書評

人生をデータとして記録せよ! “iPhoneでライフログ” by 音葉哲 [Book Review 2010-126]

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ブックレビュー2010年き126冊目は、音葉哲氏著、「iPhoneでライフログ」を読了。

 

iPhoneでライフログ

音葉 哲 辰巳出版 2010-11-05
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by ヨメレバ

 

 

ライフログに関する本としては、以前以下の本を読んだ。もしライフログが何なのかについて徹底的に知りたいなら、こちらを先に読んでおくと基礎知識を身に付けられて良いだろう。

 

 

最初に認識を共通にしておきたいのだが、ライフログは、ライフのログ、つまり僕たちの人生の記録であって、ライフ・ブログ、つまり公開することを前提とするものではない。ここはしっかり認識しておこう。

ライフログとは、僕達の日々の生活を様々な観点から記録したデータのことを指す。そしてそのデータを蓄積することにより、僕らの人生が客観的に記録されていくのだ。

たとえばどんな記録?

例えば僕の場合、日々ランニングをしている。走る時にランニング・ログアプリ、RunKeeper ProとNike+ GPSを起動させ、どこを走ったか、何キロ走ったか、何分走ったかが記録される。しかも結果はTwitterにログとして吐き出されていく。

例えば食事の記録。RecRecDietというアプリで毎日の食事と摂取カロリーを記録している。これもiPhoneからTwitterにログを飛ばすことができる。

例えば体重と体脂肪の記録。例えば体温と血圧の記録。例えばFoursquareでチェックインした外出先の記録。たとえば踏破した鉄道の記録。例えば飲んだワインの記録。タイム・マネジメントのログアプリが吐き出す行動記録。

ログだけではない。文章として残しているものだって立派なライフログになる。過去のスケジュールデータ。完了したToDoデータ。文章だけではない。外出先で撮影した写真や動画、皆と飲んでいる時に配信したツイキャス動画だって立派なログとなる。そしてこうして今書いているブログだって、そしてTwitterやFacebookに書き込んだ文章だって、全部ライフログなのだ。

TwitterやFacebook、はてブなどで気になる記事を読んだらその記事をクリップしてまとめておく。これもログだし、思い付いたアイディアを書き込んでおくのもログ。何だってライフログになってしまう。

それらの膨大な記録データを時系列にまとめ記録しておくことで、僕達人間一人一人の人生が、デジタルデータ化され客観的記録として永遠に残されることになる。

そんなことをして一体何の役に立つというのだろうか?

現段階ではハッキリとは分からないことも多い。こんなデータを残しても意味ないのではないか?と思うこともある。

だが、ハッキリと効果や使い方が解っているものもある。

たとえば食事記録と摂取カロリー、これにランニング記録と体重・体脂肪記録をミックスすれば、運動と食事による体重・体脂肪管理が簡単にできるようになる。

しっかりとした家計簿を日々つけていけば、お金を使い過ぎることはなくなるし、日々ブログにエントリーを書くことは、自己表現の良い訓練になるし、また、読んでくれる人達と繋がって行くという、ネットワーキング効果だってある。

でも、正直あまり難しいことを考えなくても良いような気もする。iPhoneがGPSやカメラを搭載して僕らの前に現われるまで、このようなライフログの収集は事実上不可能だったわけで、10年〜20年とライフログを集め続けるとどんなことが起こるのか、正直まだ誰にも分からないのだ。

本書では、ライフログのメリットを以下の4種類に分類している。

  • 「自己を客観的に見直し、未来に活かす(反省型記録術)」
  • 「憶えておくべきことを記録しいつでも取り出せるようにする(外部脳型記録術)」
  • 「思いつきをまとめて、新しいアイディアに育てる(ネタ帳型記録術)」
  • 「過去の楽しかった想い出を振り返る(追体験型記録術)」

そしてこれらはiPhoneとMacを活用すれば、誰でもほとんど手間をかけずに記録することができるようになる。

さまざまなアプリがありさまざまな種類のライフログが紹介されていて、どれも楽しく便利なものばかりだ。

でも、最初からあれもこれもと欲張ると疲れてしまうかもしれない。まずは本書を読んで、一番楽しくて気になるライフログからスタートしてみてはどうだろう。

僕自身非常にビックリしていることなのだが、ライフログを取っていると、記憶が劣化しないのだ。去年の10月に妻と行ったレストランで何を食べたか、一昨年読んだあの本の内容はどんなだったか。文章や写真が残っていると、その記録を見ただけで、瞬時にその時の記憶が復活する。

記憶が劣化しないのだ。

これは人類が今まで経験したことがない、新たなフェーズに僕らは入りつつあるではないかと考えている。写真は100年以上前からあることはあったが、デジタルになるまでは現像料金のハードルが高かったために、自分だけのためのログとして写真をバンバン撮ることは現実的ではなかった。

でもこれからは、外部脳としてのEvernoteをフル活用して上述したような様々なログを取って行くことで、僕らの記憶は永遠に記録されていくのだ。

たとえ僕達が死んだとしても、僕らのログは残る。永遠なのだ。

ライフログ。凄い時代になったものだ。

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