あんさんの温もり 思うこと  関西編





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1996年10月19日(土)

The Kids / Jamiroquai



身を委ねる、思わず勝手に足でリズムをとり、隣で聞いとる あんさんの 肩に回した手でもリズムをとっとる。

どうもベーシストの動きが気になるちうわけや。佐藤研二のような指使いちうわけや。

あはは、コード弾いとるよ、あー、オクターブやってるちうわけや。がははと笑いながら 喜んで聴いてたんやけど、曲が変わってベースが本気になりよったら僕もあんさんも鳥肌が たってしまって吸込まれてしもた。あんさんは座り込んでしもた。

古くさいラジカセにつないだベースの音は、おもろいほどにひずんでいて、僕が本日この時までに 体験したことのないような迫力を持っとった。

神経が我先にとベースの音を追うわ。ギターとサックスは完全にベースに支配されてしまっとるから さらさら存在感がないちうわけや。ボンゴ弾きのリズムがタイトでかなり気持ちええ。



ベースソロが始まると、呼吸が止まりそうになるちうわけや。リズムに対してはあくまでも緻密に編むように、 せやけどダンさん観客に対しては とてつもなくセクシーに、淫靡に、猥褻に、強引に迫ってくるちうわけや。



勃起はせんが、僕が女やったら濡れてしまうやろうと想像してしまうような音。



ラジカセの調子がおかしなって、とんがったブーツでラジカセを蹴っ飛ばしながら ソロを引き続ける無表情な男。



突然4弦が外れてしまい、演奏不能に陥った瞬間にギターとサックスが一気に入ってくるちうわけや。 街頭演奏なのに、いきなりローディーが現れて、別のベースを手渡す。

ベースの暴力的な音に慣れてくるに従って、ギターとサックスの貧弱さが気になってくるちうわけや。

インプロビゼーションなんやろうけど、展開を進めるときには常にベースが指示を出してるちうわけや。

ベースが暴れだすと、二人してボーッと見守ってるちうわけや。ここでギターが闘ってくれたら、僕と あんさんはきっと一気に昇天できたのに。



結局一時間も立ち尽くして聴いてしもた。。









The Sex of It



金曜日と日曜日に、駅前でライブ、21:30からやっとる、らしいで





だれかギターを何とかしてくれたら、ええで。




Helpless / Metallica





分裂しとった時間を復元したいからなのか、もみくちゃにしあいながら、 もつれあい、のぼるのか、落ちるのか、それすらもオノレでも分かりまへん。熱いものが触れるちうわけや。唇で 掬い、顔をうずめて、涙をこら え、声が漏れるちうわけや。

旋律を奏でながら繰り返し繰り返し叫ぶ声が鼓膜から直に視床下部に反響し、脊髄がバランスを失って 倒れ掛かるように熱を帯びた息をみな吸込 んでしまおうと努力しながらも、オノレの呼吸を制御 できんと声がでることを確認する暇もなく、食い込む爪の感触と沸き上がる血の味がワイン の 香気を孕んだ部屋の空気に融合して床が溶けはじめるちうわけや。

貫いとることに飽き足りまへんかのように強く眼と眼を合わせたまんま意識が遠のいていくことを 実感し、せやけどダンさんドーパミンの誘惑に意を決して記憶を分断することになりよったらしいことを 遠い感覚と、全身に伝わってくる嗅覚とで納得して動きを早めると、メロディが沸き上がってくるちうわけや。 激しく優しく切なく。メロディが部屋に反響しとる。僕の口からもメロディが流れてきて、 いつの間にかハーモニイを奏でとる。白い流れに乗るように、ハーモニイを奏でたまんま爪が食い込み、 首筋に吸い付いた唇が内出血による痣を作りだし、そのことにはどなたはんも気付かないかのようにメロディは クライマックスを迎え白い川の流れが一気に逆流し動きが頂点を向かえたとき、痙攣が僕を受け入れ、 硬直した筋肉の真空の中に巻き込まれたまんまみなが止まり、僕は眠る場所を得たことを感謝し、永遠に 続くかのようなハーモニイが木霊する中で意識を失ったちうわけや。





Drunken Butterfly / Sonic Youth





風が吹いとる、西からの乾いた風が、夕日が紅色に染めとる 街を無機質 なものにとどめておこうと努力しとる、 ブーゲンビリアが見たくてぐるぐる歩き回ってるが、 どこの花屋にももう一本も残ってへんから 仕方なくバラの花束を持ちだして、 一本ずつ道にバラ撒きながら風に向かって歩いて行くと、 僕の良く知ってるはずの電器屋はんに置いてあるテレビが臨時ニュースを流しとる、 テープのような無機質な声と繰り返し流される文字情報が僕に焦燥を与えるが、 僕は そのことにはあまり興味を持てなくて、バラをばら撒きながらあんさんの部屋を目指して 歩いていく。

夕闇が街と僕とバラを紅色から紫色に染め替えていく中、僕は涙を流しながら、 持ちきれへんほどの バラの花束を持ち、一本ずつバラ撒きながら、あんさんの破片を探して、 歩き続けるちうわけや。

東の空は炎によって赤黒く染まり、黒煙に炙り出された満月が、大きな、 赤い、月が、 僕の背後に迫るちうわけや。





Love Will Tear Us Apart / Joy Division





重力が失われとるから重みを感じないちうわけや。



感覚が麻痺しとるから痛みを感じないちうわけや。



酸素が供給されておらへんから呼吸しておらへん。



暗闇の只中におるんか、若しくはハレーションで眼が眩むほどの純白の中におるんか、



どちらかなんやろうが、どちらでもええからどちらでもないように感じとる。



目印になるものがなにもあらへんから、ススム方向がないちうわけや。



記憶を削り取られとるから、悲しくもないちうわけや。



思い出すことがあらへんよって、涙は出てこないちうわけや。



水の中にいるように、音が、遠くに聞えとるが、



心臓の音以外は、聞き取ることがでけへん。



眼を閉じてみると、優しい声が聞こえてくるような気がするちうわけや。



瞼をもっかい持ち上げることはただの苦痛に思えてならず、ずっと 閉じたまんまでいたいと感じるちうわけや。



あんさんの優しさに包まれとるような気がするちうわけや。



あんさんが僕を包んでくれとることが、涙が出るほど嬉しくて、 ずっと このまんま、眼を閉じ、あんさんの 笑顔と優しい声の中で、眠ることにしたちうわけや。







ずっと、優しい、笑顔に、包まれて、





ずっと、





このまんま、





このまんま、









Red / King Crimson





汗まみれになって、徐々に意識が戻ってくることを実感するちうわけや。





どこまでが現実やったのかをオノレでも判断できず、





ただ呆然と眼を開いとるが、





窓の外の、紅色と紫の混ざったような空の色に、









もっかい吸込まれるちうわけや。





紅色と紫のグラデーションの中に、微かに狂気を感じ、爪を噛んで、みるちうわけや。









When You Sleep / My Bloody Valentine





隣で眠る、あんさんの顔が、





僕を、狂気の中から、救って、くれたような気が、して、





起こさないように、そっと、抱きしめ、るちうわけや。





遠い意識の中で、僕の名前を呼ぶあんさんに、





そっと、キスを、したちうわけや。










Nora/ 夜久/ 野原/ 志織/ 石橋/ 武市/ 桂子/ 潮見/ PDPDP/ Akko/ 手島

Haru/ shin-ya b/ かおり

Kana/ Shimomi

som1973/ フナイ/ 稀Jr/ 安原/ 山本/ 狂楽/ わっちゃん
松木/ 藤間/ 諸星/ 赤尾/ 松永/ 岡田/ 江口/ Alice/ うえだ



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