光りの波が急速に接近し、一瞬のうちに真っ赤に化学反応を 起こし、一瞬のうちに去っていく。アクセルにあまりに敏感に反応するエンジンを 若干持て余しながらも、さっきまで助手席に残っていた熱っぽい温もりに救いを求め、 ボリュームをむやみに上げる。神経性の、舌が歯茎と摩擦する音が聞えるような、Wildside。
黄金に輝くハシを見たのは一週間前の嵐の日。ダブルレインボー、あはははは。 なんか安っぽいカクテルの名前みたいだ。
この道がなくなるまで走ってみようよ、Let's go all the way。あれ、以外とすぐに 終わっちゃったね。ここを左に入って最初の信号をまた左折してもう一回左折。 右に曲がったら何個目の路地を左だっけ。
あ、だめだよ、そこは封鎖されてるんだから、入っていったら撃たれちゃうよ。
君の鰐が、僕を見つめている。リアルな鰐はラップトップに張り付いて、デホルメされた鰐は 冷たいオフィスの電話番をし、デスクトップの陰から僕をまっすぐ見つめている。
鰐を愛撫する神経症の指達。
ブーゲンビリアの木の下で、僕はあの娘を探すけど。
満月の夜には殺人事件が多いらしい。月の魔力。潮の満ち引き。血の味。
月の光りに邪魔されて、あの娘のカケラは見つからない。
地下道をくぐって、誰にも見つからないように、血の香りのする丘に向かって。
ゴムの焼ける匂いを伴う煙を巻き上げながら、真っ白なスポーツカーが、 割り込んできたタクシーに、追突、した、
煙の匂いに吐き気がした、車を降りた、天王星が、眩しく、僕の右脳を照らしている、 ような、気がした。
84年ぶりの輝きに、目が眩んだ。
Another Red Nightmare. Tonight.
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