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完璧なサンビスタ
アルリンド・クルース
ライス・レコード (2008-07-20)

 

 

 

 

 

 

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アルリンド・クルス「完璧なサンビスタ」

ブラジル、サンバのアーティストです。

よくわからないけど偶然みつけて勘で買ったアルバム・・・が大当たりで、また1つ私の中で名盤となりました。

1曲目の「Meu Lugar」(マドゥレイラこそ俺の居場所)が始まったとたんに、清澄な空気と光に満ちた幸せな世界が広がります。


「俺の居場所は、鉄の神オグンと嵐の女神イアンサンの道。あそこには朝までサンバがあり、どこにもサンバの揺れがある。

俺の居場所は、闘いと汗、より良い世界への希望に満ち、祝杯のビールに囲まれたところ。

俺の居場所は、あまたの伝説と光の存在があり、オズワルド・クルースやカスカドゥーア、ヴァス・ロボ、イラジャーもすぐそば。

俺の居場所は、微笑み、平和と喜びの地、口にする、その名からして甘美な、マドゥレイラ」 〜ライナーノーツより引用

 

この、「マドゥレイラ〜〜」と入ってくるところでいきなり視界がバーンと開けるような広がりが感動的。それから後半変遷してさらに世界が美しく広がって行くすばらしい出来の曲だと思います。


そんな一曲目を筆頭に、次から次へとメロディーが比類なく美しい曲ばかり。

サンバはサビをみんなで合唱するところが良さの1つだと思いますが、まさに合唱するにふさわしいシンプルかつ魅力的なメロディーで、覚えて一緒に歌ってみるとその流れにますます引き込まれてしまいます。

 

派手でもなく、熱くもなく、がんばってない、とんがってない、訴えてない。 

でもべつに「癒し」でもない、夢や理想でもない。

力の抜けた、一言で言って「幸せな音楽」。

それも何か特別な幸せじゃなくて、「普通の日常が幸せなのっていいなー」っていう感じでしょうか。

 

私はブラジルのことに詳しくないけれど、きっとマドゥレイラっていうのは自然に恵まれて空気がきれいな土地なんだろうなー、とか、きっとこの人は地域のコミュニティーや家族に恵まれて、働いてしゃべって笑って泣いて怒って、普通に日々の生活を味わう、それでいいんじゃない? って感じなんだろうなー、とか思うのです。

うん、それでいいんじゃないかなー。

ほっとしたい時、キレイな気持ちになりたい時におすすめ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「変態ギタリスト」などとしばしば言われるスティーヴ・ヴァイ、2005年の作。

ジャンルは何かといわれると、いちおう世間ではハードロックとかヘヴィメタルと整理されるようですが、実際そんな枠ではおさまらない幅広さと自由奔放さと圧倒的なオリジナリティーを持っている人です。

バークリー音楽大学出身、高度な音楽知識と超絶ギターテクニックの持ち主ですが、そんなことを超えて、イマジネーションの表現のためにすべてはある、ということを体現しているかのようです。

一般的にハードロック/メタル系というと、ダークで攻撃的なエネルギーをゴリゴリ押しまくるような音楽も少なくありませんが、この人の音楽はそういう意味では全く逆に、基本的にすごくポジティブで光が溢れていて、宇宙へと広がっていくような大きさを感じます。

であるとともに、すごくやんちゃ、エネルギー過剰、複雑、変態。

受けつけない人は受けつけないであろう、独特な世界であることも確かかもしれません。


1990年の「Passion and Warfare」も名盤だと思いますが、それから15年の後の本作は、その過剰なエネルギーと変態ぶりは相変わらず,さらに大人の余裕と成熟を感じるできあがりで、私なんかは思わず「あのやんちゃな青年がすっかり大人のいい男になって・・・」という感慨を抱いてしまいます。

やっぱり音楽ってその人が生きてきた姿そのまんまが出るんじゃないだろうか。きっとこの人は良い家族に恵まれ、愛を知り、自分を見失わずに心豊かな人生を生きてこれたんだろうなー・・・と想像してしまえるのは何故だろう・・?


ドラマ「医龍」のテーマ曲に使われたというM1「Building the church」、レッドツェッペリンの「Kashmir」をトリビュートしているのかな?と思わせるM2「Dying for your love」、ファンキーなM5「Fire wall」。これらは比較的聴きやすくカッコよい曲。

それからM7「Lotus feet」は壮大な泣きのバラード。

ちなみにこの人のアルバムではいつも7曲目がバラードになっていて、90年の「Passion and Warfare」でも7曲目にすばらしいバラードが入っていましたが、ご本人にとって7曲目のバラードというのは特別な思いがこもっているのだそうです。

その7曲目ばかりを色んなアルバムから集めてまとめた「The 7th Song」というアルバムも出ていて、こちらも味わい深いです。


あまり語る人はいないけれど、10曲目のアコースティックギターによる優しさあふれる曲「I'm your secrets」はまさに、大人だねえ〜という1曲。 壮大な曲も良いのだけれど、こんなこぢんまりした曲にも名曲があります。

 

PASSION AND WARFARE
スティーヴ・ヴァイ
ソニーレコード (1990-05-31)


 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Yellow Moon


The Neville Brothers
A&M (1990-10-25)

 

 

 

 

 

 

ネヴィルブラザーズ/イエロームーン。
ネヴィルブラザーズはその名のとおり、ネヴィルの4兄弟を中心にしてニューオーリンズで1977年から活動するグループ。
ジャンルを一言でまとめるのはあまり好きではないけれど、あえてわかりやすく言うとニューオーリンズファンク/ルーツミュージック、といったところ。


本作は1989年リリース。

このアルバムについて評価される時は必ずプロデューサーであるダニエル・ラノワの手腕と共に語られるようで、確かに、全体を統一する空気感がすばらしく、スタイリッシュな透明感とニューオーリンズの魔術的な闇と優しさが渾然一体となって、「ある世界」へ連れて行かれるかのようです。バンドの力とプロデューサーの力が最良の形に花開いた作なのでしょう。

 ニューオーリンズというのは面白いところで、北アメリカでありながらかつてフランス領であり、スペインからの移民も多く、いわゆるイギリス的なアメリカとは少し文化が違うのです。

なおかつ奴隷制によるアフリカの血ももちろん濃く、同じくフランス領であったハイチから、アフリカ源流の呪術的宗教・ヴードゥーが流れ込み、ヨーロッパとアフリカの混ざり合った独特のニューオーリンズ・ヴードゥーとも言われる土着文化が根付いていると言われています。

そのあたり、キューバなどカリブ海周辺の国々と似たような背景があり、事実、キューバの黒人音楽とニューオーリンズの伝統音楽の類似性を指摘する人もいたりします。

「ディキシーランド」や「ジャズ」だけではないニューオーリンズ。
それ以前に、その奥に、その底流に流れるもっと闇深いアフリカ的なもの・・・
そのようなまさに「ヴードゥー的」な夜を羽ばたいて渡っていく鳥のようなソプラノサックス・ソロによる「Healing Chant」は際立つ佳曲。
実際、グラミー賞ベスト・ポップ・インストゥルメンタル・パフォーマンス部門を受賞した曲だそうです。

その他、タイトルであるイエロームーンなど、シンプルで覚えやすい歌ものも好感。あえてドラムを中心に置かずに多種のパーカッションでリズムを彩った事も、土着的をイメージさせる要因であるかもしれません。


アフロ・アメリカ文化の鮮やかな色彩とエネルギー、その憂いと優しさ、美しさを心地よく味わえる良い1枚です。


Cheo


Cheo Feliciano
Vaya (2006-03-14)

 

 

 

 

 

 

 

 

チェオ・フェリシアーノ。本名はホセ・フェリシアーノ、しかし「ハートに火をつけて」のヒットで有名な盲目のギタリスト、ホセ・フェリシアーノとは別人。こちらはチェオと呼ばれるのが一般的なようです。
プエルト・リコ、そして奇しくも私の好きなソノーラ・ポンセーニャと同郷のポンセ出身。

 

本作は1972年。チェオの初期の傑作です。
バックのミュージシャンはニューヨーク・サルサ界の花形「ファニア・オールスターズ」の面々。
サルサというと通常、管楽器が派手に入っていたりすることが多いですが、このアルバムは管楽器一切ナシで、そのかわりヴィブラフォンや、サルサでは珍しくギターが入っていたりします。曲調もゆったりしたものが多く、涼しげで落ち着いた情感あふれる、いわば癒し系といったかんじ。


また、プエルト・リコの海風が薫るようなジャケ写真がなんかイイ。
海街育ちの私にとっては、この写真と音楽全体から溢れる「海っぽさ」に郷愁をくすぐられ、そして低く暖かい声で囁かれるスペイン語の響きに身を委ねて過ごす夜がいい(笑)。
そう、これは夜の音楽かもねー。

美味しいダークラムを舐めながら静かな夜を過ごすのに最高だと思います。

Explorando




La Sonora Ponceña
Inca (2007-02-13)

 

 

 

 

 

 

 

 

1978年制作、ジャンルでいうとサルサ。

サルサというと一般的にどことなく「キューバの方の音楽でしょ?」っていうイメージを持たれる方も多いようですが、実はサルサはキューバの隣の島であるプエルト・リコ(現在アメリカ自治領)とニューヨークが移民によってコネクションされたところから生まれたと言われています。


「ソノラ・ポンセーニャ」はプエルト・リコのポンセという街出身の50年の歴史を誇るサルサグループで、ピアニストのパポ・ルッカ(Papo Lucca)が全てのアレンジを担っています。

このアルバム「エクスプロランド」は、私がラテン音楽をかじり出した最初の頃に買って衝撃的感動を味わい、その後にわたって自分の中では変わらず名盤であり続けています。

プエルト・リコの音楽は、一般的にサルサやラテン音楽に対して思われているイメージ「熱い、元気、ノリノリ」みたいなところにもう一歩、湿り気と一抹の陰り(哀愁といってもいいかも)が混ざったようなところがあるように感じます。

行ったことはないですけど、音楽を聴く限りけっこう湿度の高い土地なんじゃないかなあ。きっとキューバの方が乾燥してそうだ(根拠なし)。

そしてそれが私が好きな理由でもあります。ソノラ・ポンセーニャの音楽はそのプエルト・リコならではの湿度と一抹の陰り、そしてパポ・ルッカの個性であろう冷静な知性と洒落っ気が素敵にブレンドしているのです。ピアニストとして、アレンジャーとして、その端整な音楽性に惚れ込んでしまいます。


一曲目のベース単独の音が出た瞬間から、うお〜 いい音!

そして最後のCanto al Amor の哀愁ある美しいトランペットアレンジに至るまで、パワフルでありながらスッキリとした音質で描かれる繊細、時に峻厳でさえあるプエルト・リコ絵巻。ジャケット画の意味はようわからんけど(このヒト達のジャケ画みんなそうね・笑)雰囲気よく表してると思います。これお気に入り一番。


ついでですからお気に入り2番は「New heights」1980年

New Heights.jpg

 

 

 

 

 

 

 

3番は「Unchained Force」1980年

Unchained Force.jpg



 

 

 

 

こちら2点はAMAZONに画像がないため、リンクしてません。独自でお探しを。

Sonora Ponceñaサイト(スペイン語)にディスコグラフィ等々載ってます。

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