秋の夜長に 思うこと  自閉編



1998年12月3日(木) 曇りのち雨

超過密日帰り神戸出張の巻。

9時過ぎにブチョウと会社を出て、そのまま東京駅へ。9時52分の「のぞみ」に飛び乗る。必要な書類に目を通して、その後は本を読んで時間を潰す。ブチョウは隣の席でグーグー眠っている。

ようやくうとうとしかけた時にはもう新幹線は新大阪駅へ。バタバタと「こだま」に乗り換える。新大阪駅の20番線ホームというのは、こだましか止まらないローカルホームで、さびれた感じがなんとも言えない。

「こだま」は走ったと思ったらもうあっという間に新神戸に到着。とりあえず昼飯を食わなければということで、駅の地下のわけの分からない食堂でまずいカツ丼などを食す。本当にまずい。時間が全然ないので、10分でかきこんでオシマイ。あー、味気ない。

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新神戸から市営地下鉄に乗り込んで、「学園都市」駅まで移動。30分弱の道のり。

学園都市駅から今度はタクシーに乗り込んで目当ての某社に到着。空模様は東京と同じ曇りだが、気温が全然高い。カラダが馴染まず何とも変な感じ。

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某社での仕事はさくさくと進み、再びタクシーに乗り込んで学園都市駅に戻る。新幹線の時間まで35分しかない。地下鉄の所要時間が30分弱だから、ギリギリ間に合うか、間に合わないかというタイミング。

新神戸の駅に着いて、やたらと長いエスカレーターをバシバシと駆け登る。JRの駅に到着して「お待たせOK!」を視認して軽く笑いながらも更にダッシュしてホームに辿り着くと、ちょうど「こだま」のドアが開いたところだった。まさにギリギリ。間に合って良かった。

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新大阪から「のぞみ」に乗り換える。僕の嫌いな新型のぞみじゃなくてホッとする。あの新型車両は、やたらと変な揺れ方をするから好きじゃない。

京都を過ぎたあたりから雨が降り出す。車窓を眺めてみたり軽く眠ってみたりしているうちにあという間に日は暮れて、のぞみはずいずいと東京へと向かう。

東京着18時24分。駅でブチョウと別れる。僕は18時45分に渋谷で待ち合わせなのだが、さすがにこれは無謀だったので、とりあえず先方の携帯に電話を入れ、待ち合わせを7時にしてもらう。

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渋谷に到着したのが19時5分前。冷たい雨が徐々に強くなってきた。待ち合わせの場所になかなか辿り着けず、渋谷のまちをうろうろして時間を無駄にしてしまう。目標としていたHMVが移転していることを知らなかった為に、全然見当違いの場所を彷徨う羽目に陥った。

19時15分頃になってようやく待ち合わせ場所に辿り着く。「黒を纏う人」が窓ガラス越しにブンブンと手を振っていた。

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黒を纏う人の案内で、「一兆」という店に連れていかれる。なかなかの雰囲気の店。僕はビールで、黒を纏う人はウーロン茶で乾杯。

普段はなかなかできない濃い話をして、うまいものを食う。軽めの赤ワインがすいすいと入っていく。

食事を終え、氷雨の渋谷の街を歩く。ふと自分が高校生の時に渋谷に通っていた時期のことを思い出し、恐らく生まれて初めて渋谷という街に対して温かい気持ちを抱いた。

あまりの寒さに肩を寄せあうようにして地下のショットバーへと向かう。店の中は大混雑で、昔この店で慎太郎と延々と芸術について話をしながらフラフラになるまで酔っ払ったことなんかをふと思い出したりしていた。

僕はアーリーのロックを、黒を纏う人はトマトジュースを。酒はアッパー系のドラッグ代わりにしか飲まないという黒を纏う人の言葉を聞いて、変に感心してみたり、反論してみたり。

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まだまだ話足りなかったのだが、もう電車もなくなる時間になり、黒を纏う人を見送ってから僕も帰途に着いた。井の頭線の駅まで行ったら既に終電車が出てしまっていて、仕方がないのでタクシーに乗り込む。どうせタクシーで帰るなら、もうちょっと飲みたかったと思いつつ帰宅。

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村上春樹、「風の歌を聴け」(再読) 読了。








 

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