習慣書評

7つの習慣 by スティーブン・R・コヴィー 〜 体系的で豊富な実例が僕らを導く [書評]

習慣書評
スポンサーリンク

ブックレビュー2010年の122冊目は、スティーブン・R・コヴィー氏著、「7つの習慣」を読了。

元祖・自己啓発書のような位置づけの本であることは以前から知っていたが、今まで読む機会がなかった。

満を持しての登場という感じで期待して読み始めたが、期待を裏切らない素晴らしい本だった。

スポンサーリンク

7つの習慣  by スティーブン・R・コヴィー 〜 体系的で豊富な実例が僕らを導く [書評]

本書で説いている「7つの習慣」については、様々な形でアレンジされ、多数の自己啓発書の中に登場してきている。

本書で説明されている内容とは知らず、他の書籍での解説がオリジナルだと思い込んでいたものも多く、さすが元祖本だと感心した。

そんな中、本書を読んで特に素晴らしいと感じたのは、以下の3つのポイントに集約される。

  • 7つの習慣を結びつけまとめ上げる、大きなビジョン・ミッションが示されていて、全てがそこに集約されている点
  • 一つ一つの習慣そのものが論理面・感情面で良く練られている点
  • 体系的で豊富な事例紹介が瑞々しく感情移入しやすい点

真の成功とは何か?ビジョンで示す

本書では冒頭のかなりのページを割いて、人間にとっての本当の成功とは何か、という定義づけを行っている。

アメリカにおける「成功」の定義の変遷やその問題点を挙げ、ものの見方を「原則中心」とするためのパラダイム転換を推し進めるための実例を紹介し、さらにPとPC(PerformanceとPerformance Capability)の説明をし、と、本題の「7つの習慣」を説明するまでに、我々読者が著者と同じスタート地点に立つための数々のステップが設けられている。

この段階を踏むことで、我々は真の「成功」とは何かを正しく認識したうえで、その成功を手に入れるための7つの習慣を学び始めることができる。

豊かで深い7つの習慣

当たり前のことだが、7つの習慣自体が非常に豊かで深い。表面的な他人との競争に勝っての成功というレベルではなく、独立した一人の人間としての成功に僕らを導く方法が詳細に説明されている。

7つの習慣とは以下の通り。

  • 主体性を発揮する
  • 目的を持って始める
  • 重要事項を優先する
  • Win-Winを考える
  • 理解してから理解される
  • 相乗効果を発揮する
  • 刃を研ぐ

この7つの習慣それぞれがとても素晴らしい。

中にはあまりにも一般化して普及したため目新しさが失われている項目もあるが、きちんと本文を読んで理解することによって、著者の意図が伝わり、改めてそれぞれのポイントの着眼点の鋭さと深さに感心することになる。

個人的に特に感激したのが、5つ目の習慣「理解してから理解される」だ。

人間はどうしても自己中心的で猜疑心が強い。

そのため、苦手意識を持った相手との交渉や利害関係が入り組んだ人との話し合い、思春期の子供との将来についての話などでは、自分の立場や気持ちばかりを意識してしまい、相手が何を考えているのかを理解することを忘れてしまいがちである。

だが、本当に相手との関係を構築して交渉なり話し合いなりを成功させたいと願うなら、まずは相手の立場や想いを正確に理解し、相手を尊重するというプロセスを経る必要があり、それを実行することで、相手との確執をなくし、交渉や話し合いを「成功させる」という共通認識を持って話し合いを進めることができるようになる。

この短いレビューの文章ではとうてい説明できない、深く豊かな説明が続く。この5章には本当に感激した。

対話の大切さは実例を挙げて

本書では、著者が妻や子供達との対話を経て気づかされたことを、会話体で多く実例として掲載している。

この実例文が本当に素晴らしく、この実例により著者の意図が明確に浮かび上がり、我々が本当の成功とは何かを理解する大きな助けとなっている。

中でも感動したのが、やはり5章の「理解してから理解される」の項目で、高校生の息子と親の対話という例で、「学校がつまらないから中退して自動車修理工になりたい」という息子と、学校を続けて欲しいと願い父親との対話の失敗例と成功例である。

先に登場する失敗例では、高校を辞めたいと言い出した息子の言葉に動揺した父親は、自分の過去の経験から一方的に子供を説得しにかかり、結果として子供の心を閉ざしてしまう。

その後に示される成功例では、まずは子供の気持ちを受け入れ理解することで、子供に話し合いを行うための基盤が整備され、その後何度かのやりとりを経て、やっと本心を打ち明けるという流れになるのだが、説明がリアルで子供心を完璧に掌握した、見事な実例文となっている。

結局子供は高校を中退したかったわけでも自動車整備工になりたかったわけでもなく、テストの結果が悪く先生に叱られて、どうしていいか分からなくなったことを父親に相談したかっただけなのだが、話し合いの共通基盤がないために、「学校なんてもう嫌になった」という言葉をまずは父にぶつけ、気を引いているのである。

7つの習慣は、網羅的かつ体系的に僕らの人生を成功に導く素晴らしい本だ。

ただ、本書はあくまでも「原則の書」である。この本を読んで感じたことをいかに実践するかが見えない人は、我々と同じ日本人が個別のテーマを扱う自己啓発書を読むと、さらに理解を深めることができるのではないかと思う。

ただ、この原則の書を読んでおくことで、個別の本が言いたいこと、テーマなどへの理解が深まることは間違いない。

人生のできるだけ早い段階で本書を一読しておくことをお奨めする。

真の成功を掴むために是非。

「7つの習慣」のチェックはこちらからどうぞ!!

書評記事はこちらにもたくさん!もう1記事いかがですか?

https://www.ttcbn.net/no_second_life/archives/66998


1つのことを長く続けられる技術 — 人間は習慣の塊だから、習慣を変えれば人生が変わる
こばやしただあきさんの新刊「1つのことを長く続けられる技術」をご紹介したい。 「人間は習慣の塊である」。 僕は本気でそう信じている。 だからこそ、習慣を変えれば人生が変わると僕は思っている。 では、具体的に、習慣をどう変えればいいのか? そ...

捨てるべき40の「悪い」習慣 by 午堂登紀雄 — 1つずつしか自分は変えられないから [書評]
僕は「習慣」のチカラを強く信じている。 「人間は習慣の塊である」というのが僕のモットーだ。 僕たち人間は、意識しているか無意識かに関わらず、日々の多くを「繰り返し行われること」で過ごしている。 だからこそ、その一つ一つの「繰り返される行為」...

https://www.ttcbn.net/no_second_life/archives/39254

タイトルとURLをコピーしました