あなたの温もり 思うこと  不明編



1997年11月19日(水)


Hey Lula / Yen Chang


昨夜は原宿・クロコダイルにYen Changこと福岡ユタカ氏のライブを聴きに行ってきた。

一年ぶりのえんちゃんのライブということで、念には念を入れて、翌日(今日)は有給休暇を取る気合の入り方。きゃー、もう午後からずっとワクワクですよ。

だいたいいつも夜に気合を入れて遊ぼうと思ってると夕方に思わぬトラブルなんかが発生してしまうものなのだが、昨日は順調に仕事が終了。7時前には会社を出る。

取りあえずせんべいさんの携帯に電話し、現地で合流することにする。せんべいさんはなかじーさんとビリヤード中だった。

表参道の駅からてくてくと歩いてクロコダイルへ。相変わらず遠い(泣)。地下の店内に入ると、もうテーブル席は一つも空いていない。おお、すごい人気だ〜。仕方がないのでひどく座りにくい大テーブルのようなところの、とりあえず一番良く見えそうなところに腰を下ろし、ビールを注文する。ぐるりと見回すとタミーさんが来ていたので、ちわっす〜、と挨拶しにいく。

しばらくするとニナが登場、二人で座ってちょろっと話している間にもう店は完全に満員に。せんべいさんとなかじーさんが登場、ちょろっと話をする。なかじーさんがSilicon GraphicsのTシャツを着ていたのがすごく似合っていた。一体なかじーさんはどんな音を作ってくれるのだろう、とすでにミーハーファン状態に突入。せんべいさんが、カウンターにAndyがいる、と教えてくれる。おー、写真で見たAndyだー、とまた喜ぶ。なかじーさんは楽屋へと消えて行った。

ちょっと遅れてももちゃんが到着、さらにまたちょろっと遅れてharuちゃんが到着、これで全員集合。椅子がないのでせんべいさんはカウンターのAndyの隣に移動、僕は女性陣3人の後ろに立つことに。店内のボルテージも徐々に上がってきた頃に、舞台のあたりにちらっとえんちゃんの姿を発見。おお、えんちゃんだー、とまたミーハーファンになる。僕はバーボンのロックを飲みながら、ステージが始まるのをひたすら待った。

ライブハウスの中のテレビモニタに映し出される映像は、せんべいさんがプロデュースしたもの。画面が揺れている部分はAndyが作った(らしい)。映像とライブハウスの雰囲気のイメージのギャップがすごく心地良い。

そうこうしているうちに会場の灯が消え、いよいよステージが始まった。と言っても前座バンドが最初にあるのだけれども。去年のライブのオープニングアクトはデミセミクェーバーだった。彼らの演奏がすごくカッコ良かったので、とにかく期待して舞台に集中する。

じゃーん、はじまりはじまり〜。



Yen Calling 3 / Yen Chang


オープニングアクトで出てきた3人組は、太った長髪に眼鏡姿のヴォーカルと、ちょっと地味な感じのベース、それにスキンヘッドの白人のパーカッショニスト。演奏が始まった瞬間に僕は●●●●●(以下自粛)。うーむ、何と言ったら良いのでしょうかねぇ、とりあえず白人のパーカッションは格好良かったですよ、うん。でもなんともな〜。。。音としては、四畳半フォークに民族音楽とちょっとアバンギャルドなエッセンスを加え、最後にたっぷりと演歌をふりかけたって感じかなあ。うううううう。演奏とは全然関係ないけど、基本的にデブで長髪のナルシストって僕すごく嫌いなんだよな←おい。

前座バンドの演奏は約一時間続いた。途中で遠くの壁際の席に座ってるタミーさんと何度も目が合って、お互いに微笑みあったり、ボディーランゲージで意思表示をしたりする。せんべいさんがやってきた時にちょろっと耳打ちしたり、なかじーさんがやってきた時に冗談を言いあったりして過ごす。女性陣3人組が座りにくい「丸太にスポンジを巻いたような」ベンチに座ってるのが辛くなったということで、ニナがカウンター方面に移動。代わりに僕が座る。おお、去年に続いて両手に花じゃあないですか。羨ましいでしょ>該当者。

9時過ぎに前座バンドのライブ終了。前の方に座ってる人とかが多少は帰るのかと思ってたんだけど、帰るどころかますます客は増えて、後ろの方のわずかな通路のスペースがもう大混雑。うーん、すごい人気じゃ。

休憩時間に僕はまたバーボンを頼む。どんどん増えてくる人達を眺めて見て、客層がずいぶん広いなーなどと観察をする。僕のすぐ前にはかわいらしい女の子の二人連れもいたし、反対側のちょっと行ったところにはずいぶん髪の毛に白いものが混じった紳士の姿も。ひょっとして関係者だろうか。

何となく呆然としていると、するするとえんちゃんがステージに出てきて、喋り始めていた。店内のライトが慌てて消えて行く。僕は身を乗り出してステージを見つめる。



Circle Dance / Yen Chang


ステージから溢れ出す音は、去年のYen Callingとはハッキリと異なり、鋭角なノイズがビンビンと神経を揺さぶってくる。最初えんちゃんの声が曇ったような感じでうまく聞き取れず、おいおい、クロコダイル、しっかりせいよ、と思うが、1、2分でしっかりと聞えるようになった。なかじー(中島顕)氏のターンテーブルから放たれる鋭いビートに乗るように、鬼怒無月氏のギターがメタリックな音でぎりぎりと入り込んでくる。ホッピー神山氏がアルトサックスでヒステリックなノイズを奏で、次の瞬間にはキーボードを叩いていたり、バイオリンを掻き毟っていたりする。帆足哲昭氏のパーカッションが音にがんがんと輪郭を与えて行くように絡む。ぞわぞわぞわーっとなったところにえんちゃんの「本格的雄叫び」がドーンと乱入。一気に緊張感が高まる。

バリバリの演奏が続いているのに、僕の頭の中にふと一つのフレーズがよぎり、僕は無意識のうちにそのフレーズを頭の中でぐるぐると回転させ続けていた。

「そうだ、僕らはみんな寂しい」

これが僕がメンバー達のMetalicでChaoticな音の絡み合いを聴きながら出てきたフレーズ。最初は自分でもどうしてこんな訳の分からないフレーズが出てきたのか疑問だったのだが、とりあえず手許にあったコースターにメモした。

演奏が続くにつれて、徐々に僕の中で「そうだ、僕らはみんな寂しい」という言葉とえんちゃん達の作りだす音が一体化し始めた。ダラダラ書いても仕方がないので簡単に書くと、今回のライブの音は前回のものよりもずっと攻撃的であり、同時に都会的な音に僕には聞こえた。そしてそのメタリックで都会的なイメージが、えんちゃんの「雄叫び」から僕が感じ続けていた「原始的な温かみ」と融合した結果、僕は耳をつんざくばかりの大音響の中、両側を美女に囲まれた状態でどうしようもない孤独感を感じることになった、という感じだろうか。

ぞわぞわぞわーっが続いた状態で一曲目が終了し、えんちゃんがメンバー紹介を行う。ようやく自由に呼吸ができるような感じ。ここで今日のゲストボーカルのSajuが登場した。



Searchin' for the Dream / Saju


プラチナ・ブロンドに髪を染め抜いたSajuが舞台に登場して、たどたどしい日本語でちょっとしたトークを行うと、それまで張り詰めていた緊張感のようなものが一気に抜けて、和んだ気分になった。それからSajuが唄い始める。うーん、良い。CDで聴いた時よりもずっと良い。えんちゃんの声とSajuの声がすごくマッチしていて、良い。

Sajuは3曲唄ったが、僕の座っていた席のすぐ後ろには熱狂的なSajuのファンの人達が集中していたみたいで、ワンコーラス唄い終わる度にものすごい勢いの拍手が起きる。僕もつられてつい拍手してしまったりした。

ステージからSajuが去ると、再び緊張感が溢れてくる。次はどんなことになるのだろう、と期待しつつ、さらにバーボンを頼んでみる。



Chaosmos / YEN


舞台は再びメタリックなカオスの世界へと突入する。えんちゃんの雄叫びはがんがんにエフェクターで分解されて融解し融合され、まるで「今週の雄叫び」総集編のような状態に。

インプロビゼーションのライブを聴きに行くたびにいつも思うのだが、僕達はその場で聴いたメロディやフレーズを個別に憶えているということはなかなか難しい。アルバムやシングルで何度も聴いた曲ならば演奏と一緒に唄うこともできるだろうが、インプロなのだから、その演奏は二度と繰り返されることはなく、したがって聴いている僕達に残るものは、純粋な音ではなくて、その音を受け入れた時点のイメージになる。

という訳で、僕もからっぽになった頭の中でぐるぐるとイメージを作ってはぞわぞわぞわーという感触を楽しんでいたのだが、演奏が20分ぐらいを超えたあたりから徐々に辛くなってきた。

別に演奏が長いことが辛いのではない。ただ、ステージ上のメンバー達の間で演奏が完結してしまっているような気が徐々にしてきたのだ。じわりじわりとリズムや音は変化していくが、ステージ上にはずっと同じレベルの「うねり」が続いていて、そのうねりに変化が現れてこないことが徐々に辛くなってくるのだ。陳腐な言葉で言うところの「めりはり」がないという状態なのだろうか。メタリックなカオスが続くことが徐々に僕の中で飽和し始めてしまい、ぐつぐつと沸き上がっていた僕のイメージが徐々に軋み始めてしまうような感覚に囚われた。

そんなことを考えていると、左側のカウンターの辺りで人々の移動する気配が。目の片隅でそれを追いつつステージを見ていると、haruちゃんが、「ニナちゃんが具合が悪いみたい」と教えてくれた。慌てて振り返ると、ニナが何人かの人達に支えられて店から出ていくところだった。haruちゃんが追い掛けていって、僕もその後について店から出た。

ニナは顔面蒼白状態で、階段を出たところにしゃがみ込んでいた。親切な人(佐々木さんという方だと言うことを後から知る)が、ニナに爽健美茶を買い与えていた。Keedaさんがニナを介抱してくれたらしい。謝謝(実はKeedaさんに優しくされたことが羨ましくて後でニナを攻撃してしまったGGであった)。

とりあえずニナがフッカツできなさそうなので、一度荷物を取りに行き、haruちゃんに携帯に電話を入れる旨伝えて近所のデニーズに退避する。荷物を取りに行った時、丁度曲が終わったところで、えんちゃんが、「終りまーす」と言っていた。アンコールが聴けないことに若干後ろ髪をひかれながらクロコダイルを後にする。



Nap & Doze


ニナは相変わらず不調で、デニーズについてからも顔色が悪い。紅茶とコーヒーを注文して呆然としているところにせんべいさんから電話。ライブは無事終了したとのこと。近くにいるのでもう一度合流しようと言うことになって改めてデニーズに集合する。

腹が減った、ということで、もう夜中なのにみんなで食事を始める。せんべいさんはカツカレー、ももちゃんと僕はホットサンドウィッチ、haruちゃんはオニオングラタンスープとココア、なんて言ってるとニナも腹が減ったということで牛焼肉など。せんべいさんはカツカレー

ライブの感想だの仕事の話だの今後の遊びの予定だのを話しているとアッという間にもう12時25分。終電がなくなっちゃうよーということで大急ぎで渋谷まで歩く。

ももちゃんとはデニーズ前で、せんべいさんとは渋谷駅で、haruちゃんとは新宿で別れ、僕とニナは中央線の最終で帰り着いた。途中の中央線で酔っ払った大学生のバカどもが騒いでいてちょっとむっとしたりして。

ひょっとしたら朝まで飲むかも、なんて思って取った今日の有給だったが、結局ニナが完全にダウンしてしまったので部屋でうだうだと過ごしてオシマイ。どうもニナが計算ずくで倒れたような気がしてならないのだが、気のせいだろうか。

でも、サラリーマンの人達が必死の形相で通勤してる横を、フラフラしながらコンビニに朝飯買いに行っただけで、結構楽しかったような気も←辞めたいのか、会社。

きゃー。




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