パラオにて 思うこと     



昨日明日

2001年11月13日(火) 3日目 晴れ


7時半頃起床。裸で寝てても全然寒くない。これぞ南国である。昨夜深酒したが、ぐっすり長く眠ったおかげで酒はまったく残っていない。ブラインドを開けると外は薄曇り。また道が濡れている。我々が眠った後にどうも雨が降るようだ。

裸のままライティング・テーブルに向かい、昨日一日のメモを、一時間ほど掛けて書く。部屋に備え付けのポットでお湯を沸かし、コーヒーを飲みながら。

メモを書き終え、ニナを起こす。朝食をどうしようかという話になるが、昨夜部屋に戻ってから、昼間ラップしてもらったサンドイッチの残りを食べたせいで、二人とも全然腹が減っていない。朝食はパスして、さっさとビーチに出ることに。

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プールハットでタオル、シュノーケルと、今日はライフベストも借りる。ビーチに出る頃には、上空のうす雲もすっかりとれて、今日も快晴に。プールハットで道具を借りた時、パラワンのお兄ちゃんが、「魚と仲良くなる道具だよ」と言って、古いパンをくれた。昨日と同じ木陰のベッドに陣取り、さっそくライフベストとシュノーケルをつけ、海に入る。

マリンパックで武装したデジカメを持って海に入る。水着のポケットにはさっきもらったパンが入っている。で、一枚目に撮った写真がこれ。昨日よりもさらにたくさんの魚がいる。水の透明度は、朝が一番高いように思う。太陽がじりじりと海を照らし、水中に酸素が多くなるせいか、午後はだんだん透明度が落ちていくような感じ。

ライフベストを着けているのと、昨日に続いて2日目ということもあってだいぶ水にも慣れ、昨日よりも沖まで出ていく。

水着のポケットからパンをちぎって取り出し、水中にまくと、あっという間にそこら中の魚が大挙して押し寄せてくる。何十種類もの魚数百匹に囲まれるというのは、生まれて初めての体験。それぞれの魚の種類によって、動きが違い、慣れてくるとなかなか面白い。慣れてくると、我々が移動すると魚も一緒についてくるようになる。おそらく水着のポケットに入れたパンの匂いに誘われるのだろう。

右の写真に写ってる魚は、ビーチの周辺にいる魚の中では一番大型で数も多い。薄い青の体がきれいで、動きが非常に早い。大きさは20センチぐらい。なかなか大きい。パンを投げてやると、ものすごい勢いで集まってきて、最初に食べてしまう。僕やニナが立ち上がって、空中からパンを水面に向かって放り投げると、空中に浮いている間からパンを見つけていて、着水するのと同時にウワッと集まってくるので、水面から体が飛び上がる。これもなかなかの眺め。

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足下は、砂浜の場所と、ごろごろとした岩の部分と、珊瑚の部分に大別される。大きな岩には、シャコ貝が張り付いていることが多い。直径10センチぐらいから、大きなものは30センチぐらいのシャコ貝の口が、ぱくぱくと開いたり閉じたりしている。シャコ貝の口の割れ目は、鮮やかな青や紫色で、少しだけ、女性の外陰部に雰囲気が似ている(こらこら)。

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左の写真に写っている黄色い輪郭の魚、これもなかなか動きが面白い。上の写真の青い大きな魚みたいに動きは早くない。のんびり動いているが、性格的にはかなり大らかというか厚かましい。我々のすぐ近くにぴったりと寄り添っていて、投げたパンのかすなんかをぱくぱくと食べている。光るものに反応するのか、カメラを向けていると顔を寄せてくる。なかなか愛想があって宜しい。大きくて青い奴は、動きは速いが結構臆病者で、びくびくしているのだが、この黄色いのは実に大胆である。

あと、玉虫色の不思議な光沢を持った、青くて体がずんぐりした魚がいる。数は少ないが実に目立つ。こいつは黄色い奴よりもさらに動きが遅く、パンの切れ端を目の前に浮かべてやっても、よそからやってきた動きの早い魚に食われてしまう。エンゼルフィッシュとおぼしき、実に優雅できれいな魚(後で調べたらこれはエンゼルフィッシュとは違う種類だった)はさらに動きが遅い。海底に近い場所に漂っていて、写真を撮ろうとすると岩陰に隠れてしまう。あと、岩と同じ迷彩色をした、ちょいとグロテスクな魚が、海底にへばりついている。よく見ると豹柄である。この魚は長い舌を口から出したり引っ込めたりしていて、海底の砂と一緒に微生物を吸引して食っている。

今回、デジカメのマリンパックに装着する、海用のフィルターというのを持ってきて、最初は装着して水中の写真を撮っていたのだが、どうやらフィルターはある程度の水深があるところで使用すべきものらしく、海岸の浅瀬で使うと、写真が全部フィルターのオレンジ色に染まってしまい、全然だめ。マリンパックを装着して、日光の強い海の中でさらにシュノーケルをつけていると、デジカメの液晶画面はほとんど見えない。見えないながらも何となく、フィルターに違和感を感じ、途中からはフィルターを外していた。

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しばらく海で遊んでビーチに戻ると、我々のビーチベッドの近くに、台湾人の若者が団体で来ていて、大騒ぎをしている。ビーチバレーのネット付近でビーチバレーをやっていたり、ビーチベッドに寝転んだり、いろいろなのだが、とにかくうるさい。奇声をあげて大騒ぎし、大声で遠くにいる仲間を呼ぶ。それまでビーチは少人数のリゾート客だけで、実に静かだったのだが、途端に年末のアメ横みたいな大騒ぎである。

そのうちその団体の一部が、Coconut Terrace Restaurantに移動する。そうすると今度はレストランが大騒ぎである。全然周囲の雰囲気とかを考えていないくて、自分たちだけが楽しければいいという感じ。実にうるさい。

と、騒がしい団体客を尻目に再び海に入り、昼頃まで遊ぶ。僕は途中で岩場で転んで手と足をすりむき、上述のカメラのフィルターをなくしてしまった。傷の消毒もしなければならないし、台湾人は騒々しいし、お腹も減ってきたし、日光も一番強い時間帯になってきたので、お昼でビーチを引き上げる。ビーチには、南米っぽい褐色の肌をした女の子がいて、日本人は絶対着ないような強烈なTバックのビキニ(しかも蛍光イエロー)で泳いでいた。これがまた実に格好いい。

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部屋に戻ってシャワーを浴びてから、タクシーを呼んでもらい、ダウンタウンへ。パラオのタクシーはすべて個人タクシーで、それらの個人タクシーを無線で呼び出してもらう。気に入ったタクシーがあれば、そのタクシーを指定して呼ぶこともできる。ホテルから適当に呼んでもらったタクシーは、No. 12、ジェフのタクシーだった。昨夜「どらごん亭」のマスターが、一番いいタクシーはNo. 12のジェフだ、と言っていたのを思い出し、大いに喜ぶ。

タクシーでダウンタウンまで$5。途中、あちこちに選挙事務所みたいなテントを見る。どうも、候補者主催で炊き出しをやり、有権者にごちそうをしてるように見える。日本でそんなことやったら一発で選挙違反で逮捕だろうが、こちらでは合法らしい。なかなかワイルドである。

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ハイ・スクール前のハンバーガー・スタンドでタクシーを下りる。「ベム・エルミー・ハンバーガー」。パラオの文部省にあたる建物の前の駐車場スペースに止めてあるトレーラーがお店である。ガイドブックで見つけて絶対来ようと決めていたのだが、タクシー運転手のジェフも、「すごく美味い」と太鼓判を押してくれていた。

僕はダブルチーズバーガーwithエッグ、ニナはチーズバーガーwithエッグ、それにフレンチフライとコーラ。パテとバンズは注文が入ってから炭火で焼いてくれるので、仕上がるまで5分強ほど待つのだが、その間お姉ちゃんは我々が英語を話すことが分かると、ずーっと喋りっぱなし、笑いっぱなし。実に明るい。左の写真で緑のシャツを着ているのが、リーダー格で喋りっぱなしのお姉ちゃん。確かめなかったが、パラオ人かフィリピン人かは不明。パラオには5,000人ほどのフィリピン人がいる。パラオの人口が25,000人だから、非常に多い。だいたい痩せてて肌の色が薄いのがフィリピン人で、コロコロに太ってて色が黒いのがパラオ人である。その法則から行くと、この3人は、みなフィリピン人ということになる。そういえば、パラオ人にしてはフレンドリー過ぎるし、てきぱき働きすぎていたような気もしないでもない。写真を撮っていいか、と尋ねたら、もう大騒ぎである。化粧をし直したり帽子を被ったりで、写真を撮れるまでずいぶん待たされる。

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ハンバーガースタンドの脇の粗末なベンチに腰かけ、道を行き交う車を眺めながらハンバーガーを食べる。これが本当に美味い。カリッとしてジューシーで、卵も実に美味しい。で、またしてもボリュームもすごい。マクドナルドのハンバーガー3個分ぐらいはある。あっという間にお腹がいっぱいに。

道を行き交う車は、90パーセント以上が日本車で、90パーセント以上がボロボロである。バックミラーがないものや、ツギハギしてある車なんてのはざらで、日本だったら20年前に廃車になっているようなのも、平気で走っている。中には「東京都清掃局」と書かれた、ゴミ収集車が走っていたりする。しかもパラオではゴミを集めているわけではなく、ゴミを放り込む部分に、何やら荷物を積んで走っていた。車の運転手は、我々が座ってハンバーガーをもぐもぐやっていると、手を振ったりウィンクをしていったりする。なかなか愛想がよい。

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お腹いっぱいになっったので、メインストリートをぶらぶらと歩く。コロールのダウンタウンは、PPRの中よりもはるかに暑い。着ていたTシャツがあっという間に汗でぐしょぐしょになる。さっきも書いたが、今日は選挙である。そして、パラオ語で選挙は、「Sengkyo」である。右の写真は、車に貼ってあった候補者のポスターなのだが、この候補者の名前は「Yoshitaka "Yoshi" Adachi」さんである。

パラオは第二次世界大戦終了まで日本領だったのだが、日本政府がパラオを南洋統治の中心地として積極的に開発した。日本統治が始まるまでは、男はペニスケースだけ、女も上半身裸で腰みのだけつけて生活していたのが、日本統治が始まると、電気、水道、道路と次々整備され、生活水準が一気に高くなった。おかげで、パラオには日本人の名前をつけた家がたくさんあるし、神社もある。前の大統領は、「ナカムラクニオ」さんだった。60歳代以上の年配の人たちは、日本語を流ちょうに話すというが、我々はその年代の人たちと話す機会は残念ながらなかった。

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街並みの写真を撮りながら、WCTCまで歩く。WCTCには、パラオ最大で多分唯一の大型ショッピングセンターがある。我々はショッピングセンターには入らず、一階の薬局へ。ニナは目を日光でやられたということで目薬を買っていた。この薬局、薬局なのに何故かポルノ雑誌があったり、100パーセント全部海賊版のビデオがたくさん置いていたり、何と大人のおもちゃまである。大人のおもちゃでおかしかったのが、「Peter Meter」なる器具と、フェラチオ用のゼリー。Peter Meterというのは、簡単に言うとペニスの長さを計る器具で、透明プラスチックの細長い筒に、定規みたいに目盛りが入っていて、勃起したペニスにその筒をかぶせると、根元から先端までの長さが簡単に分かります、というもの。フェラチオ用のゼリーは、女性が男性を口に含む前にペニスに塗ったくっておくと、美味しい味がしてフェラチオ嫌いの人もダイジョウブ、ということらしい。なかなかバカバカしくて素敵だったので、冗談の分かる友達用のお土産にしようかとも思ったのだが、帰りの税関で引っ掛かって、「これは何だ」なんて質問されたら、「Peter Meterです」と僕が答え、そうすると係員は、「これは何に使うものだ」なんて展開になると、実に面倒だなあ、と思い、やめてしまった。ちょっと惜しかったような気がする。

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WCTCを出て、さらにパレイシアホテルまで行くが、あまりの暑さでここでダウン。ホテルのフロントで電話を借り、タクシーの予約センターに電話する。ジェフのタクシーを指名したが、彼は近くにいないということで、別のタクシーに乗ってPPRに戻る。ちなみにパラオでは、市内通話は無料。なので、電話を貸してくれ、と気軽に頼みやすい。パレイシア・ホテルは、キラキラしてはいるが何となく成金チックで、僕は絶対泊まりたくない。

午前中ビーチで泳ぎ、その後炎天下のダウンタウンをうろうろしたせいで二人とも疲れ切り、部屋でしばし昼寝。夕方に起きだし、着替えをする。今夜はホテルのメイン・ダイナーで食事をしようと決めていたので、僕は襟のあるワイシャツにスラックス、ニナもドレスアップして部屋を出る。

まずはResortのフロントにあるツアーカウンターに行き、ベラウツアーのs君に、明日のロックアイランドツアーを申し込む。二人で$190。しばらくロビーでうろうろし、5時半になったので、ホテル主催のカクテル・パーティーへ。

カクテル・パーティーというからには、カクテルが出てくるのが筋だと思うのだが、何せ今日は選挙の日であり、法律でアルコールの提供は午後7時まで禁止されているため、パーティーはジュースだけである。日本人や欧米人が何人かやってきて、それなりにパーティーの格好にはなっているが、やはりいまいち盛り上がっていない。Resortの日本人スタッフ、mさんとsさんを初めて見かける。

カクテル・パーティの盛り上がりはいまいちだったが、夕暮れの美しさはすごかった。途中でほんの一瞬スコールがあったが、その後は再びからりと晴れ、しばし夕暮れのビーチで、ぼう然と夕暮れを眺める。

メイン・ダイナーへの予約を6時半にしていたのだが、7時まではアルコールがご法度であり、ワイン抜きの夕食というのは勘弁して欲しかったので、予約を7時に変更してもらう。その後しばらくビーチをうろうろしていたのだが、あまりの暑さでシャツがびしょびしょになってしまい、ニナは虫よけを忘れたということで、一度部屋に戻り、7時に改めてダイナーへ。

ダイナーの正式名称は、「Meduu Ribtal Restaurant」。予約を入れて行ったのだが、手違いで入っていなくてちょっとまごつく。間違えてCoconut Terraceの方に予約が入ってしまっていた模様。このダイナーは全席禁煙。なかなかの雰囲気である。ウェイターのお兄ちゃんに、「シェリーはあるか」と聞いたのだが、シェリーの意味を理解してもらえず、仕方がないのでRed Rooster(地元のビール)を注文する。なかなか精悍な顔をしたパラワンのお兄ちゃん、ビールは何にするかとの問いに我々が「Red Roosters」と答えた時、ニコーっと笑った。ビールの後は、お兄ちゃんが推薦してくれた、オーストラリアのワイン、「シラーズ」を飲む。シラーズと言えば、カナザワ、アフメッド、日本海!というイメージがあまりにも強烈に焼き付いているのだが(あの日車の中でアフメッドがラッパ飲みしていたのだがシラーズだった)、必死に脳裏からアフメッドの顔を追い払う。

料理は二人ともコースに。前菜、メイン、デザートで$38。まあお手頃なお値段である。僕は前菜を帆立のソテー、メインを仔羊のグリエ、デザートはフローズン・ヨーグルト。ニナは前菜をエビのサラダ、メインを牛フィレ、デザートをマンゴーとパパイヤのプリン。僕が頼んだものは、まあまあの味。ニナは牛フィレとプリンで大外し。繊細な味を求めたのが失敗だったようだ。ここはパラオである。大胆かつ大ざっぱな料理を注文する、よろし(あ、中国人だ)。

ダイナーには、我々の他に3組。日本人スタッフのmさんが、女性と二人で。後の方でアメリカ人とおぼしき西欧人が二組。どちらもとてつもない田舎からやってきたような雰囲気だ。女性は若くてそれなりにきれいなのだが、男性のやぼったさが、どうにもならない。

食事をしていると、二人組のパラオ人の流しがやってきて、目の前で演奏してくれる。ビートルズもやるし加山雄三もやる。リクエストはあるか、と聞かれたので、パラオの歌をリクエストしたところ、「Aniki(兄貴)」という曲をやってくれた。パラオ語でも兄貴は「Aniki」なのだそうだ。

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食事を終え、いったん部屋で着替えてからバーで飲もうと言っていたのだが、部屋に戻ったら面倒になってしまい、ルームサービスでバーボンのロックを二杯頼んで済ませる。すっかり疲れて眠くなってしまい、一杯飲み終えないうちに眠ってしまった。今日も早寝である。






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