経営・企業文化書評

一流の上司 二流の上司 〜リーダーは「語る」な、「実行」せよ by 吉越浩一郎

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部下に「仕事の喜びの頂点」を教えよ

「結果だけではなくプロセスも評価しよう」という風潮がある。

しかし会社におけるリーダーの行動としては、これは大きな間違いだ。

仕事というのはあくまでも結果を出すことが目的だ。結果がすべてなのである。

結果を出したこと以外に別の評価基準があってはならないのである。

日本企業は昔から結果よりも努力を評価する傾向がある。

長い残業がなかなかなくならないのも、「プロセス評価」の弊害である。

効率良く仕事を終えて定時に帰る社員より、だらだらと居残ってたくさん残業する社員を「頑張っている」とリーダーが評価してしまうからだ。

それに上述したとおり、プロセスを褒められると部下はその時点で満足してしまい成長を止めてしまう。これが最大の問題だ。

本来の上司の役割とは何だろう。吉越さんは以下のように書いている。

上司の役目は、向かうべきゴールを正しく、明確に示して、そこに到達するまでの部下の努力をバックアップし、持続させること。そして、努力している「現在」より、ゴールにたどりついたときの「未来」の喜びを教えることだ。

仕事もサッカーと同じだ。どんなに頑張ってゴールに肉迫したとしても、ゴールできなければそれは徒労だ。

仕事における喜びの頂点とは、部下が自分の力でゴールに到達することだ。

その喜びを部下に体感させることで、部下は成長し、そしてさらに高いゴールを目指して突き進み始める。

そのサポートこそが、リーダーの大切な、大切な仕事なのだ。

体力を削って働くのは「二流」がやること

日本人は仕事を終えて帰宅するときに「お疲れさま」と声を掛ける習慣がある。

しかしこれは欧米ではまったく通用しない概念だ。

欧米では仕事はいかに効率良く疲れないように進めるかを追求している。

だから、お互いに「疲れたよね。僕も疲れたよ」というような挨拶はありえない。

疲れるような仕事の仕方をしているなら、それは緊急の課題として修正すべきなのだ。

日本人は仕事における真剣度を「働く時間」で測る傾向が強すぎる。

仕事とは時間ではなく成果で示すものであるべきだ。

そして、組織を「時間」ではなく「効率」で勝負する場に改革できるのは、リーダーだけなのだ。

リーダー自身が「ウチの会社はなかなか残業が減らなくて」などと嘆いているようでは、絶対に残業はなくならない。

仕事は「能力」を最大限に使うものであって、「体力勝負」でするものではない。

リーダーがそのことを自覚しなければ、組織は絶対に変わることがないのだ。

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まとめ

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冒頭にも書いたとおり、どんな組織にもリーダーがいる。

そしてリーダーがやるべき仕事は、実はどんな会社や組織でもほとんど変わらない。

では、なぜ「一流のリーダー」や「三流のリーダー」が生まれてしまうのだろうか。

それは「徹底度」の違いなのだ。

リーダーは自分の発言・行動に全責任を負って、その判断を全社員に実行に移させる権限がある。

一度部下に仕事を任せたなら、その仕事については、徹底的にフォローするべきなのだ。

問題が起こったときには、その原因を徹底的に追及するべきだし、再発防止策や横展開も徹底的に考えさせる必要がある。

それらの一つ一つを妥協したり適当にごまかしたりすることで、組織の「タガ」が緩み、仕事が進まなくなり、人間関係がおかしくなり、組織は崩壊に向かうのだ。

日本企業がいま世界で通用しなくなってきているのは、一流のリーダーの圧倒的不足が原因だ。

常に組織全体を俯瞰し、全体最適で判断し、徹底して仕事を実行していく。

そんなリーダーがいま日本に求められている。

次のリーダーを目指す人たちに是非読んでもらいたい一冊。

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