あなたの温もり 思うこと  不明編



1997年11月17日(月)


Hey Lula / Yen Chang


ニュースを観ようかなんて思ってテレビをつけっぱなしにしたまま風呂に入ってしまい、風呂から上がると訳の分からないドラマがテレビに映っていた。

以前にも書いたかも知れないが、僕は「テレビドラマを嫌う会会長」兼「ライオネルリッチーを嫌う会副会長」なので(会長は渋谷陽一だ)、もちろんテレビドラマなんてものは滅多に観ないのだが、今日は髪の毛を乾かしながら何となく眺めてしまった。そしてこうしてまた文句を書くことになってしまった。ああ、嫌なら観なきゃいいのに。

最初から観たわけではないのでちゃんとストーリーを追っていた訳ではないのだが、それにしても何というペラペラな話なんだろう。役者もペラペラならセリフもペラペラで、衣装もペラペラなら音楽もペラペラだ。村上春樹のセリフにもあったが、「凡庸」というラベルを貼りつけた瓶か何かに放り込んでそのまま土に埋めてしまいたいようなひどいドラマだった。

あんなひどいドラマでも、一応ゴールデンアワーにやっていたのだから、恐らくそれなりの視聴率はとっているのだろう。明日のお昼休みに会社の女の子達がお弁当を食べながらする話の中にもきっと今日のあのひどいドラマも含まれているのだろう。どうしてあんなに薄べったいものを毎週一生懸命観るのかが僕にはホントに理解できない。大手企業が何千万という金を払ってスポンサーになってあんなものを支えるためにライオンの歯磨きだのNTTの電話料金だのが高くなっているかと思うと情けなくなってくる。

メディアによって与えられた選択肢の中からしか自分というものを見出せないというのは、もちろんどこの国にも多少はあることだとは思うのだが、日本の場合はちょっと極端であるような気がする。30近い女がキティちゃんだのドラえもんだのを必死の形相でかき集めた揚げ句、「かわい〜」はないでしょう、「かわい〜」は。そしてその「かわい〜」の根拠は決まってメディアなのだ。高度資本主義社会では流行は常に恣意的に設定され、そしてその対象に対して猛烈な勢いで資本投下が行なわれる。そんな企業の戦略にはちっとも気付かないで、「かわい〜」が世の中を今日も席巻していくのだ。ああ。

音楽にしても同じだ。テレビドラマやCMなしには流行が作られないのは、結局今の日本を動かす力を持っているメディアがテレビしかないということなのだろう。そしてテレビは良質のものを供給しようという意識は微塵も持たず、もっぱら自らが流行の発信源であるという過信と自惚れに立脚して日々阿呆臭い商業電波をダラダラと垂れ流し続ける。毎日一生懸命テレビを観続ける善良な市民は大量生産されてキレイにラッピングされたペラペラの映像や音楽をいかにも自分が発見したものであるかのように自らの中に取り込み、なけなしの金を はたいて流行りのCDを買い、洋服を買い、そして周囲をキョロキョロと見回して、自分の姿が他人と違っていないかを血眼になってチェックするのだ。

もちろんwebで日記を日々書こうとか、日々読もうという人達というのは、テレビドラマを観ている時間があれば自分の為の何かを探そうという意志を持っている人達なのかも知れないし、webにはまっていない人達でも当然の話だが僕が憂う大量消費文化を完全に否定している人はたくさんいることを僕は知っている。

しかし、あまりにも日本人はメディアに踊らされていないだろうか。メディアによって金もうけの為に捏造された文化が素晴らしいものなのか、それとも掃いて捨てるべきものなのかを取捨選択することなしに、どうしてなんでもかんでも受け入れてしまうのだ。「反町より竹ノ内の方が好き」、「キムタクより中居クンの方がいいナ」、そうじゃないんだ、ということをどうして誰も認めないんだろうか。自分にとって一番素晴らしいものが一体何なのかを、どうしてみんな必死に探そうとしないのだろうか。あなたがイイと思うものは、素晴らしいものを作ろうと言う努力のもとに作られたものなのか、それとも金もうけの為に作られたものなのか、その区別をどうしてしようとしないのだろうか。受け入れる側に思慮がない為に、流行を作り出す側の人間がどれだけ簡単に、そして気楽にペラペラの大量生産を行っているのか、ということを考えないのだろうか。

メディアなどというものは、本来は現実をそのまま正確に伝えるという性質のものであるべきだと僕は考えている。もちろん伝える側の意図やコンセプトによって、何を積極的に伝え、何を伝えないかというのはメディア側がコントロールするものだということは理解できる。「ロッキン・オン」と「ミュージック・マガジン」が同じアルバムを正反対に評価してもそれは問題ではない。

しかし、メディアが流行を排泄し続けることを不必要に美化し、それに憧憬の意さえ抱いてしまうような今の状況は、どう考えても異常としか思えないのだ。特にいい加減いい年した女が必死になってキムタクだのキティちゃんだの反町だのに夢中になる姿は、はっきり言ってオカルト以上の恐怖と、スプラッター映画を観た後のような嫌悪感を僕に与え続けている。

「かわい〜」で全てが片付くなら、この世に芸術などというものは存在し得ないということになってしまう。




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