書評

「ライフログの楽しみ方」教えます 読書メモ「人生は1冊のノートにまとめなさい」 by 奥野宣之

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ここ数年で「ライフログ」という言葉は一気にメジャーになった。

ライフログという言葉が一般的にまだ存在しなかった頃から、僕はその意義に気づいていた。

僕自身1996年からインターネット上で公開日記を書いてきた。

いまの「ブログ」のような立派なものではなく、ボリュームも少なく「情報」になっていない。僕自身の備忘録みたいなものだった。

 

 

もちろん公開しているので差し障りのあることは書いていないのだが、それでも書いてあることを読み返すと同時のことを細かく思い出す。

1998年12月3日がどんな一日だったか、何を食べてどこに行ったかが、かなり鮮明に思い出せるのだ。

上のリンク先が1998年12月3日の僕の公開日記だ。

 

 

この日記を読むと、僕は当時の上司(故人)と日帰り神戸出張に行き、その後で夜は渋谷に直行し、当時知り合ったばかりの女の子と初デートしたことが分かる。

この頃僕はこの日デートした女の子とは別につき合っている女性がいたので、デートしていると分かるように書けず、かなりぼやかしているが、そのような心理状態や当時のワクワク高揚した感じも、ありありと思い出すことができる。

 

 

そして、ここには書いていない、訪問先の会社の雰囲気や、デートした女の子の着ていた服装や表情や声なんかもハッキリと思い出せる。

この文章があるからだ。これをその日に書いていなければ、僕の脳みその中でこの日の記憶は永遠に胡乱である。

 

 

さて、前置きが長くなったが、ライフログについてはごりゅご氏の著書の影響もあって「デジタルで」というイメージが強い方が多いのではないかと思う。僕もその一人。

だが、ライフログは人生のログであるからして、必ずしもデジタルに固執する必要はないわけで、100円の大学ノートでも記録をすれば結果は近いものになる。

本書「人生は1冊のノートにまとめなさい」は、大学ノートを使ったライフログを紹介しているわけだが、ライフログの楽しみ方を大いに教えてくれる素晴らしい本だ。

 

 

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iPhoneなどのガジェットを使ってライフログを取っていると、どうしても使うツールごとにログがばらけてしまう。

たとえば位置情報はFoursquare、写真はiPhoneカメラ、つぶやきはPostEverとTwitterという風に。

もちろん全部Evernoteに入れてまとめて見ることはできるわけだが、大学ノート一冊にコリコリとペンで書いて行き、写真を合間にノリで貼り付けていくスタイルに較べればやはり分散していると言わざるを得ない。

 

 

そしてノートを使ってのライフログは、「ノートを開く」という具体的行動によって、「読み返す楽しさ」が増幅する。

「あんなところに行って楽しかった」「ここの料理は美味しかった」「この本はとても勉強になって刺激を受けた」。

一つ一つの出来事に僕らは刺激を受け生きている。

だから、「何もない普通の一日」などというものは存在しないのだ。

 

 

1998年12月3日は、何も記録を残していない人から見れば、「ずーっと昔13年前の今日」だが、僕にとっては、まだ取引実績のない超大手外資系企業の研究拠点に初訪問し(その後この企業は一番の大口取引先になった)、夜は可愛い女の子との初デート(しかも浮気)という、一年でもかなり「ドキドキ」と「ワクワク」の大きい一日だったことをハッキリと詳細に思い出すことができる。

1年前のライフログを開けば1年前の「嬉しい」や「楽しい」が、3年前のライフログを開けばその頃の「ハッピー」や「ワクワク」が詰まっているのだ。

 

 

この本を読んで、僕は自分のライフログにどうやって「ハッピー」や「ワクワク」を詰め込んでいくか、そしてそれを大学ノートをめくるようにうまくまとめることができるかを、真剣に考えようと思った。

見返せなければ意味がない。楽しくなければ意味がない。きれいじゃなければ意味がない。

ノートのライフログが、すごく羨ましくなってしまった。やらないけど(笑)。

 

 

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