書評

「ノマド = 幸福 会社員 = 不幸」ではない!会社員が不幸になる9の勘違い

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「ノマド」 = 「自由」というイメージがあるようだ。

そして「自由」 = 「幸福」という連想もされているらしい。

三段論法でいくと、「ノマド」 = 「幸福」ということになってしまう。

そして対比として、「会社員」 = 「自由ではない」 = 「不幸」という図式も浮かび上がってくる。

この考え方は正しいか?

もちろん正しくない。全然正しくない。

 

 

そもそも、「ノマド」という言葉が「フリーランス」という言葉と混同されて使われているのでややこしいのだが、それはここでは触れない。

会社に勤めていても、活き活きと楽しく充実した人生を送れる人も世の中にはたくさんいるし、フリーで活動している人でも、さまざまな状況に束縛されてまったく幸福ではない人もたくさんいる。

会社員という働き方が悪いのではないのだ。

ダメな人は会社員でもダメだし、フリーになったってダメなのだ。

働き方というのはあくまでも選択肢であり、最重要ポイントではないのだ。

 

 

僕自身、「ノマドワーカーという生き方」を上梓して以来、ずっとモヤモヤそそのことを感じていた。

そこに、元祖ノマド、我らが本田直之さんが、僕のモヤモヤを吹き飛ばしてくれる素晴らしい本を書かれた。

会社で不幸になる人、ならない人」という本だ。

 

 

会社で不幸になる人、ならない人 (日経プレミアシリーズ)本田 直之 日本経済新聞出版社 2012-10-10
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この本では、会社員がやってはいけない「勘違い」を36リストアップしている。

会社勤めをしている時に、こんな働き方、考え方をしていては、フリーになったとしてもうまくいかない、という「勘違い」だ。

逆に、この36の勘違いを反面教師にしている人は、たとえ会社員だとしても、自律的に充実した日々を送ることができる。

このエントリーでは、その中から僕が特に共感した9つの項目をリストにしてみたい。

 

 

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「ノマド = 幸福  会社員 = 不幸」ではない!会社員が不幸になる9の勘違い

 

1. 「社員視点」で物事を見る

僕は去年の3月まで17年間サラリーマンをしてきた。

縁故でも何でもない、普通の採用で平社員からスタートして最後は上級管理職だった。

入社当時は社員として一番下から、退職する時は上は役員だけだったので、社員としては一番上の立場になっていた。

入社した時は社員10名前後、退職した時でも40名くらいの中小企業だったが、それでも本当にさまざまな人と一緒に働いてきた。

 

 

本田さんがここで言っている「社員視点」で物事を見る人というのは、「給料はもらえて当たり前」「明日も自分には仕事があるのが当たり前」という考え方の人だ。

すべてが受身となっている人で、実はこういう考え方の人は僕の周りに結構多かった。

 

 

すべてが受身なので、うまくいかないことがあると、「会社が悪い」「上司が悪い」と、すべて会社と経営陣の責任にしてしまい、同じような受身の人同士でひたすら愚痴を言う。

しかし、愚痴を言うだけで会社を出ていくこともないし、仕事を自分で改善する意欲もない。

結局は会社に依存しているのだが、こういうマインドでは、どんな仕事をやってもなかなかうまくいかないだろう。

 

 

いま求められているのは「経営者視点」である。

たとえ新入社員であっても、自分は自分自身を経営していると考えると人は強くなる。

自分自身はいま会社に幾らの価値を提供できているだろうか。

自分のスキルは会社にとって必要なものだろうか。

 

 

経営者視点で物事を見るようになると、自分が社員であっても、会社と対等の立場に立つことができるようになる。

日々の仕事は自分の能力を会社に売っている、と考えるため、日々努力を怠らないし、転職や独立の際にも困ることがない。

社員視点から経営者視点への切り替え。これが重要だ。

 

 

 

2. たまには愚痴を言ってストレス発散

僕自身にも経験があるので良く分かるのだが、会社の部内の飲み会が頻発するようになると、それは必ず愚痴大会になる。

そしてその中心には、いつも愚痴ばかり言っている人が複数いるものだ。

そしてその飲み会に参加していると、いつの間にか自分も愚痴を言うようになっている。

参加しているメンバーが年長者の場合は特に危険で、周囲に感化されてしまうのだ。

 

 

さて、愚痴ばかりを言っている人の集団に入り、飲み会で愚痴を言うと、すっきりして翌日以降生産性が上がるだろうか。

実は全然上がらない。前の日に自分の口から発したマイナスの言葉が脳に定着してしまい、仕事を斜に構えてしまうからだ。

 

 

それまで大して気にしていなかった、ちょっとした問題が、先輩の愚痴を聴いたせいでとても大きな問題に感じてしまう。

同僚が愚痴を言っていた隣の部署の上司が、実は悪い人なんじゃないかと、愚痴の影響で感じてしまう。

 

 

ネガティブな飲み会に意味はない。

僕はフリーになって飲み会が楽しくて仕方がなくなったのだが、組織の縛りがない人同士の飲み会には、「愚痴」というものが存在しないからだ。

会社勤めをしているからといって、部内の愚痴ばかりの飲み会に無理に出る必要はない。

それであれば趣味や勉強会、オフ会などの楽しく充実した時間に充てた方が時間もお金も有効に使えるだろう。

愚痴を言わないためには、愚痴の多い場に参加しないこと。これが大切だ。

 

 

 

3. バリバリ社員は徹夜して仕事する

僕自身も若い時に経験があるので偉そうに言えない。

徹夜で働くと、自分が凄く偉いような、バリバリやったような気になってしまうものだ。

 

 

もちろん諸事情でどうしても徹夜して終わらせないといけない仕事はある。

だが、徹夜して終わらせるのが仕事のスタイルになってしまうのはマズい。

要はタイム・マネジメントが全然できておらず、締切ぎりぎりに自分の体力を削って仕上げる仕事の仕方が癖になっているからだ。

 

 

土壇場の集中力が俺の特技!

言いたい気持ちは分かる。僕も若い時は言っていた。

だが、その時は分からなかったが、徹夜で追い込んでやっつけた仕事はレベルが低いことが多い。

十分な検証も見直しもできず、仕上げの部分も粗い。

 

 

そして徹夜明けの翌日は眠気と疲れで仕事は適当になり、周囲に迷惑を掛ける。

でも本人は「俺昨日徹夜で仕上げたんだぜ、ドヤ」と自慢顔でいるのでタチが悪い。

徹夜がカッコいいと思っているうちは半人前。そう思って欲しい。

 

 

 

4. 休日は何もせずに頭と身体を休める

これも耳が痛いポイントで、38歳くらいまではまさにこのスタイルだった。

毎週金曜日になると夜中過ぎまで飲んでバッタリ寝る。

そして土曜日は昼頃まで布団の中でごそごそやっていて、昼からもうお酒。

そして夜までテレビ、ゴロ寝、昼寝。そして夜はまたお酒。

休日は「何もしない日」というのが原則になっていた。

 

 

趣味というほどの趣味もなく、出かける先もないので、ついダラダラ。

昼寝してしまって夜更かしし、日曜日もまた朝寝坊。

そして日曜の夜も早くは眠れずに夜更かしして、一番大切な月曜日の朝を寝不足と二日酔いでボンヤリした頭と身体で迎える。

 

 

僕の「ノマドワーカーという生き方」にも書いたが、ノマド(フリー)になったからといって自由になるわけではない。

むしろ、一人だからこそ、自分を律して生活しないと生きていけないのだ。

それなのに、会社という後ろ盾があるのに自分を律することができない人は、一人になってもうまくいくことはない。

 

 

オンとオフのメリハリは大事だ。心を空にして身体も休める時は必要だ。

だが、毎週土日はひたすらダラダラでは、まったくリフレッシュになっていない。

休日には自分をリフレッシュさせるためにも、有意義に過ごす「アクティブレスト」を身につけよう。

 

 

 

5. 業績を上げた自分の力を信じる

僕はサラリーマン時代には、当初は営業担当だったので、この傾向があった。

「売上を上げたのは俺だ」という自負だ。

もちろん営業には、このぎらぎらした「俺が取ってきた」という想いがないといけない部分はある。

だが、20代の僕はよく上司から叱られていた。「お前一人じゃ何もできないんだぞ」と。

 

 

その後自分がマネージャーになって良く分かった。

営業は仕事を取ってくるという大切な役割を担っている。

だが、その後にモノづくりをしている部署、品質管理をする部署、コーディネーションをする人たちなど、さまざまな人が協力してはじめて製品はできるし、売上も立つし、売り上げた後は経理部門が入金の確認をしてくれる。

 

 

そしてフリーになって、さらに分かった。

いまでは請求書を発行してくれるアシスタントもいない。プリンターのカートリッジを購入してくれる総務もいない。

指示出しすれば吹っ飛んで顧客のところに行く部下もいない。全部一人でやらなければならない。

会社というのは、一人では何もできないところだ。

だからこそ組織があり、人々が協力して、一人ではできない大きな規模の仕事をする。

 

 

会社で「俺がこの会社の業績を上げた」というスタンスで考えているうちは、まだまだだ。

僕自身の過去の未熟さを噛み締めて、そう思う。

 

 

 

6. 社内政治や根回しはスキルの一つ

どの組織にも、必ずやたらと社内政治や根回しに詳しくてうるさい人がいる。

そして、とても残念なことに、そういう人は、周囲から「あまり仕事ができない」と見られていることが多い。

 

 

僕が勤めていた会社でも、僕がまだ若手の時に、すごく社内政治にうるさい人がいて、飲み会でやたらとアドバイスをしてくれた。

「○○部長と××課長は犬猿の仲だ」とか、「○○さんが来期には部長に昇任しそうだから、仲良くしておくと良い」というようなことだ。

 

 

もしあなたがこの先ずっと今の会社に勤めたいなら、そしてその会社がずっと存続できるなら、社内政治に詳しくなることは損ではないかもしれない。

だが、今や東証一部上場企業でも平気で倒産する時代だ。

あなたの会社が明日外資に買われ、部長職以上が全員交代するかもしれない。

そんな時に、社内政治や根回しを特技にしていても、ほとんど意味がない。

そもそも、あなたがリストラされてしまい会社を出たら、その社内政治は使い道がなくなってしまう。

 

 

組織の中での立ち位置や派閥に時間や意識を費やす時代は終わった。

これからは自分自身が会社を変わっても持っていける「資格」や「スキル」などに投資するようにしよう。

 

 

 

7. 景気が悪いから仕方がない

会社員時代、この言葉を聞く機会が良くあった。

だが、フリーになってから、フリー仲間がこの言葉「景気が悪いから仕方がない」を言っているのを聴いたことがない。

なぜか。

フリーの人は「景気が悪い」なんて言っている場合ではないからだ。自分の生活は自分で作るのだから、「景気」という実態のないものについて語っている暇なんかない。

 

 

「どうやったらもっと売れるか」「どうしたら単価を上げられるか」「どうやったらもっとたくさんの人が読んでくれるか」

僕らフリーが考えるのはこちらだ。

景気が悪ければ全員が飢え死にをするわけではない。生き残る人はたくさんいるし、自分も生き残らなければならない。

 

 

もしあなたが独立してフリーを目指すなら、「景気」のせいにしていたら、独立したとしてもうまくいかないだろう。

フリーを目指すなら、景気が悪くても生き残る方法を自分で考える。

それが大切だ。

 

 

8. 嫌なことをやめて自由に生きよう

本田さんも書かれているが、僕も社会人時代はマネージャーで採用の責任者でもあったので、それこそ何千人という候補者と面接をしてきた。

その時に、前職の悪口を言う候補者がいるのだ。

残念ながら、前職の悪口を言う人は、採用されることはまずない。

嫌だから辞めて次へ、という発想の人は、またすぐに辞めるだろうと感じるし、そもそも最初の項目に書いた「社員視点」の人の可能性が高いからだ。

 

 

仕事を辞めて次に行く時は、「新しいチャレンジに向かいたい」「もっと活躍できる次のステップに行きたい」といった視点が必要だ。

転職にしても独立にしても、今の会社や仕事が嫌だから、という理由ではなかなか上手くいかない。

自分の中で何かを成し遂げて、次のステップに行く。

その時が来るまでは我慢と研鑽の時だ。

 

 

 

9. 給料の高い会社を選ぶ

日本が高度経済成長期にあった時は、「給料が高い」会社を選ぶことは間違いではなかったかもしれない。

だが、この時代には、今給料が高いことは仕事を選ぶ上でのメリットになりにくい。

会社の業績が継続的に右肩上がりという保証はもうないし、大手でも簡単に潰れてしまう時代なのだ。

 

 

いま給料が高くても、5年後どうなるか分からない。会社が消滅しているかもしれないし、外資に買われているかもしれない。

また、給料が高くても自分がやりたくない仕事を長時間労働でさせられるのであれば、長期的に見れば自分の成長を阻害する要因となってしまうだろう。

 

 

これからの仕事選びは、目先の給料で決めず、自分を高めてくれる仕事、自分がお金を払ってでもやらせてもらいたい仕事という視点で選ぼう。

高いパフォーマンスで効率的かつ意欲的に働けば、給料は後からついてくる。そう考えるのが良いだろう。

 

 

 

 

 

まとめ

会社に勤めているから不幸なのではない。自律的な働き方をしていないことが不幸なのだ。

もちろん自律的に働けない環境で不本意な思いをしている人はいるだろう。

そんな場合にも、嫌だから辞める、ではなく、この職場でできることは全部やった。だから次のステップへ、という考え方が必要だろう。

 

 

僕自身フリーになってみて思うのだが、すべての人がフリーに向いているわけではない。

組織があってバリバリ働く方が向いている人もたくさんいる。それが当然なのだ。

ネット技術の発達で、今後は雇用されていても、オフィスに行かない働き方というのがどんどん増えると僕は思っている。

サラリーマンであっても、カフェでMBAで仕事できるのだ。

ノマドかどうかが大切なのではない。働き方、生き方が大切なのだ。

 

 

元祖ノマドの本田直之さんのこの本は、多くの会社員の方達にとって、とても身近な参考書になるだろう。

特に若い世代で仕事や会社に不満を持っている方は、是非この本を読んで「自分は組織に依存していないか。会社に甘えて愚痴を言っていないか」を見つめ直して欲しい。

辛口だが素晴らしい本。

オススメ!

 

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