あなたの温もり 思うこと  不明編



1997年6月1日(日)

Mysterons / Portishead

白く輝く流砂の波が躍り上がるように蜃気楼に照らし出され、


微かに浮かび上がる幻影の中に遠くコンクリのビルの群れが立ち並ぶ。


透き通るように艶く肌に吸い寄せられるように、


脆弱なココロは熱砂の中を、引きつるような笑みを浮かべたまま、


反射熱で焦げた黒い眼を彷徨わせ、


一滴の水を求め、両手で砂を掘り続ける。




自らの仕掛けた地雷に触れ片足を吹き飛ばされ、


見つけられない出口を求め乾いた白い涙を流し続け、


自分で引き裂いた純白のシーツにぽっかりと開いた穴を焦燥とともに見つめ、


穴を塞いでくれる者がいないと白い砂を責め、


流れ落ちる汗を吸い込む砂を蹴り上げようとバランスを崩し、


失った脚を吹き飛ばした地雷の存在を許すことはなく、


焼けた砂上をバタバタとのたうち回り、


熱せられた皮膚は赤黒く変色し涙は蒸発し、


逆流する血液は沸騰し、


サラサラと流れる流砂は脆弱なココロを少しずつ覆い隠し、


乾いた風が最後の涙の滴を奪い去るとき、


紺碧の空にはオーロラが輝き、


赤い霧が降り蒼い空を黒く染め、


細く長い嗚咽が洩れるとき、


赤く錆びた剣は新月の光を鈍く反射して、


脆弱なココロを貫き、


黒い闇の中を彷徨い歩く肉体を失った脆弱なココロには、


涙の流し方はもはや、


記憶されていない。




黒い闇の中を赤い月が流砂を赤く染め、


カペラの蒼い光りはあまりにも遠く弱く、


流れる砂の音は脆弱なココロには届かない。







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