心・心理

つらかった過去を「忘れる」ことは「解決」とはちがう

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「解決済み」だったはずの26年前の記憶がシャワーのように降り注ぐ

150909-011 - 1

20歳のときに僕は大きな失恋をした。

その1年前、19歳のときに英会話教室に通っていた僕は、ある日の授業でたまたま同じクラスになった同い年の女の子に一目惚れをした。

バチン!と音が鳴るような衝撃的な出会いで、彼女も僕に惹かれていて、その日のうちに二人は恋におちた。

夢のような甘美な日々が続き、お互いの親にも紹介し合い、お互いが大学を(彼女は短大を)卒業して仕事が軌道に乗ったら結婚しようと約束をしていた。

僕はそのまま彼女と結婚して幸せに生きると思っていたし、彼女も多分そう思っていたと思う。

あっという間に知り合って1年がたち、彼女は短大を卒業して就職し、僕より先に社会人になった。

そんなある日、永遠に続くと思っていた二人の日々は突然終わることになった。

いつもどおりのデートのときに、彼女が突然僕と別れると切り出したのだ。

彼女は就職先の先輩に口説かれ、その人のことを好きになった。その人と付き合うので僕とはもう会えないとのことだった。

まったく予兆もなかったため、僕はただぼう然とするしかなかった(もしかしたら予兆があったのかもしれないが、僕は彼女を100%信頼し切っていたので気づかなかったのかもしれない)。

そのあと2〜3回会って話し合ったが彼女の気持ちは変わらず、僕たちは別れることになった。

それまでも好きになった人に告白して断られるぐらいの失恋は何度もしていたが、結婚して一生一緒にいると思っていた相手から何の前触れもなく振られたことは、当時の僕にとってはとても大きな衝撃だった。

この日を境に僕の人生は、色々な意味で変質してしまった。

 

「封印する」ことは「解決」ではない。「自動反応」で生活に歪みが出る

彼女と別れたあと、僕は結構重い人間不信の状態になった。

誰のことも信じられず、心を開いて話をすることができないのだ。

そして彼女を奪っていった相手が社会人で、しかもパイロット候補生だったことが、僕に強い「無力感」「無価値感」を植え付けた。

自分には力がない。自分にはお金がない。自分には能力がない。自分には何もない。

僕は毎日うわ言のようにつぶやき続けた。

友達もおらず、一人でぽつんと過ごし、ひたすら本を読み、そして大学で勉強に没頭した。

もちろんそんな状態では、次の彼女なんかできるわけがない。

結局僕はその彼女と別れたあと、大学を卒業した翌年まで恋人を作ることができなかった。

でも、当時の僕は20代前半で、時代はバブルである。

心は病んでいたが身体は健康体の男性としては、やはり人肌が恋しくなるときもある。

そんなときには僕は女の子を食事に誘い、ときによってはその女の子と寝ることもあった。

でも、僕は全然だれにも心を開く気がないので、もちろんデートしても楽しくない。

僕も楽しくないし相手も楽しくなかっただろう。だから上手くいかない。

自分はまったくの無価値だと思っているので、変に卑屈だし、でも心を開かないので、すごく傲慢だし、無表情で無口で、それはそれは酷い状態だったと思う。

誰にも会いたくない、でも一人だと寂しすぎて辛い、何とかしたいけどどうしようもない。

こんな心の葛藤の中で、僕は女の子に高いプレゼントを買い、食事をおごり、ホテル代をおごり、そして虚しくて嫌な気持ちになっていた。

僕の衝動買い、浪費癖の原点は、ここにあったのだ。

寂しいから一緒にいてくれる相手にお金を使う。一瞬の衝動で相手を誘う。でもそこにあるのは虚しい空間ばかり。

それでもあまりの孤独に耐えられず、お金で心を埋めることを止められない。

このときの「心の隙間をお金で埋める」衝動的な行動が、26年たった今の僕にも、「自動反応」「自動運転」として、残ってしまい、僕を支配していたのだ。

 

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