまなものへと変化してしまっていた。 僕との3カ月間がなければ彼女は婚約者に捨てられ、彼が戻ってくるまでずっと待ち続けていた 一途な女でいられた。彼女は僕との生活をすべて抹殺していた。

おめでとうっていう言葉も彼女は聞いていないようだった。

とまあ、そんな感じのことがあった。

で、本題に戻ろう。

人間は人それぞれだ。同じ人格をもった人間は二人と存在しない。だからこの時の経験が そのまま現在にあてはまるとは毛頭思わない。

しかし僕は疑問に思う。彼は僕に嫉妬しないのか。どうして僕と彼女は平然と週末に毎週会って、 キスして、セックスして、毎晩電話していられるんだろうかって。

彼は宣言したきり動かない。

何故動かないのか。それとも動けないのか。そこで問題となってくるのが手島さんの メール。

あくまでも僕の個人的な意見なので、反対意見を持つ人が多くいると思うが、 僕は結婚というのは、手島さんのおっしゃるとおり、一緒に一つずつ築いて行くものだと思う。

決して理想郷ではないし、かといって人生の墓場でもない、一つの通過点だ。というか、理想郷になるか、人生の 墓場になるかは結婚した二人次第だと思う。お互いが相手に結婚生活の責任を相手に押し付けて しまえば結婚生活なんて全く味気ないものになってしまうだろう。

二人が幸せになりたいと思うこと。これが何よりも必要だと思う(どこかで聞いたと言葉だと 思ったら手島さんの今日の日記に書いてあった)。

2年半つきあってきて、尻すぼみになっていた彼女との生活。去っていこうとする彼女を 自分のものとしてひきとめておきたいというエゴが彼にプロポーズという逆転一発の行動に でさせたものと僕には思われる。

逆転一発。響きは悪くない。たしかに劇的な再登場だ。 みねちゃんと彼には2年半の歴史がある。それは誰にもどうすることもできない事実。

将来結婚したいという話しをしていたというのは本当だと思う。でも、二人が終わってしまった 今、彼自身、一度自分を捨てた女性と、ずっとこれから、一緒に幸せになるための努力が できるだけ彼女を信頼しているのか。一時的な感情で無責任な発言をすることは結局彼自身を 一番苦しめてしまうことになる。

もし彼が彼女を取り戻したとして、彼にはもう選択肢は残されない。宣言してしまったからだ。

それが負担にならないほど信頼しあっていたならどうして二人は尻つぼみになってしまったのか。

彼は自分の発した言葉に苦しんでいるのではないだろうか。だから動けないのではないだろうか。

それが僕の彼に対して思うこと。

で、つぎはみねちゃん。

彼女は非常に保守的な思考の持ち主だ。

それが悪いとは言わないが、「結婚」という行為を あまりに特別視し過ぎている傾向がある。結婚を理想視しているのに加えて、結婚に対して 無理に冷めた考え方をしようとしているように僕には思える。

彼女はそれを計画性という。

この前の日記にも書いたが、彼女は結婚と恋愛は違うという。好きだけじゃやっていけないって 言う。僕は大酒のみの日記者で、頼りないらしい。今の仕事も一生やるつもりはなさそうだし、 バンドにはまったり、インターネットに溺れたりと結婚しても、自分のやりたいことがあれば そちらに突っ走って行きそうで、そのために犠牲になるのはいやだという。

彼は公務員らしい。酒もタバコもやらない、派手に遊ぶこともないらしい。

平凡で幸福な結婚生活を送るのには、僕のように波乱万丈を自ら招いて行くような 人間よりも、彼のような安定した人の方が安心できるということだ。

でもみねちゃんは自分から彼の方に進んで行くことができない。彼女は計算で動けるほど 狡猾な人間じゃないと僕は思っている。もし最初から計算しているなら、もっとうまくやれるし、 本当に切羽詰まっていれば、以前僕が経験したときのように、全てを押しきっていくパワーが 勝手に生まれてくると思う。

彼女は自分でも彼の方向に進んでいくことはないと分かっているのではないだろうか。

ただ今まで自分の理想として掲げてきた理想が間違っていたということをまだ認めることが できないんだと思う。

僕と付き合っていけば、きっと彼女の理想の25までの結婚や、平凡な家庭といったものを あきらめなければならない。彼女にはその開き直りがまだできない。

だから、僕が今ここに書いたようなことをそのまま彼女に言うことは無駄だ。

彼女は絶対に認めない。自分のことも、彼のことも。逆に感情的になって、暴走するかも知れない。

今回、彼女は自分で納得して決心しなければ進むことはできないと思う。

もうそろそろ彼女にそのチャンスを与えてあげなければいけないと思っている。

僕もいい加減イライラしてきたし。

今の彼女には僕を失うという緊迫感が全くない。会えば楽しいし、僕の方から会うことを 拒絶することはない。彼女にとっては非常に楽に二股をかけられるように環境を作ってきた。

もちろん僕も意思表示は常にしてきたが、決断を迫ることは全くなかった。でも、もうそろそろ 彼女にも決めてもらわないと僕も困る。

と、言うわけで、彼女に決断を迫る手紙を書こうかなって思ってる。

彼女に動くきっかけをあげようかなって。

手島さんの日記に「あなたには力はありますか」っていう問いかけがあった。

僕に力があるかどうかは、自分では良く分かりません。でも僕は自分の持つべき全ての 力と知恵を使って、彼女を守りたいと思います。

さて、前述の手島さんを始め、最近実に色々な方がメールを下さる。

しかもその内容がどれも素晴らしい。ある40代の男性(日記者の方ではありません)からは、 「彼女に結婚と恋愛は別だなんて思わせるな」という、非常に熱意のある、圧倒されるような メールを頂きました。すばらしい。本当はここに掲載したいぐらいなのですが、ご本人が 掲載は勘弁してくれとおっしゃってますのでこういう形で。

また、やはり40代の男性(この方も日記は書かれませんが)からも、ご自身が今の奥さんと 知りあわれて、結婚されるまでに経験されたこと、障害となったことなどを書いていただいて、 頑張れと言って頂きました。

また、ある30代の方からは、ご自身の辛い経験をもとに、その後の人格形成に至る過程を 書いていただきました。

本当に皆さんありがとうございます。

本当ならば、一覧表にして全部皆さんに読んで頂きたいぐらいなんです。

でも、みなさんご自身のプライバシーを身を削るようにして書いていただいてますので、 それもなかなか。

でも、本当にすごい。

以前から日記リンクスについて書くと必ず苦情のメールを頂く。

内輪ウケで面白くないという内容がほとんどだ。

昨日から今日にかけても3人の方からそのような内容のメールを 頂きました。

日記リンクスが僕の全てではないけれども、日記リンクスは僕が日記を 書くうえでの非常に重要なものであった(ある)ことは否定できません。

と、言うわけで、今後も日記リンクスについても、僕が書きたいと思うときは 書いていきます。但し、日記リンクス以外の方も多数僕の日記を読んで頂いている 事実も重要視していますので、今日の日記リンクスネタは別ファイルにしてみました。

興味のない方は無視して下さい。お互いそうすればハッピーですよね。

日記リンクスについて今日思ったこと


1996年7月7日(日)

今日は今からみねちゃんに手紙を書きます。

書いた内容を公表するかどうかは書き終わってから考えたいと思います。

どっちにしてもそろそろきちっとしないとね。

僕も必死です。

日記リンクスについて


1996年7月8日(月)

Dear みねちゃん。 こんばんは。日曜日の夜10:30です。元気ですか。今、何してますか。

僕は今日は会社に行ってました。ちょっと疲れたかな。

昨日の電話、わがまま言ってごめん。昨日からずっと考えてました。

僕はみねちゃんのことが大好きです。ずっとこれからも一緒にいたい。ずっと。

だけど、このままずっといまみたいな状態を続けて行くのは正直言ってすごく辛い。

そろそろ決着をつけなければいけないなって思いました。

本当は僕が黙っていなくなれば一番良いのかも知れない。だけど、僕にはそんな勇気はないし、 カッコつける余裕もない。 僕はみねちゃんを好きすぎる。

だから僕なりに考えた方法で決着をつけさせて下さい。

僕に独りになる覚悟をする時間を下さい。そして僕にもう一回チャンスを下さい。

もし、みねちゃんが、これからも僕と一緒にいたいと思ったら、7月20日の土曜日のPM1:00に、XXXのXXXXの 時計の下に来て下さい。僕はそこで待ってます。

もし、みねちゃんが別の男性を選ぶなら、来ないで下さい。それで終わりにしましょう。

会ったり電話したりしたら、きっと僕は自分の気持ちを抑えられなくなっちゃう。辛いからさようなら はなしにしましょう。一時間待って、みねちゃんが来なければ僕も帰ります。

20日までの間、僕は一緒にいられることへの期待と、独りになる覚悟の両方をするつもりです。

僕も電話したり、会ったりしないので、みねちゃんも協力して下さい。

もう一度だけ、僕にチャンスを下さい。一生懸命考えて下さい。お願いします。

(中略)

僕はみねちゃんと知りあえて本当に良かった。

こんなに人を好きになれるとは思ってなかった。だから、もしみねちゃんが来なくても 決して恨んだりはしないから安心して。

僕はみねちゃんが来てくれることを信じて、でも、独りになったときのことも覚悟して ずっと待ってます。

じゃあ。もしかしたらこれで最期になってしまうかもしれないけど。

みねちゃん、大好きです、愛してます。

じゃあね。

立花 岳志

(一部削除及び改変あり)

日記リンクスについて(最終回)


1996年7月9日(火)

今日ふと思う。

僕の頭のなかにあること。

みねちゃん、会社、酒、日記。

オイオイ、いいのか、これで。

ばうわうとりまき軍団で僕とお友達の、会員番号4番の 石橋さんから多くを学ぶ。

夜久さんがおっしゃりたかったことは これなんだなって思った。

僕にはとてもできない。どうしても熱くなっちゃう。

さすがおやじども、なかなかかっこいいぜ。ちくちょう。 おっとっと、もちろん学級委員もね。 かっこ良いよ。でも、こんな危険な三行を 今日のあとがきに 書いたなんて、恥ずかしいから見ないで! だって、日記なんてね、所詮思うことや 私が見るものを、 喫煙しながら のほほん明示的に宣言するだけで、 感じたことそのまんまを、 独り言のように Love Letterに綴って、 私が読むものの間に しおりのようにして挟んだりして、 勝手に行っちゃってる みたいなもので、 結局とほほだよね。 でもみんながここにいるよって言ってくれると 僕はこれからもみんなと 頑張ろうって思っちゃうんだよね。 今日もだし。

(あれ、デーテーペーが入らなかったな。 ううう。夜久さんゴメンナサイ)。


1996年7月10日(水)

いろいろと僕を批判するメールが来たり、ページに僕悪く書いている人がいる。

単なる嫌がらせは無視するが、何だか偉そうな事が延々と書いてあったりすると、 僕も一生懸命読んで、ちゃんと返事をするのだが、それに対しての返事がないことがすごく多い。

別に僕がケンカを売っているわけではなく、僕が書いたことを批判してきておいて、 僕が自分の意見を書いて送るとそれっきり何も言ってこない。

すごくそれは失礼な事だと思う。

「常識」だの「契約」だの「倫理」なんていう抽象的な表現を用いて、 僕に対して批判的な意見を持つ人々のページに書いてあることを鵜呑みにして 文句を書いてくる。

だからだいたい的外れな事が多いから、そこを指摘し、改めて意見を聞くと、 それきり返事がこない。

僕は自分の信念に基づいて書いているのだから、どこの誰だか知らない人間に いきなり津田さんに謝れなんて言われる筋合いはない。

僕のメールに対して、納得したのか、さらに反論があるのか、びびっているのか、 謝りたいのか、返事がないと何も分からない。

興味本位で僕を批判するメールを出すのはやめてください。

そうしないと、本当に意見を持った方からのメールまで色眼鏡で見てしまう。

ちゃんとした意見を持った方のメールには僕なりに精いっぱい返事をします。

お互いに楽しいネット生活を送るためにも。

今日、一昨年まで付きあってた女の子から半年ぶりに電話があった。

ごくごく普通のOLだった彼女が、来月から一年間イタリアに留学する。

本当の自分を探したいそうだ。

あのころは、自分が嫌いで、愚痴ばっかり言ってたのに、今はすごく 自信を持って、まっすぐ歩いている。

留学するために彼氏とも別れたそうだ。面倒臭いからって。

何て強くなったんだろう。何て魅力的になったんだろう。 まだ彼女は僕を目標だって言ってくれるけど、きっと来年 イタリアから帰ってきたころには、僕なんか遊んでもくれなくなって しまうのかも。

ちょっと寂しいけど、頑張って欲しい。


1996年7月11日(木)

昨日の日記に、批判のメールを送っておいて返事をしないやつが多いって書いた。

今日野原さんのページに 行ったら、野原さんにも、そして僕と野原さん以外の誰かにも同様のメールが届いていたらしい。

しかも、どうやら同一人物のメールのようだ。

僕に届いたメールは、質問ではなく、明らかな批判だったが。

今日も返事は来なかった。

全く嫌な気分だ。

昨日昼休み、会社での会話。

女の子4人と僕、それにアルバイトの大学生。

女の子1「ねえ、何だかロングバケーションってすごく流行ってたらしいよ。見てた?」

全員「ん〜ん(否定)」

女の子2「1回だけ見たけどあんまり面白くなかったよ」

女の子1「ねえねえ。やっぱりこの会社って絶対変だよ。あのねえ、世の中じゃねえ、 ロングバケーション見てないって、とんでもないことらしいよ。女の子100人のうち、95人が見てる らしいよ。見てない5人はみんなうちの会社の人だよ。きっと」

女の子2「でもテレビ見てる暇ないしね」

女の子3「そうだね。時間もったいないしね」

立花「他人の恋愛見て喜んでてもしょうがないしね」

全員「そうだよね〜」

全員「・・・・・・」

この会社が変人の寄り集まりであることを各人が認識し、自己嫌悪に陥る沈黙が続く。

みねちゃんへの手紙(7月8日の日記参照)で、「最後になるかも知れないけど」 と変換したつもりが、 「最期になるかも知れない」と誤変換していた。

僕は全然気づいていなかったんだけど、まさか命を断つつもりでは という、とっても申し訳ないメールを頂いてしまった。

松本さん、ご心配頂いて本当にありがとうございました。

僕はそんな度胸はないし、そんなもったいないことは決して考えてません。

でも心配されるとちょっと嬉しかったりするんです。これが。

ちょっと補足。

最初に嫌なメールのことを書いたが、今日はすごく礼儀正しいメールを頂きちょっと嬉しい。

伊藤さん、どうもありがとう。今から伊藤さんのページに行ってきます。


1996年7月13日(土)

昨夜から何となく嫌な予感がしてた。

昨日の夜は、会社のみんなと月島にもんじゃを食べに行った。

みんなと会社を出ようとしているときに、得意先からクレームの電話。

一応僕は責任者だから、帰る訳にはいかない。納品した和文英訳が、和文と 英文で内容があっていないというもので、電話対応に20分もかかった。

やっと対応が終わり、やれやれと思っていたら、別の部署の男性から電話。

「Macに詳しい人すぐきて下さい」ということで飛んで行った。

先日導入したばかりのPowerMac 7500/100の調子がおかしいという。

もっともこのMac、どうも初期不良くさくて、年中問題になっている。

終了ができないという説明を受けて、モニタの前に座ったら電源は正常に 落ちていた。ここで席を立てば良かったものを、わざわざ電源をいれてしまった。

本体には電源が入るのだが、モニタの電源が入らず、モニタの背面から、1秒置きぐらいに カチ、カチ、カチっと不気味な音がする。

配線の緩みを一通り確認したが、モニタの電源は全然入る気配もない。

相変わらずカチ、カチ、という非常に不気味な音が続く。

悩みつつも、強制的に電源を落とし、再度再起動すると、今度は正常に モニタにも電源が入る。

しかし、今度はハードディスクの音が明らかにおかしい。

2秒置きぐらいにガガー、ガガーっという、身の毛もよだつような ものすごい音を立て、画面も起動中のまま変化しない。

ああ、これはもうだめだ。途方に暮れる中年の男性をなだめ、 来週メンテの人に来てもらうことにして、何とか納得してもらう。

そこに僕の部署から電話。

金曜日のこんな時間に何と新規のお客さんから見積依頼。

外資系製薬会社の会社案内の英文和訳。

とりあえず原稿をFAXで送ってもらい、月曜日に見積を提出することになる。

で、何だかんだで結局先発隊よりも一時間近く遅れて、後発隊三人が会社を出た。

あ。銀行行くの忘れた。財布の中には4,000円。ちょっと心細い。

月島は昨日は縁日だった。細い通りの両側にびっしりと露店が出ていて、まっすぐ歩けない。 しかも、みんなのいる店は4番街、駅から一番離れたところ。

普段なら5分ぐらいでたどり着けるところが10分以上かかってしまった。

店に入ったのがもう8時15分。予約は7時だったから、ずいぶん大幅な遅刻だ。

すぐにみんなの顔を見つけて手を上げたが、どうもみんなの様子がおかしい。

話しを聞いたら、縁日の金曜日という、書き入れ時に予約したのに人数が揃わない 客となっていたみんなに、店員がずいぶん嫌がらせをしたらしい。

何度か僕の携帯電話を呼んだらしいが、僕は地下鉄の中だったのでつながらなかった。

まあでもとりあえず食べ物にありつけた。

もんじゃはすごく美味しかった。

でも、ひと玉では全然お腹がふくれない。しかし、先発隊のみんなはもうすっかり 食事終了の体勢。さらにお店の外にはまだ人が行列を作っている。

とてももう一つ頼む勇気がなく、みんなで店を出る。

結局店には45分しかいられなかった。

みんな何となく駅に向かって歩く。ゆっくり歩く。縁日はもう終わりに近く、 殆どの店が片付けをしている。

地下鉄の入り口まで来て、なぜかみんな立ち止まる。

これからどうするって話しが始まる。何人かが帰る。

結局カラオケに行くことになった。

誰かがさっきカラオケボックスの看板を見たよって言いだして、 もう一度、駅を背にして今来た道を引き返す。

でも僕たちは完全に出遅れていた。どこのボックスも満杯で、 空くのはずいぶん先だった。

で、結局月島の商店街を30分もフラフラした挙句に何もできずに お開きになった。

六本木のマクドナルドで食事を買って帰った。

ビールを飲みながら、たまっていたメールに片っ端から返事を書いていたが、すごく 疲れていたみたいで、コンピュータの電源もいれたまま、そして何とモデムも つないだまま眠ってしまった。

日記の更新ができなかった。

明け方4時半頃に目が覚めた。回線は勝手に切れていたので、コンピュータの 電源を切り、脇にあった赤ワインを意味もなくあおってもう一回眠った。

調子外れの週末。ちょっと弱気な夜。不完全燃焼の夜遊び。 帰り道にすれ違う、六本木の夏に狂うカップルたち。

そして僕は夢にみねちゃんを見た。

気を張って、強がって自分を支えていた何かが目覚めと共に崩れていった。

窓の外は今日も夏の空だ。青い。深く青い夏の空。

それなのに何故か自然と頭をたれてしまう。まっすぐに視線を維持できない。

いかんいかん。考えていてはいかん。

久しぶりに自分の自由になった週末を、もっとのんびりとすごさなきゃ。

でもやっぱりだめだ。

こういうときは、仕事がないことがうらめしい。昨夜あんまりチェックできなかった みんなの日記を読む。でも字面だけ追っていて、頭に入ってこない。

会いたい。みねちゃんに会いたい。

口に出して言ってみた。

だめだ。ついに言葉にしてしまった。

すぐに冷蔵庫からビールを引っ張り出してきて、真っ昼間から飲んだ。

朝飯も食べないうちから。

som1973さんからのメールへの返事。

そうです、僕は腹を据えて判断したつもりだし、勝算もあります。 このままずるずる付きあって行っても決して誰も幸せになれないという絶対的な 判断により行動しました。昨日僕がsom1973さんにメールした 時点では僕は落ち着いて、静かに20日を待っていることができるはずだった。

うううう。でも今日は弱気。

今ごろ彼と会ってるんじゃないかとか、彼に抱かれてるんじゃないかとか、 くだらない、普段は考えもつかないようなことが頭の中を巡ってしまう。

昨日までは全然見なかったのに、今日は写真なんか引っ張り出してきて、眺めてまた 落ち込んだりしてる。馬鹿みたいだ。

きっと、もし今みねちゃんが電話をしてきたら、今までの僕の努力が全部水泡に帰すことでしょう。 ははははは。

明日は朝から休日出勤だから、きっとこんなバカな事をウジウジ考えてる暇はないでしょう。

それが何よりの救いですね。


1996年7月14日(日)

やっぱり今日もあんまり元気がない。

結局一日中会社にいた。多くの励ましのメールを頂いた。皆さん本当にありがとう。

今僕はすごく悩んでいる。躊躇している。

って言うのはみねちゃんの事ではなくて、僕の日記のこと。

きっとこれから一週間、土曜日までの間、僕の書く日記はすごく暗いものになってしまうだろう。 どっぷりと自分の世界を表現するべきか、それともただひたすら暗い日記を綴るよりも、 結果が出るまで思いきって休むべきか悩んでいる。

きっとただ延々と暗い暗い世界を見せられても嫌なんじゃないかなって心配してる。 読む人を不快にしてしまう日記を、自分で分かっていながら発信するのはちょっと気が引ける。

で、単純に、多数決で決めることにしました。

明日からも毎日日記を書くべきだって思う人はYesに、つまらないから結果がでるまで 休めという人はNoに投票して下さい。

明日の夜、僕が会社から帰ってきて、日記を書く前までに押してくれた数の多い 方の意見に従うことにします。

尚、お一人様一回の投票でお願いしますね。


立花は今週どうするべきか

Yes! 毎日せっせと書くべし   No! 土曜日まで休むべし


1996年7月15日(月)

みなさん投票どうもありがとうございました。

圧倒的大差でYesを押して下さった方が多かったのですが、 今日はとりあえずお休みします。

まあ今日はアルコールから逃れられたので何よりと言ったところです。

ではみなさん、また明日。


1996年7月16日(火)

みなさんこんばんは。立花です。

昨日は10時30分に眠りました。今朝は7時まで熟睡しました。

昨日日記の更新をさぼって眠ったかいあって、今日はずいぶん頭の中が 整理されました。

僕は逃げようとしていたんだと思う。

自分で決めたことなのに。自分から決着を着けようって決めたのに。

皆さんに投票して欲しいって思ったのも結局は逃げだ。

手島さんのおっしゃるとおり、書きたければ書く、嫌なら書かない。 単純なことだ。

僕はまずは自分のするべきこと、しなければいけないことをする。

後は静かに待つ。これでいい。

僕は自分の考えに対して信念を持って行動してきた。

それは彼女に対しての事だけではなく、仕事のことも、プライベートに関しても。

もちろんこの日記に関してもそう。

最初は自分でも自分の書いていることに自信がなくて、 書いたことを削除したり、無意味にお詫びしたりしていたけど、 今は自分の日記上での発言に自信を持って書いている。

だから僕は自分の過去の日記に一切改変を加えない。

Internet上の過去の日記は改変できても、自分の人生に訂正を加えることは 決してできない。

僕は自信を持って判断した。だから、自信を持って結果を待つことにしました。

心配してメールを下さった多くの方々、Noと言って下さったのむさん、松本さん、 宮澤さん、Yesと、応援して下さった本当に多くの皆さん、本当にありがとう ございました。

あと3日間、僕は静かに待つことにします。

やっと書けるようになったので。

はるちゃんの日記と、 Hal(安原さん) の日記から思うこと。

男と女の肉体の接触には、絶対に理論では説明できない特定の効果があり、 愛情がどうのこうのとか、理性がどうのこうのとかと言ったことを超越したものがあると思う。

ただ、たとえその相手に対してもともとは特別な感情を持っていなくても、繰り返しその相手と 肌をあわせていると、当然なれ合いが生まれ、疑似的、錯覚的な恋愛感情を持とうという作用が 働く。

ところが自分の中には相手に対して恋愛感情を抱いていない。当然相手は他人だという一種突き放すような 状態になる。それなのに相手を所有したいという エゴが生まれてくる。そこで自己嫌悪が発生する。

本当に乾ききってしまった時、たとえ愛していなくても、その相手の肌を貪り、汗と体液を共有することに 強烈な安らぎを見いだしたことは僕にもある。

ところが、その相手と何回か一緒に寝ていると、次第にエゴが生まれてくる。欲も出てくる。

自分に自信を取り戻してくるからかも知れない。

僕がまだ学生のころ、僕は自分の意志の力で、自分の孤独を吹き飛ばしてしまおうと努力した。

でも、肉体と感情が完全に一致することは不可能だ。

欲しいものは欲しい。

あー、欲しい(笑)。

0:25追記

日記リンクスのCGIが一部動きだした。

僕に日本語を勉強しろと言った、酒井氏のすちゃらか日記(四天王だったんだって、このひと)が 「破綻」していた。

菅原氏の今日のあとがきは、一週間以上更新されていない。

ばうさうさん、元気。

夜久さん、元気。

石橋さん、元気。

野原さん、幸せ。

僕も、元気。

せんべいさんは元気ですか?心配してます。お暇があったらメールでも下さいな。


1996年7月17日(水)

前にも書いたが、僕はNet上で知りあった人とは一度も会ったことがない。

札幌のNiyaちゃんとは本気で 会う約束をしていたが、当日彼女の携帯が調子悪くて果たされなかった。

僕は特に日記者の皆さんとの接触を避けてきた。

それは僕が本心を暴いて書いているからには、恥ずかしくて会えないというのが 主な理由だった。

でも最近、何となく皆さんに会いたいような気分になっている。

日記の中の自分と、現実の世界の自分を両方見てもらいたいような衝動に かられている。

今まで一回もそんな風に思ったことがなかったので、すごく不思議な感じ。

まずは、前々から会う約束をしていた志織氏と会わなくては。xまxx町のとxxxビルの一階のあたりで 待ちあわせましょうか。来週にでも。

後はもういつでも誰でも何でもOK!僕からもメールしますから、もし実物の 立花と酒を飲みたいと思う方はメールでも書いてやって下さい。

あまり飲めないらしいsom1973氏ともやはり飲まなくては。覚悟するように(笑)。

せんべいさんとの待ち合わせは当然金曜日の夜中に「328」でしょう。

美砂江さん、アリゾナまでは行けないけど、もし日本に帰ってくることがあるなら、 一緒に一杯やりましょう。

うーん、それにしても、Niyaちゃんとは会いたかった。ふふふ。でも人妻だぜ(笑)

1996年7月19日(金)

ついに明日が20日です。

僕には何の迷いもありません。

13時に、約束の場所に行くだけです。

どのような結果になっても、明日、必ず皆さんに報告します。 今まで応援して下さった皆さんへのお礼を兼ねて。

一つだけ言いたいことがあるので。

もし、明日みねちゃんが、決心をしないまま、とりあえず僕の前に現れたなら、 僕は迷わず彼女を捨てます。

som1973さんの危惧される、明日決着が着かないのでは、ということは、 僕は絶対許しません。

そのかわり、もし彼女がきちんと気持ちの整理をつけてやってきたら、 明日はお姫さま待遇で彼女を愛したいと思います(Hな意味じゃなくてね)。

もし、彼女が現れなかったら、僕は彼女の幸せを祈りつつ、浴びるほど飲むことでしょう。

では、みなさん。また明日。


1996年7月20日(土)

結局、みねちゃんは来ませんでした。

一時間待ちあわせ場所で待ってる間に、色々なことを考えました。

結婚する相手が欲しいという彼女の望みを、僕は叶えてあげることが できないのだから、仕方がなかったんだと思います。

具体的な計画を持ちたがらない僕と、結婚する相手を欲する彼女。

この根本的ギャップが修正されないかぎり、またいつか繰り返す ことだったのでしょう。

なかなか決断のできない彼女が、来ないというはっきりとした意思表示をしてくれたこと に感謝です。

一緒に過ごした期間が3カ月と非常に短かったので、お互いの傷も浅いもので 済んだと思います。

皆さんご心配頂いているかと思いますが、僕は極端な感傷的猿にはなって いないようです。まあ当然落ち込んではいますが。

ただ、僕の手帳と名刺入れに彼女が貼った、二人で撮ったプリントクラブの 写真はもうしばらく貼っておきたいと思います。

僕の心の中のたわみがなくなってきたら、はがしてしまおうと思ってます。

今日は予告どおり、かなり飲んでます。いつもたまったメールの返事を週末に 書いているんですが、今週はできないかも知れません。明日は休日出勤です。

明日、僕の会社の社長が子宮筋腫で入院します。自宅療養も含めると2カ月間 会社を留守にします。

わずか社員12人の会社です。そのうえ、業務統括の課長が今月末で退社します。 後任は決まっていません。僕は翻訳部門の責任者だから、来週からは忙しくなって、 きっと感傷に浸っている暇はないでしょうし、来週から、いよいよ待望の 日記者の皆さんとの会合も連続してありますので、きっと僕は元気だと思います。

彼女とのトラブルが始まってから中断してしまっているダイエットも再開したいと 思います。アルコール漬けから立ち直らなければいけないですし。

この1カ月間、殆ど毎日、思考回路が停止するまで飲んできました。

仕事、日記、酒、睡眠。この繰り返しで、何とかやってきました。

ただ、もう酒に頼って思考を停止させる必要もないようなので、 多分勝手にやめるでしょう。

メールを下さった皆さん、頑張ったけど、ダメでした。応援してくれたのに ゴメンナサイ。

でも、僕は全て納得して行動してきたので、後悔は全然してません。

どうもありがとう。これからもよろしくね。

「勝手にしやがれ」で、ジャン・ポール・ベルモント扮するミシェルがボソッとつぶやいたセリフを思いだした。

「自分に合わない女ばかり好きになる」

まったくだ。

小学校時代の友人の女性と、最近何故か時々電話で話しをする。

彼女には最近彼氏ができた。

彼女の人生で、最大の恋愛だそうだ。

彼女は言う、「今このまま別れてもいい。幸せすぎるから。」

意味が分からずに、僕が聞き返すと、「ずっと長く付きあっていくと、 だんだん愛しい気持ちが薄れていってしまったり、いろいろ問題が 起こって別れてしまったりして、今彼女が体験している幸福感を 維持することができなくなってしまう。だから、今、こんなにも 幸せな状態で別れれば、彼との恋は、永遠に彼女にとって最高の ものにすることができる。」ということだった。

彼女の意見に同意はしかねるが、僕にとってのみねちゃんは、正に そんな感じで終わった。

現実的な、嫌な部分をお互いに知らないまま、結婚という現実によって 壊れてしまった夢のようなみねちゃんと僕の世界。

きれいなまま。憎みあわないまま。理解しあえないまま。一つになれないまま。


さようなら、みねちゃん。楽しい時間を本当にありがとう。

必ず幸せになるように。後悔しないように。一人で歩くように。

祈ってます。


1:05追記。

浴びるように飲んで、さっさと眠ろうと思っていたのに いきなりオリンピックにはまってしまい、まだ起きてます。

浴びるように、と言っていますが、酒量はいつもと同じぐらい。

ビール(いつもはエビスビールなんですが、今日は近所の酒屋が休みだったので Kirin Lagerで妥協)の500ml缶4本、赤ワインボトル1本。もうなくなっちゃって 一時間ぐらい経ってます。

何となく人恋しくて、ずっと回線つないだままにして、Eudoraのメールチェックを やたらしたりして、いろんな人のページに遊びに行ったりして過ごしてます。

そうそう、一番上の日記リンクの人々の中で、僕がリンクしてから一回も更新 されていないと思われていた桂子氏の日記は、実はIndexができていて、 別ファイルでちゃんと更新されていることを今日発見、修正しました。

彼女は日記リンクス等には全く関心のない方ですが、もしお時間があったら 遊びに行ってみてはいかがでしょうか。

som1973さんが、日記に僕への メッセージを書いて下さった。

石橋さんと、 わっちゃんさん、 岡田さん、 そしてIteruさんからもメールを頂いた。ううううう。ほんとに嬉しいです。 こんな夜には。

リンク、もし問題があればご連絡下さい。


1996年7月21日(日)

今日は休日出勤のはずだったが、仕事に必要な書類が宅配便で届かず、 一日暇になった。

で、自分のページのメンテナンスをすることにした。

今まで、すごく奥の方の階層に埋もれていたTouchy's Barを引っ張り出してきました。

これから徐々に進化させ、皆さんのボトルキープなんかも始めたいと思います。しばらく お待ち下さい。

僕の日記リンクに岩城奈穂子さんの日記を加えました。日記リンクス等には 参加されていない方です。仲間内の硬直状態日記にならないように、どんどん 色んな世界の方々のリンクを張っていきたいと思います。

みなさんお時間があったら覗いてみてください。

また夜に書きます。では。


11:50追記

音楽は感情の起伏を増幅させる。

かおりさんは、Sex Pistolsですか。僕はDavid Bowie、Smith、Iggy Popかな。 そうそうそれからVelvet Undergroundなんてのも。

Now I wanna be your dogって感じでしょうか(深く読まないように)

どうしようもなく辛いときに聞くことが多いのは、The Jesus and Mary ChainのPsycho Candyと、 My Bloody ValentineのLoveless、それからThis Mortal CoilのBloodなんてところですね。

でもスピッツなんてのも好きだし。吉川晃二も好きかな。買って聞きはしないけど。

一人で頭を振ることはあんまりないけど、部屋を真っ暗にして大音量でNirvanaなんてちょっと 好きだな。

人間はみんな闇の中に沈み込んでいく時間が必要だと思う。 だから、石橋さんも、気にしないで落ち込みネタも書いて欲しいと思う。

屈折から芸術が生まれたりもするんだし。

それにしても、一人でPistolsを聞きながら、ウォッカをあおり、踊り狂う野原さんが頭から 離れない。

Haruちゃんの日記に励まされる。

どうもありがとう。

僕にはオスとしての荒々しさが足りないのかも。

具体的な部分は今度会ったときにじっくり感じあいましょう。

手島さん、どうもありがとう。

自分を裏切らない。これって僕には以外と難しいことだったりする。

僕は、自分ではすごく優しい人間だと思っていたんだけど、最近実はすごく 冷酷な人間だということに気づいた。

でもなかなか冷酷だってことに気づかなかったり、冷酷な面を出したく なかったり。

優しい自分が大好きだけど、実はあんまり優しくない。寂しがり屋なのに 他人に冷たい。本当の自分を見失い、 探しているうちにもっとわからなくなったりして。

実に困ったヤツなのだ。

せんべいさん、お元気ですか。

こういった結果になりました。心配してくれていたのに、良い結果にならず 残念でした。お会いするのを楽しみにしております。

今日はアルコール漬けから脱却したようです。

やっぱり決着がつくのを待っていたのは僕の方だったのでしょうか。

ねえ、松本さん。

ばうわうさんの昔の日記をずっとさかのぼって読んでいた。

菅原 健氏の 「今日のあとがき」の件の ばうわうさんのページから、菅原氏の 日記に飛んでみたところ、問題になった5月4日の菅原氏の日記 の内容が大幅に改変されていた。

「ばうわうらしき人間を発見したが無視」、「俺って嫌なヤツ。ニヤリ」、なくなっちゃいましたねえ。

当時、この問題に触れ、両氏の日記を読まれた方々、読んでみて下さい。ばうわう批判の根底には 腐った村社会意識があることを、この日記の改変が物語っている。

別に僕に感想はない。

菅原氏が、「俺は改変していない」と主張するならそれで構わない。

でも、事実は一つしかない。

あんたは腐ってる。


1996年7月23日(火)

タミーさん、ダイエットの本、本当にありがとうございます(^ ^)。

確かに頂きました。明日電車の中でじっくり読ませて頂きます。

今日はすごく書きたいことがいっぱいあって、どうしようかと思ってます。

とりあえず。

「優しい悪魔」長谷川 誠さんへ。

あなたが日記猿人に掲載した日記は拝見しました。

では、あなたの意見はなんなんでしょうか。

なぜ実名を公開し、自分の主張をしないんでしょうか。

なぜ他人の日記のリンクばかり掲載して、自分の意見を書かないんでしょうか。

あなたの名前を出して下さい。あなたが僕や、かおりさんや、ばうわうさんや、野原さんに 送ったメールを公開して下さい。僕があなたに書いた返事を公開して下さい。

あなたは卑怯だ

あなたへのメールにも書きましたが、僕はいつでもあなたにお会いします、言いたいことは 言います、聞くべきことは聞きます。

なぜ他人のふんどしで相撲をとるんですか。

あなたはずるい、絶対にずるい。

補足。リンクを張らないのは僕のあなたへの不信感です。

意味が分からない読者の方は、日記猿人の44番をご覧下さい。

さて。

続いてしまうが。

som1973さんの6月30日の日記が、 日記リンクスのばうわうさんの行動に関して書いているとは僕は思っていなかった。

som1973さん、そのへんどうなんでしょう。

今日、生まれて初めて、インターネットで知りあった人達と会った。

ばうわうさんと、せんべいさん。

いやあああああ。楽しかった。

志織さん、順番がおかしくなっちゃいました。ゴメンネ。

松本さんに絶対怒られるような内輪ネタですね。ううううう。

Haruちゃん

もしセクハラメールが来たら、いつでも相談して下さい。

僕が代わりにぶん殴ってやります。

さてと、そろそろ真面目に

僕とみねちゃんのことは、色々な方からメールを頂いた。

で、僕が気にしていることは、果たして僕は逃げたのだろうかということ。

僕は今回、自分のプライドを守るように行動したと思う。

彼女が僕との別れを言いだしていたのに、逆に僕の方から決着の方法を提案している。

僕が平静を保つことに、このことは絶大な効果を発揮しているし、効果があることを 知って僕はそのように行動した。

それを卑怯と言う人もいるかも知れない。ズタズタになるまで行けという人もいるかも知れない。

でも、これ以上僕が彼女に対してアプローチしたら、本当に3人とも不幸になってしまったと 思う。

僕はこれ以上自分を傷つけることに価値を見いだせないし、これ以上みねちゃんを傷つける ことも望まない。

だから僕を卑怯と呼びたいヒトは、勝手に呼んでください。

僕は精いっぱいのことをしたつもりです。

ばうわうさんと、せんべいさんに、みねちゃんの写真を見せてしまった。

ううううううう。ふられた女の写真を喜んで見せてどうする。とほほ。

でもまだ、忘れるには時間がかかるみたいです。

かおりさん、飲みましょう。


1996年7月24日(水)

Haruちゃん

そんなことない。

僕も、セックスがしたいんじゃなくて、ただ裸でくっついて眠りたいことって結構ある。

ぬくもりと、女の子の匂いと、呼吸と、鼓動。

そういったものがセックスよりもはるかに必要な夜、僕にもあります。

だから、「男」とくくるのはやめましょうね。

さて、昨日はばうわうさんとせんべいさんとの感動のミーティングから時間が短すぎて 頭が整理できず、あまり多くのことを書けなかったが。

まずばうわうさんは、僕が予想していたよりもやや華奢で、うーん、やっぱり カニ座のA型って感じでしょうか。

思ったよりも奥ゆかしく(オイオイ)、かなり慎重に言葉を選んでいるような感じが しました。

でも、大体予想していた通りの方だった。

しかし、せんべいさん。

あなたは僕の予想とは180度違う姿で僕の前に現れましたね。

僕が予想していたせんべいさんは、青白い顔をして、眼鏡をかけて、やせっぽちで、 襟のあるシャツを着て、肩掛の鞄を持って、さらさらの髪で、ちょっと うつむきかげんで、人の視線を避けるように登場し、ささやくような、 聞き取れないような声で、ばうわうさんと僕が、一生懸命耳を傾けなければ 何を言っているかも分からないように、思慮深くぽつりぽつりと語る。というものだったのに。

ふうう。

いやいや。人間の思い込みというのは本当に恐ろしいものです。

せんべいさんは、無造作にやや伸びた長髪、日焼けした顔に無精ヒゲ、かなり体格も良く、 Tシャツにジーンズ、ずたぶくろの中にはPowerBook。

雰囲気的には、サッカーの前園に近いかも。

容姿だけではない。まず、声がでかい。でかいうえに通る声。店中にビンビン響く。

トイレにいても、ばうわうさんの声は聞こえないが、せんべいさんの声ははっきり 何を言っているかまで聞き取れる。

さらにすごく酒が強い。僕もかなり強いが、ばうわうさんもせんべいさんも強い!

ばうわうさんなんか、顔色が全然変わらないのでびっくりした。

おっとっと、脱線。

良く飲んで、饒舌。

これだけ書いているとすごく筋肉系かのようだが、話しの内容がすごく濃い。

論理的であり、しかしストレートで、理屈っぽくない。

さらに持っている情報の量がずば抜けて多い、しかも質が高い。

うーん、惚れたぜ(夜久さんツッコミ用)。

熱く語るせんべいさんに、冷静なばうわうさん、いやああ。僕はと言えば、 何だか一緒になって夢中でしゃべっていたような気がします。

初対面の方とお会いして、こんなに盛り上がったのは初めてかな。

いやあ。来週にでも(オイオイ)また3人で飲みましょう。

Kate Bushが好きである。

かおりさんに指摘されて、書き忘れていたことに気づいた。

Dreamingとか、Wuthering Heightsなんて、やっぱり鬼気せまるものが あってすごいと思う。

どんなに優しい声でささやきかけてきても、その裏の狂気と直面せざるを 得ない。

そう言う意味では、昔のSiouxsie and the Bansheesなんてのもかなり好き。

でもそうかと思うと、何故かMotorheadとか、Judas Priestなんてのに走る日も あったりして。でもその辺は一曲聞くのが限界だけど。

今はDavid BowieのChangesを聞きながら。

今のところ、日記猿人の投票ボタンをつけるつもりはありません。

日記猿人以外から見てもらった方々が、全く日記猿人を訪れずに 投票だけ僕のページからというのはちょっと悲しい気がするからです。

お手数ですが、日記猿人にジャンプして頂いて、投票なんかしてもらえると、 すごく嬉しいな。

名前を出したら聞きたくなっちゃって、Siouxsie and the BansheesにBGMを変えました。

今日は11時まで仕事をしてたので、まだもったいなくて、眠る気になれないんだ。

もうちょっと書いちゃおうかな。

インターネットを始めてすごく貴重な財産を得た。

それは、かっこいいオヤジども。

ただ熱くなるだけの僕に、言葉で、そして態度で、僕がどうするべきかを常に 教えてくれる。

今日の日記はそんなカッコ良いオヤジ達のおかげで平和です。

感謝感謝。


1996年7月25日(木)

僕はいつでも自由でありたいと思う。

人に対して、自分に対して、いつも素直でいたいと思う。

僕は弱い人間だから、ランキングがあれば、その日の得票数で自分の 価値を見いだそうとしてしまう。

日記リンクスのランキングがなくなってから、日記猿人が起動するまで、僕は ものすごく自由な気持ちで日記が書けた。

誰かより優れているとか、劣っているとかなしに、好きな人の日記を読んで、 メールをして、一緒に酒を飲んで。

僕は自由でありたい。

日記猿人から僕は脱退したいと思います。

もちろん今後も日記猿人を僕は全面的に応援しますし、投票もします。

ただ、皆さんとならんでランクされることが、僕にとって、自分の日記の 価値観を狭めてしまうことになっていると思うので。

もし僕がもう少し成長して、ランキングに左右されない自信がついたら、 また登録させてもらいたいと思います。

10年は続くんだしね。ふふふ。


1996年7月27日(土)

上を向いて歩こう。

涙がこぼれないように。

自分を否定しないために。

胸を張って歩こう。

人に優しくあるために。

自分に優しくあるために。

前を見て進んでいこう。

新しい出会いを見落とさないように。

手をつないで歩こう。

ぬくもりが伝わるように。

Season、波打ち際ロマンスの波を浴び。

Season、この愛を洗い流すそのために。

振り返らない為に前を見て。

逃げているのだろうか。

どうして辛くないのか。

声が聞きたくないのか。

そんなにプライドは大切なのか。

このまま進んで行っていいのか。

夜また書きます。

夜になりました。また書きます。

僕は神様のような女の子なんて欲しくない。

そんな女性なんて嘘だ。

そんな女性が欲しい人は、現実から逃避する必要があって、そう言ってるだけだ。 だいたい何をして、神様のような女性なんていう定義ができるんだろう。

神様にされた女性が迷惑だと思う。

自分が神様だと思ってる女性は別として。

男も女も人間だ。どちらが優れている訳でもない。

自分にとって大切な女性は当然いる。それは当たり前だと思う。

でも、その相手を、勝手に高いところに持ち上げて、いきなり拝まれても 相手も困るだろう。

うんちもするし、おならもする。日々ダイエットに励み、むだ毛の処理もして、 他人の目にさらされることを前提に、胸をピンと張って、ニッコリ笑って。

おいおい、そんな神様いたら嫌だぜ。

人を愛するとき、相手の欠点が見えているうえで愛しく思えるのは最高だと 思う。しかし、ただ無意味に盲目な恋は、発展途上の若者の恋だということを 差し引いても、決して褒められるものじゃないと思う。

もしも女性が神様のように見えるならば、それはあなたの眼が悪いか、頭が悪いか、 女性の化け方がうまいか、もしくはその全部か。

神様なんて、そんな簡単にいるもんか。

一番大事なものが、一番遠くへ行くよ。

あんなに愛した君の、全てが想い出になる。

君の思いでの上に、僕は日々新しい記憶を上書きしていく。

遠ざかって行く、君の唇の感触、君の匂い。

泣いてすがることができれば、ぼろぼろになることができれば、 僕たちはもっと楽になったのかも知れない。

328で奴を待つ。来るかどうか分からない。

何の保障もない。来るわけがない。

328バンドのブルースハープのお兄ちゃん、やっぱりすごく 光ってる。かっこいい。

少ないながらもミリタリー系アメリカ人も増えてきたように思う。

来年の今ごろ、この店はまだ自由でいられるのか。

結局奴は来なかった。

夏の夜の狂気の中、汗まみれになるのも良い。


1996年7月28日(日)

Losing My Religion / R.E.M.

慎太郎に会いに行った。

部屋には彼女もいた。久しぶりに慎太郎と部屋で飲んだ。

音楽聞かないと、感性が鈍るぜ、とあいつが言う。

でも、感性が鋭いことと、幸福な人生は一致しない。むしろ 逆に、感性が鋭いために不幸になることの方が多いと感じる。

見えなくてもいい部分、見られたくない部分、それが見えてしまうことの 恐怖。見られているのではないかという羞恥心。

どうでもいいようなことに涙し、自分から罠にはまり、堕落の階段を 転がり落ちてみたり。

慎太郎の部屋はすごく凝っている。蛍光灯はブルーと赤。入口にはブラックライト。

部屋の電気を全部消して、ターンテーブルを照らすスポットと、カーテンのない窓の 外を走る首都高速の明かりで飲む。

東京に住む人間には、Soulが必要なんだって慎太郎が言う。

ヒーリング。

激することのない、平和な音楽、Soul。

激情に訴えて、聞くものの心を動かすのではなく、淡々と、安らかに 愛を唄う。

彼らは、まさか20年も経って、アジアの片隅のこんなコンクリのかたまりみたいな 街で、男2人と女1人、疲弊しきった心を引きずって、癒しを求めて彼らの音楽に 聞き入る人間がいるなんて、予想もしないでレコーディングしたんだろう。

ガキには理解できない音楽だよ、って慎太郎が言う。

僕にはまだちょっと早いんだろうか。でも、すごく心地よい。

Walls Come Tumbling Down / The Style Council

夜また書きます。

B Quick / Sonny Rollins

夜が来ました。また書きます。

ちょっとした誤解がとけた後の、照れるような、和むような 気持ちがすごくいい。

他人と他人が理解しあっていくのに必要なことかも知れない。

顔も声も分からない、活字だけのコミュニケーション。

なかなか難しいものだ。

誤解もあるだろうけど、でも、きっと、伝わる人には 伝わる。

僕はそう思いますよ、せんべいさん。

My Funny Valentine / Bill Evans and Jim Hall

今日は珍しくJazzなんかを聞きながら。

前にも触れたが、僕の母は、ジャズの弾き語りを仕事でやっている。

15年前に離婚した父親も、Jazzのテナーサックス奏者だった。

生まれた時から僕はJazzに浸って育った。

僕の家には、毎週二回、アマチュアのジャズバンドが夜になると 練習にきていた。アマチュアと言っても、いわゆる音楽業界の人々の 趣味のバンドだから、レベル的にはかなり高かったような気がする。

幼稚園から小学生ぐらいまで、異様に人懐っこい子供だった僕は、 毎回そのバンドの練習の中にもぐりこんで、聞いているやらいないやら している間に眠っていた。

多分5年間ぐらい、毎週二回、クインテットの演奏の中で眠るガキ。

おいおい。なんて生意気な奴だ。

でもすごく懐かしい。残念ながら、僕はプロになるだけの才能がなかった。

中学から高校にかけて、著しく音楽への情熱がなくなった時期があった。

きっと、やたらとうるく音楽に関らせようとした母への反発だったのかも知れない。

ピアノの前に座るのが、急に嫌で嫌で仕方なくなった。

ちょっと残念だけど、でも、音楽で食っていくのは、子供の眼から見ても、半端な ことじゃない。感性は人間を不幸にするって書いたけど、音楽家は感性で生きているわけだから、 自分で自分の感性を常に最大限働かせていなければならない。

当然、理屈や倫理なんてものは後回しにせざるを得ない部分が多々ある。

真夜中にピアノの練習を始めてみたり、大声で泣きだしたり。

絶対に他人には見せない惨めな姿。

芸術家は、辛い、のかも。

Without You / Nilsson Schmilsson

慎太郎の言葉が心に残って、昨日からずっと音楽を聞き続けてる。

慎太郎は大学時代の親友だ。今でも忘れない、最初の会話。

僕がバンドをやってるってことを聞き付けて彼が話しかけてきた。

ウォークマンで、僕のライブのテープを聴かせた。

何これ、学芸会みたいじゃん。おいおいおいおいおい。

初対面に近い、一度も話したことのないやつにこんなふうに言われるとは思っても 見なかった。ものすごいショックを受けた。

ものすごい強烈な印象。

でもそれからすぐに僕と奴はすごく仲良しになった。

音楽へのアプローチが僕と奴とは全く違う。彼はY.M.O.とJapanに強い影響を 受けていたが、僕はどちらもあんまり好きじゃなかった。どちらかと言うと、僕は Led ZeppelinとかJimi Hendrixなんてところに影響を受けていた。

単純なエイトビートを奴が学芸会って思ったのも後から理解した。

彼は今でも地道に音楽活動をしている。ライブは全然やらなくなった。

僕はと言えば、もう最後のバンドを解散して何年経つんだろう。

またちょっと何かやりたくなってきたな。

接吻 / Original Love

さて、書こうかどうか、躊躇していたが、 本人からリクエストがあったので(うそうそ)。

突撃ミーティング第二回として、金曜日にしおりんと飲んできた。

第一印象。酒が強い。さすが東北人。後半は僕よりもペースが早い(おいおい)。

印象その二。日記のまんま(笑)。えええ、褒めてるんだよ、しおりん!

本人曰く、私は人見知りだって言うんだが、とてもそう思えない勢い。

結局朝まで飲んでしまった。

二人で納得したこと。初対面の気がしない。

この前ばうわうさんとせんべいさんとお会いしたときにもそう思った。

全然初対面って気がしない。やっぱりお互いの考えてることを日記で 読んでるからかも知れないけど。不思議な感じ。

これからも続々と皆さんに突撃していきます。

野原さん、手島さん。遠いからって安心してるとヤバイかも(結構本気)。

せんべいさん、いつ飲みます?


1996年7月29日(月)

Around the World in a Day / Prince and the Revolution

James Joyceのような音楽を作ってみたいと思っていた。

ご存知かとは思うけど、Joyceというのは、現代アイルランド文学の作家で、 Ulyssesや、Finnegan's Wakeなんかで有名な人。

一見無関係に思える数多くの糸が複雑に絡みあい、雑音のような音を発生させる。

しかし、ばらばらに鳴っていた音が、主題部の直前に大きなうねりとなり、 驚くような美しい主題を奏で、主題部の終わりとともに再びばらばらに散っていく。

慎太郎が所属していたHuman Beingsというバンドのライブを見に行ったときに、 「あああ、やられた」と思った。

まさに僕がやりたかったのに、才能と努力と勇気が足りなくてできなかったことを、 奴はいとも簡単に、しかも僕なんかが想像していたのよりもはるかに大きなスケールで やってのけた。

複雑なベースラインを中心に、ギターとキーボードが、全く和声を無視した形で 絡んでくる。さらにそれを増幅させるようなボーカルとコーラスのハーモニー。

5本の糸が、サビの直前で一気に波打って、一本になる。

うーん。しびれた。

それにしても、音を言葉で表現しようとすると、すごくカッコ悪い。

Raspberry Beret / Prince and the Revolution

僕にMacintoshとInternetを仕込んだ女、 森下順子が来月 渡米することになった。

最大の飲み友達がいなくなるのは残念だが、なかなか理想の職につけなかった 彼女には良かったのかもしれない。

インターネットをビジネスにした彼女と、趣味にした僕。

今後の彼女の活躍に期待する。

少しずつ近づいてくる。

まだ姿は見えない。

眼を細めて、確認しようと思うけど、あなたはトンネルの 向こうから差し込んでくる夏の日差しを背に受けて、真っ黒にしか 見えない。

トンネルの中は排気ガスで煙っている。向こうから射してくる 日差しが乱反射してハレーションを起こしたようだ。

こちらに向かって歩いているのか、向こうを向いているのか。

まだ確認できない。

ただ、少しずつあなたの姿が大きくなってくるような気がする。

くわえていたタバコを投げ捨て、僕も歩き始める。

Wuthering Heights (New Version) / Kate Bush

頭の中を何かがうねっていて、ひどく混乱している。

ずいぶん長い間忘れていた何か、いや、自ら封印してきた何かが、 動きだしている。

危険だ。

押さえなきゃいけない。眼を覚まさせてはいけない。

どうしても聞きたくなってKate Bushを大音量でかける。

まずい。

彼女の神経性の叫びが、僕の体液を逆流させるような気がする。

鳥肌が立つ、日記をタイプする手が止まる。

タバコを二本も吸ったのに、一行も書けない。彼女が失神するような 声で唸る。

涙が出てくる。何てことはないはずだ。自分で自分の夢を捨てたはずだ。

数字を追う仕事を選んだのは僕だ。自分だ。

Dreaming / Kate Bush

今夜は混乱は収まりそうにない。

あきらめて、Kateの神経性の痙攣に身を任せることにする。


1996年7月30日(火)

Rocks / Primal Scream

今日はずいぶん早く家に帰ってきた。

こんなに早く家にいるのは何カ月ぶりだろう。近所の酒屋で、小学校時代の 同級生と出くわした。

本当に数少なくなってしまった、「西麻布一丁目」メンバーだ。

ビールを買うために寄った酒屋から奴が出てきた。奴もビールを買って 出てきたところだった。

お互いすっかり大人の顔になっているはずなのに、「おお、ちゅうさん」、 「なんだよ大矢」という、昔ながらの名前で呼んでしまう(そうそう、僕は 小学生まで大矢という名字だった)。

特に何の共通点も生活にはないのに、すごく安らいだ気持ちになる。

どおってことないことばかり話しているのに、すごく盛り上がる。

これが旧友って奴なのか。

最近少し分かるようになったかも。

ちょっとだけ、大人になったのかも知れない。

Public Image / Public Image Ltd

昨日から鬱積していたものを開放する。

もういいよ。

こんな時は、腐ったジョニーの、ちょっと勢いをなくした虚しい声が すごくいい。

Pistols時代の彼を聞くのは殆ど車の中。自分の部屋でPistolsを聞くことはまずない。

あまりにも固形化しすぎてしまって、僕には飲み込むことができない。

一つの時代が去った後のJohnnyに、僕は、すごく惹かれてしまう。

人間の歴史なんて、簡単には終わらない。

My Way / Sid Vicious

Decadance。

何て美しい響きだろう。僕にはもう手に入らない世界。

Decadance。

Sidの眼は何も見ていない。何も捕らえていない。

朦朧とした意識の中、彼はベースにしがみつき、何のために My Wayを唄うのか。

廃人と化した人間。それなのに、何故彼は人々の前で唄い、奏で、死んでいったのか。

何を感じていたのか。何を聞いていたのか。何を望んでいたのか。

遠藤ミチロウがどんなに真似ても、彼は決してSidになることは できない。新宿や渋谷や池袋を歩く、パンク少年達がどんなに頑張っても、 絶対にあんな風にはなれない。

Sidの美しさ。それは、彼の破滅の裏に隠された、世界一の純心があればこそ。

打算的なお前達に、一瞬の光りは見えない。

僕も、きっと、死ぬまで、見ることはできない。

Pride (in the Name of Love) / U2

あなたの視線を想像する。

あなたの香りに身を委ねることを夢見る。

何の抵抗もできずに、吸い込まれるように。

あなたに惹かれていく。

溺れるように、Addicted to your vortex。

Bonoは神の為に唄い、Johnnyは神を笑い飛ばし、 Jim Morissonは自らを神と呼んだ。

こんなコンクリの塊のような街の片隅であなたを 想う僕に、神は気付いてくれるのか。

Break on through / The Doors
Light my Fire / The Doors

何も書かないうちにBreak on throughが終わってしまった。

そして何も書けないうちに、Light my Fireも終わろうとしている。

Only Shallow / My Bloody Valentine

もうずいぶん前のこと。

慎太郎と飲んだとき。

当時、ボーカルにディストーションをかけるのが一時的に流行っており、 松田聖子までが手を出していた。

カラオケでもよく唄われていた「抱いて」という曲が、CMで使われたとき、 ボーカルにディストーションとフランジャーがかかっていて、ものすごく ワイルドな「抱いて」になっていた。

僕はそのCMを一回しか見たことがなかったので、てっきり勘違いだと 諦めていたら、慎太郎も同じことを思っていたらしく、一晩そのネタで 飲んでしまった。

バカみたいだけど、いいよね。

Je t'aime...moi non plus / Serge Gainsbourg avec Jane Birkin

今日は全然メールがこない。静かな夜。

窓を開けたら、ちょっとだけ涼しい空気が部屋に入ってきた。

何だか、意味もなく安らかな夜。

久しぶりに、Hisakoさんにでも メールでもしてみようか。


1996年7月31日(水)

人前で泣いてしまった。

どうしても抑えられなかった。

一緒に闘ってきたあなたが会社を去る日。

部長が、最後に送る言葉をって言ってくれたのに、 僕はもう何も言えず、ただ涙を流した。

会社のみんなが見ていたのに。

うつむいて首を横に振るのが精いっぱいだった。

贈る言葉は死ぬほどあったのに。

タクシーに乗り込むあなたに両手を差し伸べるのが精いっぱいだった。

きつくきつく答えてくれたあなたの手が、僕を許してくれたのか。

彼女との別れにも涙は出なかったのに、どうしてこんなに。

相手はたかが中年のオヤジなのに。

I課長、さようなら。

お元気で。

一緒に働くことができた一年間、一生忘れません。

あなたがいなければ僕は持ちこたえることができなかったと思う。

どうか僕を、営業に徹し、あなたを守ることのできなかった僕を 許して下さい。

あなたの責任はあなただけのものではなく、全員の責任なんです。

こんなにちっちゃなつぶれかけた会社を立ち直らせるのに、 あなたはなくてはならない存在だった。

営業の責任者である僕と、製作の責任者のあなた。

どんなに応援したかったか。どんなに一緒に飲みたかったか。

もう一度一緒に秋田に出張して、酒田のバーで、バカみたいに 飲みたかったですね。Iさん。

本当にありがとうございました。

生まれて初めて、人前で泣くことに誇りを感じました。

僕とあなたは、唯一一緒に闘ってきた、戦友なんですから。

もう、立場とか、責任とか気にしなくていいんですから、 今度は徹底的に飲みましょう。


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