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実は仕事術本だった 書評「たった2か月でiPhoneアプリをリリースするためにやったこと」 by またよしれい

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iPhoneアプリを開発しようという人向けの本ならば、誰でもプログラムコードの羅列が続くと思うのではないだろうか?

ところが本書「たった2か月でiPhoneアプリをリリースするためにやったこと」(著者またよし様よりご献本いただきました。ありがとうございます)には、一行のプログラム・コードも掲載されていない。

 

 

たった2か月でiPhoneアプリをリリースするためにやったこと 

またよし れい 秀和システム 2011-03
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by ヨメレバ

 

 

ソースコードがない開発本?

 

 

なぜ本書は開発本にも関わらず、ソースコードがまったく載っていないのか。

それは本書がiPhoneアプリ開発のための仕組み構築の術を読者に提供することに特化しているからだ。

この点を十分に理解して本書を読まないと、欲求不満になるだろう。

何故なら、本書だけを読んでもiPhoneアプリを作れるようにはなれないからだ。断言する。

だが、自分自身でソースコードを勉強して日々努力する準備と覚悟ができている人にとっては、物事の最短経路を超高速で突っ走る最高の参考書となるだろう。

そんな本だ。

 

 

実はビジネス本だ

 

 

本書を読了して最初に感じたこと。それは、本書は開発本ではなくビジネス本だということ。

もちろん本書を読む人はiPhoneでアプリ開発をしてみたいと願う人たちになると思うが、アプリのリリースを商業行為と考えると分かりやすいのではないだろうか。

アプリを作るためには、「どんなアプリを作ったらユーザーが便利に感じるか」というアイディアが必要だ。

どんなに「僕はこういうアプリを作りたい」と意気込んで開発しても、完成したアプリがまったくニーズのないものだったならば、そのアプリは誰にもダウンロードされず、日の目を見ることなく忘れ去られてしまう。

また、便利なアプリを思い付き、うまく開発できリリースしたとしても、誰にも宣伝せずじっと佇んでいては、せっかくの優良アプリも宝の持ち腐れになってしまう。

アプリ開発は開発だけすれば良いということではない、ということが本書を読むことで良く理解できる。

本書がビジネス書である証拠に、各項目の最後に、歴史上の偉人達の格言が添えられている。

この格言・明言もアプリ開発とは直接関係のないものばかりだが、ビジネスの王道を行く素晴らしい言葉が並ぶ。

アプリ開発という軸とビジネスという軸を結びつける「くさび」として、この格言が上手く機能している。

 

 

開発力 = 情報収集力。だから英語が必要だ

 

 

本書にはプログラムコードは一行も出てこないが、英語の勉強法の具体例が写真まで添えて記載されている。

なぜか。これもiPhoneアプリ開発をビジネスとして捉えている著者の視点ならではの切り口である。

iPhoneアプリに限らず、ネット上の情報の7割は英語で書かれていると言われている。

つまり、英語ができない人は、インターネット上の7割の情報にアクセスできない状態で他社と闘うことになるのだ。

また、iPhoneアプリ開発で必須となる、Appleの公式ドキュメントも一次言語は英語である。

英語ができないというハンデは、アプリ開発者にとってはかなり重いものだ。

だからこそ、英語を勉強しましょう、ということを著者は説いているのである。

通訳者になるわけではない。開発に必要なドキュメントが読めて、必要最低限のコミュニケーションが外国人と取れれば良い。

本書ではそのような用途に特化した英語の習得法を教えてくれる。

 

 

開発力 = マーケティング力。だからブログが必要だ

 

 

本書の後半では、著者またよし氏が実践しているブログの読者獲得法について触れられている。

アプリ開発とブログのアクセス数。こちらも一見関係のない項目に思えるが、実はある。

iPhoneアプリは大手企業と個人開発者が同じ土俵で闘うフィールドだ。

大きな会社や有名開発者は雑誌や書籍などでリリース直後から取り上げてもらえる可能性が高い。

だが、今までアプリを一本もリリースしたことのない個人開発者が、最初のアプリをリリースしたとして、誰が気づいてくれるだろうか。

そう、だれも気づいてくれない。

だが、自分のブログに1か月20万アクセスあったならどうだろうか。

自分が書いた文章を毎日たくさんの人が読みにきてくれる。

これは新人アプリ開発者にとって、とてつもなく大きな武器なのだ。

 

 

もうちょっと深堀りして欲しい

 

 

ここまで褒めてばかりの本書だが、個人的には物足りなかった点がある。

恐らくこれは著者の責任ではなく出版社の方針なのだろうが、本書は薄い。176ページしかない。

個人的にはもう少し厚みが欲しい。そしてその分で情報に深みを添えて欲しかった。

またよし氏も本書の執筆をずいぶん急ぐ必要があった旨書いている。

読者の勝手な要望としては、じっくり取り組んでもらい、より濃い情報を提供してもらいたかったと願う部分がある。

 

 

まとめ

 

 

本書は「アプリ開発なんて自分には無理」「アプリ開発してみたいけど、どこから始めたら良いか分からない」といった超初心者の最初の一歩の背中を強烈に押してくれる素晴らしい本だ。

何度も触れている通り、本書はプログラムの書き方やそのコツを伝授してくれる本ではないので、本書を読んでその気になったら、専門書やウェブ、動画サイトなどで各自勉強を始めることになる。

作りたいアプリも人それぞれ。作ろうと思うきっかけも人それぞれだ。

だが、もしあなたが「いつかiPhoneアプリ作ってみたいな」と憧れたことがあるのなら、是非本書を手にすることをお薦めする。

今まで雲の上の存在だった「アプリ開発者」という肩書きが、2か月後にはあなたの手中に収まっているかもしれない。

それは、とても魅力的なことではないだろうか。

 

 

 

2011年51冊目の書評としてお届けしました。

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